冬は基本的に仕事がヒマです。収入減ります。


今年は12月に入ってから、仕事や通院、用事や買物の日以外はクリスマスに向けて家で【略式・ひとりアドベント】をやっとりました。



具体的に言うとベッドの上に転がったり洗濯物を干しながら・・・鼻歌レベルの声量でクリスマスソングと讃美歌を口づさんだり。


薄切りにしたシュトーレン(ナッツやドライフルーツの入った硬いケーキ。水分が少ないので日持ちする)とジンジャークッキーを少しずつ食べて過ごしました。







あれっ?

「何ソレ、部屋でゴロゴロしながら歌ってお菓子食ってただけじゃん」

て思ったでしょ?








ふむーん・・・小生もそう思うわ・・・。






「アドベント」っつーと日本では馴染みの無い方も多いと思います。


ざっくり言うとクリスマスすなわちイエスさんの降誕の日を待ち望む期間。おおむね1ヶ月間。


日本語だと待降節(たいこうせつ)、降臨節(こうりんせつ)、待誕節(たいたんせつ)などと訳され、過ごし方は教派によってそれぞれ違うらしーざます。


輸入食品売り場でクリスマスの絵が描かれた箱にカレンダーが印刷されていて、日付をめくると中にお菓子が入っているアドベント・カレンダーなら「見た事がある」という方は結構いらっしゃるかも。





へクソ虫はキリスト教主義の学校にいた年月が割と長く、学生時代は毎年クリスマスの1ヶ月前から「アドベント礼拝」というのが毎日ありました。


牧師の子供や、敬虔なクリスチャン家庭の子供が多い中、小生のように信仰心が皆無の生徒もおりました。


我がつんぶり家は無軌道で邪悪な一族。本来なら縁遠い分野なのですが・・・


校則が緩やかで、野良仕事をしたり手作りイベントが目白押しのにぎやかな校風がなんとなく自分に合っている様な気がして受験しました。






アドベント直前の11 月中旬頃、まず最初に教師が山から調達してきた葛などの木の蔓、針葉樹の枝葉を材料にして生徒達が大きなクリスマスリースを作るところから始まります。



クリスマスツリーは飾りません。リースが主役。



これがね、玄関ドアに掛けるようなサイズじゃないんです。


直径は成人男性の平均身長くらい。1980年代当時だから160cmちょいから170cm弱、ってとこか。


サイズ感だけで言ったら、神社で無病息災を祈願して行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」の「茅の輪(ちのわ)くぐり」で参拝客がくぐる輪にも負けてはおりません。




最初に太い木の蔓を幾重にも巻いて縛って丈夫な輪を作ります。これを芯としてその上から針葉樹の枝葉をこれでもかと言うほどぎゅうぎゅう縛り付けながら形作ります。


隙間やフカフカした部分があると綺麗な円形にならず自重で潰れてしまうんです。




寒空の下で2〜3人一組の作業。数組で交替しながらぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、足して束ねて縛ります。


トウヒやモミなどの針葉樹を握ると「イテェェェ!」と叫ばずにはいられません。


軍手をはめていても刺さるので細かい無数の切り傷、刺し傷。力いっぱい縛るので血豆、腱鞘炎。そして、寒いのでしもやけ、あかぎれで真っ赤になります。



そんな傷だらけの手に雪が降りかかる・・・




「わが神、わが神、なにゆえ我を見捨て給うか〜〜〜!?」


つらくなってくるとこうボヤく奴が出てきます。



どうやらクリスチャン・ジョークのようです。



ちなみにこれ、新約聖書の中の『マルコによる福音書』15章33節。十字架に掛けられたイエスが苦しみのあまり神に呼び掛ける最も悲痛な場面。


ですが、子供なので覚えるとすぐ使いたがります。


マラソン大会なんかでも走りながら叫ぶ奴、いました。




リース製作中、一緒に組んだ友達がこれを何回も言うので「あああああ!うっとおしいから黙れよ!」と戒めねばなりませんでした(こっちも手足が冷たいわ痛いわしんどいわ寒いわでイライラが頂点)



すると他の生徒・・・牧師んちの子が、

「旧約聖書『詩編』22編《なにゆえ遠く離れて私を助けず、私の嘆きの言葉を聞かれないのですか》を織りまぜるとか、何か少しくらいは変化を付けろよ!」

とリクエスト含みの高度なクリスチャン・ツッコミをぶち込んでおりました。


 


で、その「見捨て給うか〜〜〜!?」と叫んでいた友達ですが、少し休んでは作業を再開する度に・・・


「イエスは3日ののちによみがえり、立って歩かれた」


といちいち言わないと次の仕事に取り掛かれないので、



ものすんげーメンドクサかったです(呪



キリスト教に馴染みの無い方々にとってはナンジャラホイ?敬虔なクリスチャンの耳に入ったら本気で叱られる聖書ジョーク。

こんな冗談を聞く機会も無くなって久しいのでとても懐かしいです。





さて、生徒達の血とボヤキと鼻水の結晶たる特大クリスマスリースは礼拝を行う体育館に設置されました(予算の関係上、礼拝堂は無い)



それから毎日アドベント礼拝が行われクリスマスにちなんだ讃美歌を歌います。



いよいよクリスマスの一週間前になると特大リースの輪の中に蝋燭が灯されます。一日一本ずつ増やされていきます。



「クリスマス礼拝」当日には体育館を真っ暗にして、生徒、教師、職員の全員が一本ずつ蝋燭に火を灯し、たくさん讃美歌を歌い続けます。



闇の中に揺らめき輝く無数のキャンドルの灯火の中で歌っていると、まるで巨大なバースデーケーキの上に立っているような錯覚が致しました。





アドベントからクリスマスまでの約1ヶ月間、御馳走も出ませんし、プレゼントもありません。教派がプロテスタントだからなのか余計にシンプル、質素倹約。華やかさゼロ。


ツリーもねえ、ケーキもねえ、ターキーどころかチキンもねえ、サンタも来ねえクリスマス(吉幾三さんの歌声でお願い致します)


(でも、寮の夕飯後に一人一切れずつのアイスクリームケーキが出たので狂喜乱舞しました)



手は傷だらけ、しもやけピリピリ、歌って歌って歌いまくりでしたが、なんだかんだ言いつつ最も楽しいクリスマスの思い出です。




卒業してからはうんと静かなクリスマスを過ごしたり、はたまた全く過ごさなかったり、しています。


今年はクリスマスリース完全省略+菓子まみれ=スボラで怠惰【おひとりアドベント】のあとに・・・




マイハヌー・転倒虫が仕事帰りに買って来てくれた鶏の丸焼きを味わいながらの【おふたりクリスマス・イヴ】でございました。



それでは・・・

師走の御多忙中にこのような辺境の偏狭なへんてこブログを覗いて下さった皆様へ


VERY MERRY CHRISTMAS!

AND

A HAPPY NEW YEAR!


来年こそどうぞ良いお年を。

疫病退散ッ!

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡