母の喜び | *

『死んでいてもおかしくない状態だった』
その言葉は 母に突き刺さったのだろう
『入院したときにじゅん達は先生からそう言うこと言われたの?
 そりゃぁ心配さるよね そうだね 納得だ』
と何度も 入院中のこと
私達が毎日病院に通ってお母さんを心配していたことを思い返しては納得していた

母は死にかけたんだ

本当によくここまで持ち直してくれた
             
 叔母がメールをくれた
『 じゅんが名医を探し、
掛かり付けの医師と交渉してくれて、
この上ない娘だ…
こんな大変な時本当に助かっている』
母が私のことをそう言っていたそうだ
話が少し盛られている気がするけど
それでも本当の事だし
お母さんがこの上ない娘だって思ってくれてる
それが本当に嬉しかった

 昨日の診断結果に安堵して
母は『わかるでしょぉ お母さん全然大丈夫だから 連休中は家族でいてやって お母さんのところには来なくて大丈夫だからね』と釘を指した

なので今日は行かないことにした
でも お母さんと話がしたい
謝りたいことがある 元気な声が聞きたい 
朝電話すると   
『ねぇ昨日作って持ってきてくれた煮物
すっごい美味しかったよ!!
 圧力鍋で作った!?
見た目も味も良くて  
これなら胸を張って持っていけるよ!!
すごい!!』

そんなに喜んでもらえるなんて
本当にうれしい
たぶん 他の誰に誉められるよりも嬉しい
お母さんに花嫁道具としてもらった圧力鍋
それで作った煮物だから尚更嬉しい

私は昨日 お母さんを注意してしまったことを謝った
『お母さんが先生の話遮っちゃうのもわかる!!
私が勝手に答えて話進めちゃってごめんね
ちゃんとお母さんの話を聞いてあげなきゃ
いけなかったのに
私も先生の話についていくのに必死でつい…
失明とか白内障が心配なのも当然だよね
斉木先生にじっくり話聞いてもらおうね』
そう伝えると 母は
『そーでしょぉーそぉだよね♪』
とスッキリしてくれた
ちゃんと謝れてよかった

 
夕方 こんどはお母さんからの電話
慌てて出ると
『じゅんが頼んでくれた帽子が届いたよー
すごいいい!色も形もぴったりで
お母さんに合ってるよ
色も好き!
お父さんも似合うって言ってくれたよ
ありがとぉー♪』

お金を払うと言う母に
『 これは私からのプレゼントにさせて
私が選んで買った帽子を
お母さんが使ってくれたら嬉しいからさ』
 『じゅんが嬉しいなら 嬉しいから
じゃあ じゅんちゃんからのプレゼントっ
てことでもらうね♪
じゅんに使わせないくらい使うからね♪』
そういって喜んでくれた
お母さんが喜んでくれることが
お母さんが笑ってくれることが
今の私を何よりも励まして癒してくれる
 これからも お母さんの笑顔を
たくさん見れますように