「…カオルコ?」
当たり前だが、電話越しに桜井さんの声が聞こえた。
「…俺…」
悲しそうな声は聞きたくなかった。
本当は沢山言いたいことがあった。
でも、困らせたくない…
嫌な女と思われたくない…
…へへ。
私、あなたに会えて良かった!!
今までありがとう!!
精一杯、明るい声を絞りだし、そう言った。
「うん…ごめん。」
ううん!
「…俺、寂しくて。カオルコ、俺じゃない誰かを見てる気がして。待つ、なんて強がり言ったけど…ごめん。」
ううん!
ありがとう、言ってくれて!
「…何かあったら、連絡してね。力になるから…」
ははは!
ありがとうー!
電話を切った…
やっぱり涙が出た。
…素直になるって難しいね。
今日で何日目だろう。
あれから、私は自宅に引きこもっていた。
タカコから電話がきたけど、スルーした。
メールで、「落ち着いたら聞いて欲しい。ごめん。」とだけ送った。
潤さんからも、何度か電話がきた。でも、スルーした。
せっかく応援してくれたのに、申し訳なかった。
…桜井さんからは連絡無かった。
もしかして、気持ちが変わって連絡をくれるんじゃないかと期待していた。
夜中、久しぶりに外に出た。
自宅にストックしていた飲み物が無くなったから、マンションの隣にあるコンビニに出掛けた。
コンビニのガラスに自分の姿が映る。
情けない格好…
ヨレヨレのスエットに、パサついた長い髪…
涙が出そうだった…
深夜のコンビニは、お客が少ない。
こんな姿の私には都合が良かった。
飲み物を取ろうと手を伸ばす。
「おい!」
思わず声がする方を振り向くと、潤さんが立っていた。