ほどなくして勇が電話をとってくれた。

彼女の電話でなく、あたしの電話をとってくれた。


すかさず彼女から内緒話が入る。


どうしてあなたの電話を取るのよ。

あたしだってずっと掛けてるのにどうしてあなたの電話だと取るのよ。


卑怯な女。

自分は勇を捨てるくせにまだあたしに嫉妬する。


そしてあたしは勇と話す。


約束がちがくない?

あたし達は恋人になれないけど、でもお互いが存在する限りは続けようって約束したよね。

お願いだから辞めないで。

あたしがゲームを続けた意味がなくなるじゃない。


だけど勇が一番大事にしているのは彼女だからあたしがこんなことを言っても無駄なのは分かっていた。

勇は彼女が、勇の彼女でいてくれるのなら、続けてもいいとしかいってくれなかった。

あたしはそのことを彼女に内緒話で伝えた。


悩んでいたけど、彼女は最終的にそれで納得してくれた。

ただし、形だけの恋人。

勇と一緒にいることはなかった。

本当に恋人になりたかった相手とずっと一緒にいた。

勇は形だけにこだわったみたいだった。


一方、信はそんなあたしにとうとう愛想をつかして、あたしから離れてしまった。

そしてあたしは1人になった。

久しぶりに恋人がいない状態に戻った。

勇の事は相変わらず好きだったけど、勇の恋人欄には彼女の名前がずっとあった。