第36期女流名人位戦7番勝負/第2局「中飛車から、快勝」
1月31日に行われました
第36期女流名人位戦5番勝負/第2局。
ちょうど、その1週間前の日曜日(1/24)におこなわれました
第1局は、挑戦者・里見香奈倉敷藤花が勝利。
今回は
千葉県野田市の「関根名人記念館」を舞台に
先手・清水市代女流名人の▲2六歩から、スタートとなりました。
対する里見倉敷藤花は△3四歩。
先手が飛車先の歩をついてきた時に、3三角で受けるわけですね。
ということは
今回も最初の2手までで
清水女流名人は居飛車。里見倉敷藤花は振り飛車。
が、それぞれ示唆されました。
5手目▲7六歩。
先手は飛車先を伸ばし、後手は角で受ける。
すると先手は角道をあけて、後手の角を威嚇。。
6手目△4二銀。
ここで角の交換は後手からするとノーサンキュー。
ということで銀で受ける後手。。
このあたりもよくみる出だしの攻防。
そして8手目に
里見倉敷藤花は△5二歩。
十八番・ゴキゲンな中飛車ですか。
しかし、次の瞬間
清水女流名人は▲3三角成と、里見角を急襲。
後手はもちろん△4三銀。。そして
11手目▲5三角。
中飛車を示唆したとたんに
後手に揺さぶりをかける清水女流名人。
挑発的な差し回しに見えましたが。。
12手目△4四角。
あっさりと角を合わせる里見倉敷藤花。
清水女流名人は角を取るしかなく、一連の展開は収集へ。。
18手目△5二飛。
いきなり引っ掻き回されたように見えましたが
何事もなかったかのように、里見飛車は中央へ。。
そうとう里見倉敷藤花は
中飛車に自信を持っているのがうかがえますね。
28手目△7八銀。
飛車を振ってから、玉の囲いへ。
そしておなじみの美濃囲い。この囲いも見慣れてきました。
50手目△4二角。
里見倉敷藤花は
美濃囲いから、さらに銀冠に組み替えて守備を固めます。
先手は矢倉模様に。。
まず先手が二筋から仕掛け。
後手は受ける格好ながら、この4二角が好ポジションだったとのこと。
64手目△3二金。
先手から仕掛けたいのはやまやまですが。。
何となく、清水女流名人が攻めあぐねている印象。
一方の
里見倉敷藤花側からみると
うまくいなしてるといった印象でしょうか。。
74手目△5四銀。
盤全体を使っての両者のにらみ合いは続きます。
それにしても
里見倉敷藤花のニックネームは「出雲のイナズマ」
ということでイナズマのように鋭く、早く、超攻撃的に差し回すのかと
思いきや
自然と感じる応手が多く
無理せず、自分に流れがくるまで、じっと待てる将棋を指す
印象を受けますね。
趣味は詰将棋とのこと。
ちなみに
好きな言葉は「好きな道なら楽しく歩く」。
83手目▲2五桂。
ここで清水女流名人の右の桂馬が
二度目の跳ね上がり。。
この瞬間を待っていたかのように
84手目△2八歩とした里見倉敷藤花。。
歩を取らせてから
86手目△4六角。
角が出てきて飛車・香車取り。。
94手目△5四銀。
まず桂交換をしてから
香をとり、馬をつくった里見倉敷藤花。
香得をえた一方で
清水飛車の行く手をことごとく阻みます。
均衡が保たれているようで
後手が少しずつ、差を広げていくイメージ。。
99手目▲4三飛成。
結局、清水飛車は活路を見出せず。。
残り時間も少なくなってきたこともあってか、ここで切ることに。
銀・飛交換となり、先手としては厳しいか。。
108手目△6四馬。
このままではズルズルと行ってしまう、とみたのか
飛車を切ってから、清水女流名人が猛攻に。。
里見玉も狭いところに居るので
攻撃が続けば、形成は大きく振れるかも。。
ここで後手は
馬が戻ってきて、守りをサポート。
113手目▲5一銀不成。
先ほど切った
飛車を取り返した清水女流名人。
今度は飛・角交換。
117手目▲2二飛。
ずっと攻め手が続いている清水女流名人。
ということは、里見倉敷藤花はずっと受け続けている訳ですが。。
122手目△5六歩。
しっかりと受け切って
ここで攻守が入れ替わりました。
攻守は入れ替わったものの
主導権はずっと、里見倉敷藤花が握っていた印象。。
126手目△5二馬。
再び、清水女流名人が反撃に。。
しかし龍は馬につかまり、もう時間の無い中で
攻撃体系を再度作り上げるのは、難しくなったか。。
133手目▲6二銀成。
あっという間に
清水玉を囲っていた、歩と金をはがしてみせた里見倉敷藤花。
清水女流名人にとっては
最後の攻撃、里見玉を詰ませることが出来るのでしょうか。。
上図での持ち駒
▲清水女流名人: 角、金、香、歩3
△里見倉敷藤花: 飛2、金、銀2、桂2、歩4
137手目▲7八香。
残念ながら
清水女流名人は後手玉を捕らえられず。。
ここで受けに回りますが。。
投了図138手目△7六桂。
里見倉敷藤花の桂馬をみて、投了。
ずっと
一貫して自分のペース、主張、大局観のもと戦った印象の
里見倉敷藤花の勝利となり、開幕2連勝スタートとなりました。
強いですね。