潤さんの言葉が頭に響く。
「・・・俺さ、もう一生誰も好きになれないと思ってた。」
そう言葉を続けた。
・・・やっぱり、あの写真の人。。。
大切な人?
「初めて逢った時、言ったの覚えてる?」
覚えてる。
-大切な人が居なくなったら、どうするか?-
って、潤さんは私に聞いたよね?
「あぁ、そうだ。そう聞いた。・・・もう、5年経つ。。。」
潤さんは大切な人の話を話し始めた。
私は・・・黙って聞いていた。
リカ。
学生時代から付き合っていた大切な人。
お互いがお互いを大切に想う存在。
もちろん結婚を考えていた。
・・・でも、、、
彼女は突然の事故に遭い、この世から居なくなった。
彼女が居なくなって悲しいと思ったのは最初だけ。
悲しみよりも、もっと辛い孤独。
生きている意味が分からない。虚しさ。
何をしても誰と居ても忘れる事ができない存在。
満たされることが無い心。
潤さんの胸には大きな大きな穴が空いた。
孤独と空虚。。。
リカを忘れようと自暴自棄になった。
色んな女と遊んだ。
しかし、彼の胸に空いた穴は・・・埋まることは無かった。
余計虚しくなるだけだった。
今度は仕事に打ち込む事で、彼女を忘れようと思った。
がむしゃらに仕事をこなす日々。
仕事に打ち込む。。。
彼女の優しい声や、優しい言葉が欲しくなった。
余計に彼女の事しか考えられなかった。
彼女が一緒に居てくれたら、という存在しない未来を描いてしまう自分。
どうしたら彼女の存在を自分の中から消すことができるのか・・・
彷徨い続けていた時・・・
私に出逢った。
私は言った。
「忘れる必要なんてない。想い出に出来る日がくればいい。」
この言葉を聞いて、、、
心が・・・少しだけ暖かくなった。
何か重いものが心から外れた気がした。
そして・・・
私という人間も、誰か大切な人を失った事があるんじゃないかと思った。
最初は、そんな私に興味があっただけ。
でも、逢うたびに、何故か惹かれるようになった。
きっとそれは、過去と向き合っていて、今を生きていると感じたから。
俺も、そうなりたいと思った。
そして、楽しそうに笑う顔。
可愛くて、愛しくて。
結構、マヌケな所も好きでたまらない。
見ているだけで、身体が心が暖かくなった。
ずっと隣で見ていたいと思った。
・・・5年もウジウジしていたのに、カオルコと一緒に居るようになってから、、、
リカの事を思っても、笑えるようになった。
あんなにリカの事ばっか考えて苦しかったのに、
カオルコの事ばっか考えて楽しくなったり、切なくなったりするようになった。
仕事が忙しくてなかなか会えない・・・
今何してるんだ?
ヨダレたらして寝てんのかな?
そんな事を思って、1人微笑む。
そうか・・・
俺はアイツの事を想い出だと思えるようになったんだ。
そう実感した。
そして、カオルコの事が愛しくて仕方ない。
こうやって、カオルコに出逢えたことで、俺は変わることが出来た。
本当に・・・
ありがとう。
・・・と、とびきり優しく微笑んだ。
「カオルコ?」
え?
知らぬ間に、私は涙を流していた。。。
・・・その涙を、彼は指で拭い、本当に優しく唇を重ねた。
その唇からも、私を大切に想ってくれていることが伝わってきた。