今月8日から「博鰲(ボアオ)アジアフォーラム」の2018年年次総会が中国海南省で開催され、10日には中国の習近平国家主席が出席して演説を行った。習主席の同フォーラム出席と講演はこれで2回目である。

 「ダボス会議のアジア版」とも言われる博鰲フォーラムはもともと、習氏の前任である胡錦濤前国家主席の肝煎りと中国政府の全面的支援で誕生したものである。2001年の設立以来、本部は北京におき、開催地は海南省博鰲に固定されている。

 運営の要となる事務局長もずっと中国の外務官僚が務めることになっている。アジア諸国を中心に26カ国が同フォーラムの設立にかかわったものの、博鰲フォーラムは実質上、中国政府による、中国政府主導下の国際機関と言ってよい。

 13年に習近平氏が中国国家主席に就任してから、アジア地域における中国中心の経済秩序の構築は習政権の重要戦略となっているから、中国政府はよりいっそう博鰲フォーラムの運営に力を入れている。習主席自身が2回にわたって同フォーラムに出席し大演説をぶったことからも、中国政府の意気込みが感じられよう。

 習主席による前回の出席は15年のことである。この年の3月に開催された年次総会で習氏は開幕式で基調演説を行ったが、その時には何と、アルメニア▽オーストリア▽インドネシア▽ネパール▽スリランカ▽ウガンダ▽ザンビア▽オーストラリア▽カザフスタン▽マレーシア▽オランダ▽カタール▽スウェーデンなどの元首や首脳が一堂に集まって習主席の演説を「拝聴」した。

 もちろん、元首や首脳の出席者以外にも、閣僚級の高官を出席させた国々は他にも多数ある。

 その時の人民日報や新華社通信が誇らしげに評しているように、01年の設立以来、15年の年次総会こそは「史上空前の盛況」を呈したのである。

 それにはもちろん理由がある。習主席が鳴り物入りの「一帯一路構想」を発表したのは、15年年次総会開催数カ月前の14年11月のことだ。アジア全体を巻き込もうとするこの壮大なる「構想」に多大な関心をもったアジア各国の首脳と、一部欧州の首脳が駆けつけてきたのであろう。言ってみれば、習主席の壮大なる「ほら吹き」に、各国首脳が募られて博鰲に集まってきたわけである。

 しかしそれから3年がたち、「一帯一路構想」と博鰲フォーラムは、どうなったのだろうか。

 今回の博鰲フォーラムに集まってきたのは、オーストリア大統領、オランダ首相、フィリピン大統領、モンゴル首相、パキスタン首相、シンガポール首相の6カ国元首・首脳であるが、15年年次総会の時よりほぼ半減している。

 そしてフォーラムの発起国であるインド、日本、インドネシア、マレーシア、ベトナム、韓国、タイなどのアジア主要国の首脳はそろって欠席し、中国主導の「博鰲フォーラム」にソッポを向いていることは明らかである。

 その理由はおそらく、アジア諸国が徐々に、習近平政権の覇権主義的アジア戦略の危うさと「一帯一路構想」のインチキさに気がついてきたことにあろう。アジアにおける「中国離れ」は確実に進んでいるのである。

 それでも人民日報などとなると、相変わらずの厚かましさをもって、先日の博鰲フォーラムにおける習主席の演説を「世界の向かうべき方向性を定めた画期的演説」だと自画自賛している。

 筆者の私の目には、今の習近平主席と中国は、まさしく「裸の王様」と映っているのである。

 

引用元:http://www.sankei.com/column/news/180419/clm1804190005-n1.html