裁判所は,裁判により被告人に適当な刑を言渡すのを役目とし,その後の刑の執行については関与しないが,やはり,裁判とその執行とは不可分なものであり,適切な処遇がなされているか,裁く側に立っている者としては無関心ではいられない。


確定から執行、平均7年5カ月=拘置20年超の死刑囚も-法務省


法務省の小津博司刑事局長は26日の参院法務委員会で、死刑判決が確定してから執行されるまで平均7年5カ月かかっていることを明らかにした。1996年から2005年までに執行された元死刑囚について調べた。

死刑執行には、法相が命令書に署名することが必要で、刑事訴訟法は再審請求などがあった場合を除き、判決確定から6カ月以内に命令しなければならないと規定している。


小津氏は、執行の遅れについて「人命を奪う刑罰のため、機械的に6カ月以内に執行することが妥当を欠く場合もあり、慎重を期している」と説明。再審請求中などの理由で、数人の拘置期間が20年を超えていることも明らかにした。 


(時事通信) - 10月26日17時1分更新


死刑の執行について,刑事訴訟法は次のように規定する。


475条1項 死刑の執行は、法務大臣の命令による。

同2項    前項の命令は、判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない。
刑の執行に記事にあるような期間がかかっているのであれば,明らかな法律違反である。
「死刑」については様々な議論があるが,法で認められている刑罰であって,現存する有効な制度であるならば,法を適用する,執行する側である国は速やかにこれを実施する責務がある。
法務省のお偉方は
「人命を奪う刑罰のため、機械的に6カ月以内に執行することが妥当を欠く場合もあり、慎重を期している」

と弁明しているようだが,裁判手続に三審制を引いているにもかかわらず,執行になお慎重を期すというのは理由にはならないのではないだろうか。