夏至南風とアジサシ | takuchyan-☆

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八重山の釣りと自然たまに猫

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ある浜のこと。
毎年、夏至南風(カーチバイ)が吹き出す頃にこの浜にアジサシの群れがやって来る。

まるで暦を知っているかの様に毎年この風が吹き出すと共に必ず彼らは子育ての為に餌の小魚を求めてこの浜にやって来る。

大潮の夕刻時になると、潮は満ち満ちて激流になり、南東風の強い向かい風に吹き寄せられ夥しい数のスル(小魚)が岸辺の近くまで打ち寄せて来る。

上空から数十というアジサシが直滑降で水面に突き刺さってスルに襲いかかり、水面下からはオニヒラアジやイケガツオ達が海面を突き上げ爆発させて襲いかかる。

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僕がこの浜で釣りを始めた当初はまだ八重山ではルアーがほとんど手に入らない時代で、ただ一種類の安価な玩具の様な魚形のスプーンだけが石垣島の釣り具店で売られていた。

しかし、このスプーンの威力は絶大で他の高価な外国産や国産ルアーの追従を全く許さず、アジサシの群れの下へこの子供騙しの様な魚形のスプーンを放り込むとなんの小細工も無しに次から次に3~4kgの獲物が入れ掛った。

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だけどこのスプーンの栄光は長くは続かず4~5年もすると今までのフィーバー振りがウソの様に何の音沙汰も無くなり、ただの鉄片と化した。

これ以降、様々なルアーをこの浜で試したがこの安価なスプーン程の爆発力にはいまだ巡り会えていない。





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それから20年。もうこの浜でこのルアーを知る魚は一匹もこの世にはいないハズだと、再びアジサシの群れの中へこの玩具の様な魚形スプーンを放り込んでみたがやはり20年前の沈黙したその時と結果は同じであった。