「くう!?」

ユウが驚いて東校舎のほうを振り返ったとき、不気味な風が音もたてずにふいた。

「何かあったのかな・・・?行ってみよう!」

ミカに言われて、ユウは少しうつむいた。

この感じ、あの時と同じだ・・・もしかして・・・   ユウはある事を思い出していた。不思議な、あの日のことを・・・

「うん・・・」

・・・なぜか、ユウの胸に不安がよぎった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・」

くうは今、砂漠の真ん中にある街に向かって全速力で走っていた。下足室で起こった、信じられないような事のせいで。



くうはユウたちのもとから走り去り、うす暗い下足室に入ると、バックから1枚の写真をとりだした。その写真に写っているのは、色白の、幼い少女・・・

すると、窓が異常にガタガタと音を鳴らした。ハッして、くうは後ろを振り返る。

「何だ!?」

くうがあとずさっていた、そのときだった。

「きゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!」

穴の中から悲鳴が聞こえた。それはまさに、くうが手にしていた写真に写っている少女の声だった。

ユウたちが楽しげに話しながら登校している間、ある街では少女が牢に入れられていた。

「ここでしばらくおとなしくしていろ。おまえの父親が捕まるのも近いうちだ。」

少女の牢に鍵をかけながら、少年がささやいた。

「アリベルが捕まればおまえも解放される。」

「父さんが捕まるくらいなら、私がずっとここにいる。」

少女が下を向いたまま言った。

「だめだ!!おまえは外に出て、いろんな事を学ぶんだ!!」

「・・・・・」

少女がだまりこんだので、少年は地下牢を出て行った。

砂漠の町に、風が吹いた。

「ここがラリバ中学かぁ。結構でっけえな。」

シカは校舎をながめて言った。シカは、ミカのふたごの弟だ。成績は良いのだが、好奇心旺盛すぎて危険な場所にしょっちゅう行ってケガをしている。

「入学式は体育館で行われます。体育館は北校舎の2階にあるので、そこに集合してください。」

案内役の教師に言われ、ユウたちは北校舎へ向かった。

そして、南校舎から北校舎に向かうろうかを歩いているときだった。

「やめろ!!!そのまま続けたらただじゃおかねえぞ!!」

くうの声だった。しかも、その声は体育館ではなく、東校舎の下足室からきこえてきたのだ。

今日から小説を書いていきます。

題名は、「風氷月」です。おもしろか分かりませんが、読んで下さい!


第1章  新学期! 未来へのトンネル!?


「それでね、その俳優さんが・・・」

スズが昨日のテレビで見た俳優の事を熱心に話しているのに、ユウはまったく聞いていなかった。それどころではなかったのだ。

桜並木のかおり、初めて顔を見る子達の声、今自分が着ている新しい制服。すべてにドキドキしていた。

ユウが前を見てぼうっとしていると、いきなりスズが話すのをやめた。

「どうしたの?」

ユウのとなりで歩いているミカがスズに言った。

「くう、どうしたんだろ?」

スズの言っている意味が分からなかったユウは、顔を上げた。前で歩いていたくうが学校に向かって走っていく。くうはユウのふたごの兄で、今年ラリバ中学校に入学する生徒の一人だ。

「さあね。分かんない。」

ユウはあまり興味無さそうに返事をした。くうは最近、様子がおかしいのだ。さっきのようにいきなり走りだしたり、何時間も部屋にとじこもっていたり、話していたら急に無口になったり・・・

「お前ら、早くしねーと入学するまえから遅刻しちまうぞー!」

後ろから声をかけてきたのは、自転車に乗っているリクだ。リクは小学校の卒業式で号泣して、それ以来男子にからかわれ続けている。そのせいで、あだ名が「かわいそうなやつ」になってしまった。

「うるさい!号泣してたくせに。偉そうにしないでよ!」

スズがリクに言い返した。すると今度はリクが、

「てめえは号泣じゃなくて大号泣してただろ!そんなやつに言われたくねえよ!」

と言ってスズをにらんだ。

ユウとミカは苦笑いした。たしかに彼のいうとおりだ。