もうすぐ
もうすぐ
日がすっかり暮れて
君はいつものように
さよなら
と手を振ってしまう
何か壮大な物語のように広がった空
赤い光を浴びた横長の雲と
前を歩く君の細い踝に眼を落として
僕は焦る気持ちを抑えた
好きです
たった一言で
僕は満足した気分に為ってしまって
もしかしたら
本当は気付かなければいけないことが
たくさん有ったかもしれないのに
ただ
少しだけ痞えの下りた薄っぺらい胸を撫で下ろして
君の影ばかり気にしていたんだ
君はどういう気持ちで笑っていた?
今となっては答えなどわからないけど
―――――
5話目。