水機団に第3連隊発足、ローテーション展開本格化 | すずくるのお国のまもり

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◎水機団に第3連隊発足、ローテーション展開本格化 中国念頭に南西防衛強化

 

 

 陸上自衛隊は24日、離島奪回作戦を担う「水陸機動団」の第3連隊の新編式典を竹松駐屯地(長崎県大村市)で行った。相浦駐屯地(同県佐世保市)の2個連隊を含む水機団全体で約3千人規模に増強。部隊が交代で「任務」「訓練」「待機」を担い、ローテーション展開が本格化する。南西地域では地対艦ミサイル連隊も新編し、海洋進出を強める中国を念頭に防衛力の強化を図る。
「迅速に機動展開できる体制が構築され、抑止力・対処力がより一層強化される」。木原稔防衛相は24日、竹松駐屯地で開かれた第3連隊の新編行事で部隊増強の意義を強調した。
 水機団は占領された離島を奪還するため海上から上陸し、陸上戦闘で敵を制圧するのが任務で、日本版海兵隊とも呼ばれる。第3連隊の隊員は約600人。北海道千歳市なども誘致を目指したが、第1、第2連隊や沖縄県の在日米軍との連携を考慮し、竹松駐屯地への配備を決めた。
 3個連隊に増強されたことで、今後はより効果的な部隊運用が可能となる。有事への即応、国内外での訓練、装備品の整備や待機を部隊ごとに実施できる態勢が整ったことになる。森下泰臣陸上幕僚長は「幅広い任務の遂行が可能となり、南西地域における島嶼(とうしょ)防衛の抑止力、対処力強化につながる」と話す。
 米海兵隊はインド太平洋各地に部隊をローテーション展開する運用(UDP)を行っており、米国が地域の安全保障に関与するメッセージを発している。水機団の内情に詳しい陸自関係者は「水機団も東・南シナ海でUDPを行う」と明かす。
 海上自衛隊は2010年代から海自艦艇が長期間航行して日本の存在感を示す「インド太平洋方面派遣(IPD)」を行っている。水機団がローテーション展開することで、地域の安保環境構築に向けた日本の意思をより明確にする形だ。
 一方、陸自は沖縄県うるま市の勝連分屯地に地対艦ミサイル連隊も発足させた。奄美大島、宮古島、石垣島のミサイル部隊を指揮統制する。電子戦部隊配備も進んでおり、令和8年度には那覇市の陸自第15旅団を師団に格上げする計画で、中国をにらんだ防衛力の南西シフトが着々と進んでいる。(小沢慶太)