一朝一夕
知人の知人に、紅白とレコ大に出た人がいます。
いわゆる、一発屋です。
もう、かなり前のことですが。
知人は語りました。
「世間的には『一発屋』っていうだけだよね。
だけどね、本当に人生が変わるんだよ。
そんなに派手なヒトじゃなかったのに、
××(おねだん一千万以上の外車)とか、
○○(おねだん以下略の高級腕時計)とか、
ボンボン買うようになる。
そして、その後がないと、ガクッと落ちる。
人気も、仕事も、生活もね。
芸能界て怖いな、って思ったよ。」
さて、話は変わって。
もう十年近く前、
地方回りをしていたある歌手の方を評して
当時の会社の上司が言いました。
「あいつぁダメだよ。絶対売れねぇ。
ただのクズだね。」
ひどいことを言う、と、思うと同時に、
その上司に一目も二目も置いていた私は、
その歌手の方は本当にダメかもしれない、
と、思ったのです。
素人の私が聞いても、当時の彼女の歌声には、
厚みというか、饒舌さ、説得力がなかった。
彼女にとって歌にかける人生の数十年は、
ムダになるかもしれない。
切ないことだ、と。
そして十年近くが経ち、
先日、タワレコで。
しみじみとした曲調と、透明感のある声で、
私の心を捉えたBGMがあったのです。
「これ誰?」
「知らないの?ロングヒットだよ?」
そう、彼女だったのです。
売れていました。
TUTAYAに、借りに走りました。
かなり、借りられていました。
だけど、
これすらも一発屋で終わるかもしれない。
芸能界は怖い所なんでしょう?
それでも、彼女は歌い続けていくのでしょう。
それは私にとってとても力になることでした。
改めて、ファンになろうかと考え中です。


