一朝一夕 | 統合失調症の海をゆく

一朝一夕

知人の知人に、紅白とレコ大に出た人がいます。

いわゆる、一発屋です。

もう、かなり前のことですが。


67

知人は語りました。

「世間的には『一発屋』っていうだけだよね。

だけどね、本当に人生が変わるんだよ。

そんなに派手なヒトじゃなかったのに、

××(おねだん一千万以上の外車)とか、

○○(おねだん以下略の高級腕時計)とか、

ボンボン買うようになる。

そして、その後がないと、ガクッと落ちる。

人気も、仕事も、生活もね。

芸能界て怖いな、って思ったよ。」

さて、話は変わって。

もう十年近く前、

地方回りをしていたある歌手の方を評して

当時の会社の上司が言いました。


68


「あいつぁダメだよ。絶対売れねぇ。

 ただのクズだね。」

ひどいことを言う、と、思うと同時に、

その上司に一目も二目も置いていた私は、

その歌手の方は本当にダメかもしれない、

と、思ったのです。

素人の私が聞いても、当時の彼女の歌声には、

厚みというか、饒舌さ、説得力がなかった。

彼女にとって歌にかける人生の数十年は、

ムダになるかもしれない。

切ないことだ、と。

そして十年近くが経ち、

先日、タワレコで。

しみじみとした曲調と、透明感のある声で、

私の心を捉えたBGMがあったのです。


69

「これ誰?」

「知らないの?ロングヒットだよ?」

そう、彼女だったのです。

売れていました。

TUTAYAに、借りに走りました。

かなり、借りられていました。

だけど、

これすらも一発屋で終わるかもしれない。

芸能界は怖い所なんでしょう?

それでも、彼女は歌い続けていくのでしょう。

それは私にとってとても力になることでした。

改めて、ファンになろうかと考え中です。