そのちょうど3か月後の9/25、彼はMET「イル・トロヴァトーレ」にて復帰を果たしました。
当初からこの公演を念頭に置いて治療をしていたようですが、脳腫瘍という大病がわずか3か月で治るとは思えず、私達ファンもこのトロヴァトーレは諦めていました。
既に2011年の公演がHD上映され、DVD化もされているのに、なんでまたトロヴァトーレ?という不満もありましたし、無理して出る公演じゃないからゆっくり休めばいい・・・そう思ってました。
しかし、結果、これが運命だったのかもしれません。
何度も演じたルーナ伯爵、何度も立ったMETの舞台、そして気心の知れた共演者たち。
復帰公演として、これ以上の条件はないでしょう。
私ごとではありますが、思い返せば私とDimaの間には常にトロヴァトーレがあったような気がします。
初めてDimaを知り、そして虜になったのがTV放送された2002年ROHのトロヴァ。
初めてDimaを海外に追っかけた作品も、2004年パリ・オペラ座のトロヴァ。
2009年にもMETで彼のルーナ伯爵を観ています。
そして、今回の復帰公演もトロヴァ。
シーズン発表当初はあんなにガッカリしていたのに、こんなに初日を待ちわびることになるとは・・・・!
今日の公演は残念ながらSiriusのみの放送でしたので、日本から聴けた方は少なかったかもしれません。
少しでも公演の雰囲気が伝われば・・・と思い、Twitterで中継レポを入れていました。
読んでくださった方もいらっしゃるでしょうか。
そのツイートを元に、今日の公演の感想をまとめてみたいと思います!
まず、登場するのがこっつぁん(コーツァン)のフェランド。
彼は声はいいのに、この平坦な歌唱は何とかならないのでしょうか

心電図に例えるなら、波形がほとんど動いてないかのようでした・・・。
アンナちゃんのレオノーラが登場すると、会場からは大きな拍手。
さすがの人気です!
アンナちゃんの声、私にとってのお気に入りポイントはキンキンしないこと。
常に丸みのある声なので、耳に心地いいソプラノです。
ただ、声だけ聴いていると意外に押し出しが弱いんだな~と思ったり。
そういえば、私はあんまり彼女の「声だけ」を聴いた記憶がない・・・。
やっぱり舞台で観てなんぼなのかな?
そして、いよいよDimaのルーナ伯爵登場!
アンナちゃんの3倍ぐらいすごい大拍手と歓声にビックリ!
なんと、オケは一時停止し、仕切り直しとなりました!!
もしかしたら、こんなふうに音楽を止めてしまうのは嫌いだというオペラファンの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は逆にMETのこういうところが好きです。
この温かい拍手にこっちが感動してしまい、この瞬間から涙が止まりませんでした

復帰公演がMETで本当に良かった!
さぞかしDimaも感動して・・・と思っていたのですが、現地特派員によると、この大拍手に「にっこり」していたそうですよ・・・。
よ・ゆ・う~~。
"Tace la notte"から安定度抜群で、まだ治療中というのが信じられない声。
闘病中に色々心配したことが頭をよぎり、胸がいっぱいになってしまい、マンリーコ、レオノーラとの三重唱が終わるまでずっと泣いてしまいました

ヨン様はこの役には線が細いかな~と思ったものの、舞台が進むにつれ乗ってきたようで、"Di quella pira"のアクートもバッチリ(そして長かった!)キメてくれました。
ザジックのアズチェーナは、「何回この役を歌ってると思うのよ!」と言わんばかりの貫録。
彼女がこの役を演じてくれると、まわりも楽に演じられるのではないでしょうか。
アズチェーナなくしてこのオペラは語れない、とても重要な人物ですから。
さて、お待ちかねの"Il balen"!
あ~、レガートが本当に美しい・・・。
なんて丁寧に歌うんだろう!
休んだことで声の調子も逆に良くなったような気もします。
力任せに歌うことが少なくなりました。
当然、ここでも大喝采。
そして、Dimaもちょっと素に戻って「にやっ」としたそうです。
またまた、よ・ゆ・う~~。
カヴァレッタの最後、コーラスとかぶるところの1回目で一瞬声が聴こえなくなって焦ったんですが、2回目はきちんと歌ってました。
あれは何だったんだろう?
もうね、なんと言っても大病後の復帰公演ですから、ちょっとでも何かあると心臓止まりそうになるんですから~

レオノーラをさらおうとしてるところにマンリーコが登場してからの伯爵さま、怖かったです~

さっきあんなにエレガントなIl balenを聴かせてくれたというのに、あっという間に「オラオラ伯爵」になってしまったわ~

3幕でザジックのアズチェーナと絡むと、やっぱり2人ともベテランだな~と思わせる味わいがあって、興味深かったです。
4幕のレオノーラとの二重唱はドレスリハのビデオがちらっと出てましたが、やっぱりアンナちゃんのキスはあったようです

しかし、その後2人がスキップして袖に入るのが見えた・・・とは現地特派員のレポ。
・・・・まったくあの2人は・・・

この頃になると、Dimaが病気だったことを忘れそうに・・・。
本当に1か月ほど前まで放射線治療を受けてたの?
本当にまだ治療をしなくちゃいけないの?
そう言いたくなるほど、すごかった!!
言葉の一つ一つが生きていて説得力があります。
これによって、歌が活きるし訴えるものが生まれるんですよね。
(こっつぁーん、Dimaから学んで~!)
Dimaはとかく容姿のことが話題になり、「カッコいいから人気があるんだよね」って思われがちですが、絶対容姿だけの人じゃない!
本当にすごい歌手だと思う!
もっと皆さん評価してあげてもいいと思います!!
カーテンコール。これがまた感動的でした。
現地特派員からビデオをいただきましたので、こちらにアップさせていただきます。
説明は要りません。皆さん、ぜひご覧ください!
(マルコは本当にええ人や~

Manrico.................Yonghoon Lee
Leonora.................Anna Netrebko
Count Di Luna...........Dmitri Hvorostovsky
Azucena.................Dolora Zajick
Ferrando................Stefan Kocan
Ines....................Maria Zifchak
Ruiz....................Ra伃 Melo
Messenger...............David Lowe
Gypsy...................Edward Albert
Conductor...............Marco Armiliato