前回の内容に続き、

今回は奈良盆地の3SCの商圏について、

考えてみます。


(商圏と顧客の動き)

正確な商圏や顧客層の動きは、

当然、アンケート調査などを踏まえた詳細な調査が必要であると

思いますが、私の予想は次の通りです。



まず、このエリアは大規模商業施設の立地に適するだけの、

ポテンシャルをもったエリアなのでしょうか。


全くそんなことはなく、寧ろ大規模商業施設の立地としては、

かなり悲観的なエリアであると考えます。


そのため、「ならそごう」が開店以来一度も黒字化しないままに

閉鎖され、閉鎖後に出店を希望する百貨店は一つも現れませんでした

(結局、相当に有利な条件の提示(具体的には知りません)を受けて、

やっと、「イトーヨーカドー」が進出した)。



この3SCと競合する他の大規模商業施設としては、

西大寺駅前の「ならファミリー」(奈良近鉄百貨店、ジャスコ)、

新大宮の「イトーヨーカドー」があります。


3SCのうち、規模の大きい「高の原SC」「大和郡山SC」と、

「ならファミリー」、「イトーヨーカドー」の4つの競争力は概ね拮抗すると

思われます(多少の差はあっても、今後の各商業施設の展開で変わる範囲内)。



全体の商圏人口については、

3SCの商圏は重複する部分も多いと思うが、当然、完全に一致はしない。



まず、登美ヶ丘SCの商圏については、

登美ヶ丘SCの規模は、

近所の大規模スーパーよりは相当に大きいが、

SCとしてはかなり小粒なレベルであるため、

高の原SC、大和郡山SCのほうが近い顧客は、

登美ヶ丘SCへは流出しないと思われる。


登美ヶ丘SCの商圏エリアは、

近鉄富雄駅~近鉄菖蒲池駅エリアを

中心とする商圏人口であると考え、概ね20万商圏程度で

小さいものであると予測する。

また、3つの中で最も小さいため、

このエリアからの高の原SC、大和郡山SCへの流出は大きい。



次に、高の原SCであるが、京都府南部エリアを含むが、

それ以外では奈良市内全体、

生駒市などが中心で概ね50~60万の商圏であると予測する。


京都府南部エリアを取り込めるため、

この3SCの中では最も商圏人口は多いが、

大和郡山SCと重複するエリアが多く、これらのエリア内では、

例えば前回は高の原にいったので、今回は大和郡山にいくといったような

利用がなされる可能性が高く、売り上げの食い合いが生じるものと考える。



最後の大和郡山SCであるが、

現在は、開店直後であり、集客でやや優位であると思われますが、

これが一服した後は、上記のとおり、高の原SCと食い合いになると

思われます。


大和郡山市内~奈良県中南部のエリアについては、

大和郡山SCとは、京奈和自動車道(現在無料)で、30分以内に立地する、

奈良県最大のSC「イオン橿原アルル」があり、

大和郡山市内からも、こちらへの流出が一部発生すると考えます。

規模的にアルルは240店舗と、大和郡山SCの1.4倍~1.5倍の規模の違いがあるため、

奈良県中南部エリアから大和郡山SCへの流出はほとんどないと予測します。




これを総合すると、3SCの中で、最も投資事業的に苦戦するのは、

大和郡山SCかもしれません。



そもそも規模的に、登美ヶ丘SCは目指すところがやや異なる

(単なる住宅地内の大規模スーパーを目指す)と思われ、

一方で立地面では、高の原SCのほうが大和郡山SCより優れている

(大和郡山SCは奈良県中南部を取り込めないのに対し、

高の原SCは京都府南部を取り込める)。



事実、そのあたりはイオンも一部認識しており、

経済の停滞傾向を理由に当初計画の2割減の規模での開店となってます。



商圏人口は、高の原SCで60万程度、

大和郡山SCがこれより1~2割少ないのではないかと

思います。


百貨店の旗艦店クラスで必要な商圏人口は100万人といいます。

郊外の駅前ビルに入る商業施設では、出店の検討をするのが40万前後だそうです

(完全に独占状態となれば、30万くらいからでも可能)。



これらを考えても、

ほかに、「ならファミリー」、「イトーヨーカドー」もあるなかでの、

イオン3SCの出店の供給過剰さがわかります。



(なぜ、こんな過剰出店が行われたのでしょうか)

このような過剰な出店が行われた理由の私の推測は以下の通りです。


・景気が底入れ後上昇傾向となった時期からミニバブル期にかけて、

企画立案、土地の仕入れが行われた。


・まちづくり3法の改正で、

郊外で農地や工場跡地の転用を行い大規模SCの開発を行うのが、

困難になるため、甘い採算計画でも駆け込み開発を優先させた。


・開発当時及び現在におけるイオングループの

SCの開発企画をどこがどのように行っているのかは、

詳しく知らないのですが、


イオン単体、イオンリテール、マイカルサティ、ダイヤモンドシティ

(現在では、ダイヤモンドシティとイオンモールは併合され一つになっている)など、

複数の開発立案主体が存在し、お互いの間の調整などなく、

企画開発が行われたのではないか

(私の推測です。多少の調整はあったにしても、

同じグループ間で採算度外視で売り上げを競い合うような部分が

あったのではないか)。