京都を舞台にしたライトミステリー「京都寺町三条のホームズ」シリーズの1作目です。すでに21巻もでているようですね。
旅行に行くときは、こういう軽いミステリーの文庫本を鞄に忍ばせています。一昨日の唐津行きに持って行きました。
舞台は京都。
主人公はふたり。
ひとりは、京都大学の大学院生のイケメン青年、家頭清貴(やがしら きよたか)くん。あだ名はホームズ。名前が「家頭」だから家(ホーム)と頭(ズ)。美形で物腰も柔らかく品行方正(オレと同じやな・笑)、近隣の人からの信頼も厚い。家は、京都・寺町三条商店街にある「蔵」という骨董品店。幼いころから、高名な鑑定人である祖父に骨董の知識と鑑定眼を鍛えられ、いまでは祖父からも絶大な信頼を寄せられるほどになっている。また頭の回転がひじょうに速く、相手の考えていることを先に先に見通すほど洞察力がするどい。それゆえまわりの皆から「寺町三条のホームズ」といわれている。
京都・寺町三条は京都市のど真ん中の商店街です。
老舗のお店が多くて、落ち着いた感じのアーケード街があります。
寺町三条交差点の商店街の中にこんなお寺さんがあって、京都らしい雰囲気がプンプン(筆者撮影)。
もうひとりの主人公は、半年前に埼玉から京都に引っ越してきた真城葵という高校2年生女子。家は下鴨神社の近く。素直な性格で、直観鋭い女の子。少々思い入れ強し。そんな彼女があることをきっかけに、その骨董品店でアルバイトをすることになります・・・。
祇園祭、鞍馬、川床、葵祭の斎王代、旧家に代々伝わる骨董品、亡くなった作家が残したいわくありげな絵画・・・ザ・京都というようなストーリー設定で、彼らの周りで起きる出来事をめぐり、ホームズくんの鑑定眼と推理が冴えます。さらに、ホームズくんと、彼を憧れの熱視線で盗み見る葵ちゃんの微妙な関係も気になります。
凄惨な殺人事件などは一切なし。女性好み(といっては偏見があるな)の胸キュン&ハートウォーミングな謎解きミステリーです。
・・・シリーズで21巻もあるのかぁ。とりあえず、続きを読むのは保留しとこ。
京都を舞台にした文芸作品は、枚挙にいとまがありませんよね。
古くは、「源氏物語」、「徒然草」、「枕草子」、「平家物語」・・・、近代では、芥川龍之介「羅生門」、三島由紀夫「金閣寺」、梶井基次郎「檸檬」、森鴎外「高瀬舟」、川端康成「古都」、水上勉「雁の寺」・・・。歴史小説、時代小説、「京都○○殺人事件」といった推理小説も数えきれないほどです。
この本と同じようなライトノベルのシリーズもたくさんあるようですね。
わたしが読んだのは、
岡崎琢磨「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ
柏井壽「鴨川食堂」シリーズ
北森鴻「裏京都ミステリー」シリーズ
特に、「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズは、舞台となる喫茶店が、この本の骨董品店とは目と鼻の先、京都市役所のすぐ北あたりです。探偵役は、本作とは男女逆で、喫茶店の美形女性バリスタが謎を解いていきます。隔靴搔痒の恋模様も同じような感じ。そちらも凄惨な殺人事件はなし。本作と同じような(といってはお互いの作者に失礼かな)テイストのシリーズです。