隙のない戦い。。明日は第62期王将戦挑決リーグ戦/4回戦「羽生三冠-豊島七段」
佐藤康光王将への挑戦権をかけて争われている
第62期王将戦挑戦者決定リーグ戦は中盤戦に突入。。
□ 第62期王将戦挑戦者決定リーグ戦 □
リーグ戦参加棋士計7名がそれぞれ2戦を消化。
渡辺明竜王と深浦康市九段が2連勝の好スタートを切り
羽生善治三冠、郷田真隆棋王、豊島将之七段が1勝1敗で
後に続く序盤の展開となりました。
明日は生き残りをかけたリーグ中盤戦
注目の好カードが行われます。。
<第62期王将戦挑決リーグ戦/4回戦>
羽生善治三冠-豊島将之七段
1勝1敗同士の激突。
王将戦挑戦者は例年1敗まで、もつれて2敗までの棋士となっており
明日、負けた方が挑戦権争いから大きく後退となってしまう
両者にとってはまさにサバイバルマッチに。。
羽生三冠の今期ここまでの成績は
44戦35勝9敗(.795)。順位戦はA級で開幕4連勝中。
対局数、勝利数は全棋士中ダントツ 。
タイトル戦及びトップ棋士との対戦ばかりをこなしながら
勝利率は8割目前(同4位)という驚異的な戦跡が残ります。
現在三冠を保持。
その他の棋戦では
第33回将棋日本シリーズでは3年連続決勝戦進出 が決定済。
7手目▲2二角成。
上図での持ち駒
▲橋本八段: 角
△羽生三冠: なし
そして昨日放送されました
前人未到の5連覇を目指す第62回NHK杯に
2回戦からいよいよ登場。「A級、八段」橋本祟載八段と対戦。
振り駒の結果、先手は橋本八段。
今期は散々な成績で何とか一つ結果の欲しい橋本八段は
順位戦でも採用している「角交換四間飛車」を投入。
11手目▲8八飛。
上図での持ち駒
▲橋本八段: 角
△羽生三冠: 角
振り飛車の最新流行型である「角交換四間飛車」は
現在、振り飛車、居飛車ともに様々な研究、工夫合戦が
繰り広げられていますが、橋本八段も試行錯誤の真っ最中。。
しかし、後手を持って連採した順位戦では完敗 続き。
いずれも自ら動いて墓穴を掘った感がなきにしもあらずでしたが
本局でも、すぐに飛車を8筋へと振り直す趣向を披露。
この戦型への信用と積極性は失われていません。
28手目△9二角。
上図での持ち駒
▲橋本八段: なし
△羽生三冠: なし
まだ結果の出ない橋本八段とは対照的に
本家・藤井猛九段との第53期王位戦を筆頭に
居飛車を持っても、また自ら振り飛車を持っても勝利を重ね
「角交換四間飛車」の第一人者としての地位確立している羽生三冠。
本局では
7四の地点までを見据える橋本八段の角打ちに対して
同じく9筋の狭い地点に角を打ち込む、羽生三冠らしい応接を披露。
その後、△9四歩~△9五歩~と端歩を伸ばし
橋本八段用意の一着だった角に速やかな移動を勧告。
82手目△9六香。
上図での持ち駒
▲橋本八段: 角、桂、歩3
△羽生三冠: 金、銀、歩2
中盤以降は相手の大駒を押さえ込みながら
巧みに駒を捌いていった羽生三冠。
飛車交換の寸前に
9筋へと戻ってきた橋本角へ、香車で一撃。。
【 投了図・134手目△2五金 】
投了図での持ち駒
▲橋本八段: 飛、金、銀2、歩5
△羽生三冠: 銀、桂、歩2
終盤は攻め合いとなるも、実際には大差がつき
上図134手目をみて橋本八段、駒が躍動することなく投了。
序盤、中盤、終盤と全てに隙なく、完勝をおさめ
5連覇に向け好スタートを切りました。
ということで
各棋戦、トーナメントでは絶好調の羽生三冠ですが
王将戦挑決リーグ戦は初戦となった2回戦で深浦九段に敗れ
黒星スタート。公式戦は7連勝、対深浦九段戦は10連勝でストップ。
ここ2年は続けて挑戦権争いよりも
リーグ残留争いがメインとなっており、王将戦挑決リーグ戦には
相性の良さが感じられない羽生三冠。。
しかし、続く3回戦・久保利明九段戦には圧勝をおさめ
深浦九段戦敗戦後の公式戦も現在5連勝中と、全く落ち込みことなく
むしろ絶好調をキープ。今期は今後への期待が膨らみます。
対しますは
一昨年度の王将戦挑戦者 であり
将棋界次代のエース候補筆頭である、豊島七段。
豊島七段の今期ここまでの成績は
26戦18勝8敗(.692)。順位戦はB級2組で4勝1敗。
将棋界を代表する最先端の研究家として知られる
豊島七段もまた、羽生三冠と同様に序盤、中盤、終盤の全てに
隙の無い棋風で知られます。
今期のNHK杯では
そのことをあえて認めたうえで、勝利を誓った佐藤紳哉六段を
後手「ゴキゲン中飛車」で一蹴 。
全国の将棋ファンにその実力の片鱗を見せつけました。
4年連続参戦を果たした王将挑戦者決定リーグ戦では
初戦で渡辺明竜王の前に破れ黒星発進。
続く2回戦もタイトルホルダーである
郷田棋王と対戦しましたが、激戦を制し見事勝利。
1勝1敗の成績で、明日の羽生三冠戦に臨みます。
両者の対戦成績は
ここまで2度対戦して、豊島七段の2連勝。
舞台はいずれも王将戦挑戦者決定リーグ戦。
手番はいずれも豊島七段が先手。戦型はいずれも「横歩取り」。
2010年11月17日に行われた初手合いでは139手まで
2011年11月15日に行われた再戦では126手までで
勝利をおさめている豊島七段。
明日、3度目の対戦も同じ舞台
そして手番も三度、先手は豊島七段と決まっています。
羽生三冠としては
そろそろ勝利を飾り示しをつけたいところ。
両者ともに様々な戦型を苦もなく指しこなしますが
明日は羽生三冠が後手ということで、最近のお気に入りである
「振り飛車」がみられるかもしれません。。
将棋界最新形の世代闘争。。どうなりますでしょうか?!