奈落の底

人が這い上がるのは、
こんなにも難しいのに、
奈落の底に落ちるのは、
余りにも呆気無く簡単だった。

覚悟を決めたのに、
腹を括ったのに、
又してもそれが無駄になった。

一体何だったのだろう…。

自問自答しても、
答えなんて見付かる訳も無かった。

あの時苦しんだ気持ちも、
あの時流した涙も、
その後心に決めた覚悟も、
全てが粉々に砕け散った。

怒りや憤りを通り越して、
絶望と言う感情だけが残った。

絶望感で埋め尽くされた私の気持ちは、
上も下も右も左も、
もう無い。

何も失う物が無ければ、
感情のままに、
思い通りに生きる道を選んだだろう。

でも、
失う物はある私は、
こここで踏ん張って、
生きて行くしか無いのだ。

それが私なりに見付けた、
今の時点での最良の答えだった。

でも、
一つだけ言うならば、
あの時の苦しみや涙を無駄にしない為に、
このまま適当に折り合いを付けるような、
そんな生き方を私は望まない。

来るなら来い。

私はいつでも戦う覚悟は、
もう既に出来ているから…。

戦うからには容赦はしない。

私自身が納得行くまで、
とことん追求するから…。