くうとユウの過去(7年前)のお話です!



「エリさん・・・」

「はあ?なんかいったか?」

ユウはシカに答えなかった。さっきの風、今の声・・・ そしてこのトンネル。

まちがいない・・・

あの時の少女だった。



それは今から7年前、くうもユウもまだ5歳だった頃に起こった。

家の近くの森でいつものように遊んでいた二人は、ある物みつけた。それは、森で一番大きな木のてっぺん近くになっていた。

「くう!あれ、見て!」

「すっげえ。あんなとこにリンゴがなってやがる!」

二人はリンゴが好きだった。だから考えもせず、思いついた事を実行してしまった。くうは一番低いくぼみに足をかけると、あっというまに5メートルくらい登ってしまった。くうは幼い頃から木登りが得意だった。

「はやく!はやく!」

ユウは木に登れなかったので、下からくうをせかした。くうもそれに答えるようにスピードをあげて登った。そして高さが10メートルくらいになったときだ。

くうはくぼみから、足を踏み外した。そのとき、運悪くくうは片手を木からはずしていた。体重が一気に足にかかり、くうは真っ逆さまに落ちた。

「うああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

そのとき、風が吹いた。渡り廊下で吹いた風と同じ、まったく同じ風が。そして、少女の声がした。

「だい・・・じょうぶ・・・」

風が吹き荒れ、ユウの位置からはくうが見えなかった。



風がやむと、ユウはキズだらけのくうを抱えた少女の姿をみた。7歳くらいだろうか。だが、それよりも大人っぽくみえた。

「くう!」

ユウが駆け寄ると、少女はくうをおろした。

「ショックで気絶してしまったみたい。すぐに目を覚ますよ。足を木の幹にぶつけたみたいだけど。」

「あ、あのっ!ありがとう、ございました・・・」

ユウはなぜか緊張した。今までいろんな人と話したが、こんな雰囲気の人には会ったことがなかった。



いつもより多く(多いのかな・・・?)書きました!

シカは棚の後ろの穴の存在にようやく気がついた。

「どうしたの?・・・って、なんなのこれ!?」

「知るかっ!」

横から覗きこんできたスズを、シカはにらみつけた。

「なんでそんなにキレてんの?」

ユウに言われ、シカは少し不満そうにうつむいた。この時、誰かがきずいていればあんな事にはならなかっただろう。シカの後ろを、青い光が横切ったのだ。

「それより、この穴って・・・」

「ただの穴じゃないわよね。掘られたって感じじゃないし、穴っていうよりトンネルみたい。」

ミカはくうを探す事など忘れ、{トンネル}を調べ始めた。

「なあ。これはあくまでおれの予想だが・・・」

シカはやけに声を小さくした。

「くうのやつ、この穴に落ちたとか・・・」

「まさか!そんなわけ・・・」

と言いかけて、ユウもスズも顔色を変えた。

くうが落ちたとなると、私まで探しに行かなきゃならないかも・・・

くう、なにやってんの~!!

あいつ、バカじゃねえか・・・

もう、いやだあああああ!

それぞれ心の中でくうに文句を言っていると、

「私は・・・私は・・・」

よわよわしい声が、トンネルの奥から聞こえた。ユウはその声に聞き覚えがあった。

やっと第2章です。ちょっと1章が長びいてしまいました。


第2章  砂漠の国 過去に吹いた風


「うそだろ・・・」

あのときの、アイツが・・・

くうがその場で動けずにいると、穴から別の声が聞こえてきた。

「おまえがアリベルの・・・お前の父親は、おれの妹を・・・」

「あいつをかばって自分が罪を負っただと?おれは本人を殴ってやりてぇんだ!!」

小さな声や怒りに満ちた怒鳴り声が重なった後、木箱が割れる音や、石が砕ける音がした。

「うっ・・・」

最後にくうがきいたのは、よわよわしい少女の声だった。その声がきこえてきた時、くうは我慢ができなくなって穴にとびこんだ。何が起こったのかは分からなかったが、彼女の___自分を救ってくれた人の身に、何かが起こっている。そう思ったのだ。

「うわああああぁぁぁっ」

そして気がついた時、くうはこの砂漠の中にいたのだ。



「おかしいなあ。確かにこっちからくうの声が聞こえたのに・・・」

ユウは下足室の入り口で首をかしげた。ユウたちがいる角度からでは、棚に隠れて穴が見えないのだ。

「はやく行かないと入学式、始まっちゃうよ。」

スズがユウをせかした。スズはくうと仲が悪いのだ。どっちかというと、本当にどうでもいい。

「体育館に行ったんじゃねーの?」

シカはめんどくさそうに棚の上にバックを置いた。すると、・・・バックがひとりでに棚の裏側に落ちた。穴に吸い込まれたのだ。

「なんだ?」

驚いたシカは裏側を覗き込んだ。

「うわっ!なんだこれ!?」