夫の常備品

 どこの家庭でも、冷蔵庫には必ず常備されている食品があるだろう。冷蔵庫を開ければ、必ず手にできる品は、好みもあり様々に違いない。

 夫は健康的な生活と体重を維持したく、ほぼ毎日口にしている食品がある。ヨーグルト、小豆餡、焼き芋がそうである。

 健康に良いとされている発酵食品、ヨーグルトの摂取は欠かせない。また、タンパク質、カルシウムなども豊富で、栄養価が高いのも周知の通りである。

 電気製品の「ヨーグルトメーカー」でいとも簡単にできる。成分無調整の1リットルパックの牛乳と残しておいたヨーグルトを撹拌する。ヨーグルトメーカーにセットして、7時間ほど待てば完成である。冷蔵庫の扉部分に牛乳と並んで常時入っている。彼は、毎日食べるので既製品の500グラムほどのヨーグルトパックでは、容量が少なすぎる。

 多少酸味があるヨーグルトに合わせて、ジャム類をトッピングしている人は多い。妹夫婦は、畑で採れたブルーベリーで美味しいジャムを作る。ヨーグルトとブルーベリーの組み合わせを気に入り、彼らの朝食の定番となっている。我々にも用意してくれた。残念ながら、ブルーベリージャムは彼の好みではなかった。

 夫の好みは、小豆餡である。ヨーグルトと小豆餡との組み合わせは、躊躇う人も多いのだが、彼は大層気に入っている。小豆は、栄養価も高く、粒餡が大好きなこともある。小豆は、植物繊維や良質なタンパク質など豊富な栄養分を摂取できる優れものなのだ。

 小豆餡は、保温機能のあるポットで自ら作る。何度かアク抜きをした小豆をポットに入れて、一晩放置する。翌朝充分柔らかくなった小豆に砂糖と少しの塩を加えて完成である。容器に入れて、冷蔵庫のチルドルームに入れて保存する。

 ヨーグルトの上にたっぷりと小豆餡をのせる。更に、この上に健康補助食品の粉末状の「ユーグレナ」をのせる。栄養満点の一品になる。満足気に食する夫がいる。一方で、ヨーグルトと小豆餡も組み合わせは、まだ勇気がなくて挑戦していない私がいる。

 更に焼き芋がある。2年ほど前に彼の常備品に加わった。どちらかというと、それまでは、さつまいもを敬遠していた。さつまいも料理を作っても手を出さなかったのに彼の変わりように驚く。ある日、お腹のリズム不調にさつまいもがとても効果があることを認識した。

 鉄製の「ダッチオーブン」にさつまいもを2本入れ、ガスで30分ほど調理する。香ばしい焼き芋の香りがキッチンに漂う。ほかほかの焼き芋ができた。香りにつられて、少し頬張る。

 食べやすい大きさに切り、ラップに包み冷蔵庫で保管する。食事後、電子レンジで少し温め、夫のデザートになる。整腸作用効果が抜群のようだ。秋に収穫されるさつまいもだが、スーパーマーケットなどで1年を通して購入できるのはありがたい。

 彼の常備品には、食生活の拘りと手作りの知恵がたくさん詰まっている。
(2021、2、26)