NHKスペシャル取材班著「アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に」を読みました。
ここ数日、私の地元もスギ花粉が一気に飛び始め、くしゃみ、鼻水が止まりません。
そんなときに、自宅の本棚に眠っていた本書が目に留まりました。
うっとうしい花粉症を治すヒントがあるのか?
そう思って読んでみることにしました。
家畜と生活するアーミッシュにアレルギーは少ない
アメリカ・インディアナ州に暮らすアーミッシュと呼ばれる人々。彼らはアレルギーが猛威を振るう先進国アメリカにあって、なぜかアレルギーの患者がほとんどいない。
アーミッシュは信仰上の理由から200年前の暮らしを変えることなく守り続けている。彼らは電化製品も車も電話も基本的に使わない。牧畜や農業を行い、自給自足で生活している。
アーミッシュのルーツであるドイツ系民族と、アーミッシュの遺伝子を比較した。結果、両者の遺伝子に違いは全くなかった。特別な遺伝子は存在しなかった。アーミッシュがアレルギーになりにくい理由は遺伝子ではなかった。
アーミッシュがアレルギーになりにくい秘密は、家畜が出す細菌にありました。それを体内に取り入れると、「Tレグ」が増えるのです。
子どもたちは、牛小屋でかくれんぼをして遊んだり、馬の手入れをし、馬に乗って外を走り回ります。その度に、彼らの体内には牛や馬の身体から出た細菌が取り込まれ、着々とTレグが作られ、生涯にわたってアレルギーになりにくい体がつくられたに違いない。
【私の感想】
200年前の日本人にだって、今のように多くの花粉症患者がいたとは思えません。現代人の生活に、細菌を口に入れることが極端に減ったために、アレルギーになりやすくなったというお話は納得がいきます。昔の子どもは、畳をなめて這って動きながら、大人が裸足で歩いて持ち込んだ細菌を口に取り込んでいたという話をどこかの本で読んだのを思い出しました。
現代的な生活がアレルギーになりやすくしているなら、もっと野性的な生活にもどるべきです。
都会からの移住者もアレルギーが減った
ヘルド―さんは、17歳の時に都会生活をやめて田舎に移住。農業に従事するようになった。移住して23年目、ひどい花粉症はかなりよくなった。鼻水や涙目はほとんどありません。
検査の結果、花粉症はほぼ完治していることがわかった。
デンマークで、都会でアレルギーを発症した人が田舎へ移住した場合、アレルギーがどうなったか調査が行われた。8000人を対象に、15年間の追跡調査。田舎への移住により、アレルギー症状の大きな改善が見られる人が大半だという。
私達の研究から、田舎に移住し、家畜と接触することで、アレルギー症状が確かに改善することが分かってきました。しかし、その改善はすぐには起こりません。数年、いや10年間は田舎暮らしを続ける必要があります。数週間の休暇では意味がありません。
【私の感想】
子供の頃から家畜と触れ合って育つこと、あるいは、10年間畜産業に転職すること、どちらも花粉症の改善に即効性のある話ではありません。とはいえ、日常的に細菌を体内に取り込むことがアレルギーを減らす鍵だということはよくわかりました。
家畜を飼っての自給自足の生活のほうが、都会で無菌状態で暮らすより人間本来の暮らし。そう思えてきました。
細菌と触れ合う生活を取り戻す
ピーナッツを食べて腸から吸収すれば、ピーナッツへの攻撃を止めるTレグが作られ、ピーナッツアレルギーの予防になることがわかった。それなら、「花粉を食べれば、花粉を攻撃しないTレグが増えて、花粉症を予防したり、治療したりできるのでは?」
答えは、ほぼイエスだ。
・舌下免疫療法では、花粉の成分の入った液体を舌の裏側に垂らす。これで花粉成分が自然に吸収される。すると、花粉症の辛い症状が軽減されたり、場合によっては完治する。
・まだ実用化されないがユニークな花粉症治療がある。花粉の成分の入ったお米をつくり、それを日々食べるごとに、花粉成分が腸から吸収されていく。吸収されるたびに、花粉への攻撃を止めるTレグが作られる。
私達現代人は、衛生的な環境で暮らし、細菌と触れ合う機会が少ないので、Tレグが減ってしまった。それがアレルギーの急増につながっている。そこで、細菌のDNAを注射する免疫療法が開発されている。この新たな治療法は、現在大規模な臨床実験を繰り返している。
【私の感想】
そうか、スギ花粉の成分を口から摂って、腸から吸収すればよいのか。私は単純に考えて、ネットでスギ花粉の含まれた食品を検索してみました。でも、買って試したいような商品はありませんでした。
本書からは、今の私に即効性のある花粉症対策は得られませんでした。でも、何となく、最近の私のテーマ「野生に返る」に合致していたので、嬉しかったです。
ありがとうございました。
先日の散歩にて。花粉で目が腫れぼったくなっています。