鯨岡栄一郎著「療法士が変わるときに手にする本」を読みました。

 

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本書は、友人の鯨岡さんが書いた本だったので、発売すぐ(2~3年前)に購入しました。当時の私は、施設の事務長になったばかりで、「自分が理学療法士である」というアイデンティティを遠ざけようと考えていたように思います。本書もタイトルが「療法士が・・・」であったので、何となく本棚に置きっぱなしで、手が伸びませんでした。

 

 本書を改めてみてみると、「セルフイメージを高めること」であったり、「輝くチームづくり」であったり、必ずしも療法士でなくても活きる内容が多く語られておりました。療法士向けというより、リーダーシップが求められる今の私のような仕事にとって、役立つ内容と感じました。

 

自分軸をしっかりと持つこと

 

(本書より)

 

あなたの周りにも、うまくいっている人、成果を出している人、自信満々で行動している人がいらっしゃると思いますが、その方々は「自分とのコミュニケーション」を上手に行われている人たちです。

 

反対に、若い人たちに『自信がない人』が増えているように思われます。専門職の方にも、週末あちこちで開催されているセミナーを行脚する”セミナー難民“と呼ばれる方々がいるようです。

(中略)

 

他人の動きを気にすることなく、自らが主体的に考え、動く、いわば、

「自分軸」をしっかり持つことです。これがセルフコミュニケーションの根幹と考えます。

 

【私の感想】

振り返れば私は、一時期に鯨岡さんのセミナーには毎回参加し、毎月コーチングを受けていました。他の方々のセミナーやコーチングも複数受けて、毎週のように都内に学びに出かけていました。ここでいう「セミナー難民」であったと思います。

 

ここ数年の私は自分がやりたいと思っていた、経営の一端に携わることができるようになりました。自らのコンディション作りを大切にして、運動、食事、姿勢、生活スタイルなど自分にあった習慣ができるようになった実感もあります。

 

ようやく、本書で鯨岡さんが伝えようとしてくれていた、「自分軸を持つこと」の意味がわかってきた気がします。「セミナー難民」であった頃の私は、結局「こんなすごい人から直接学んでいる自分」に酔っていて、結局人の力に頼って強くなろうとしていたということに気づきました。

 

主体的であること

 

本書の中で鯨岡さんの専門分野である、コミュニケーションスキルの項のトップに「主体的である」ことについて語られています。

 

(本書より)

「他者依存」であると、身の回りに起こることに翻弄され、不平不満が多くなります。また、自分ではどうにもならないことを、無意味に悩むことにつながります。つまり受け身な状態で、変化に弱くなります。出来ない理由を、人や組織、状況のせいにしがちで、課題はコントロールすることができません。効果的な動き方に目を向け、主体的であることです。そうすればコントロールが可能となります。状況、感情、環境、すべて自己責任となり、力を試しやすくなります。

 

【私の感想】

受け身な状態でいると変化に弱くなる。まったくそうだと思います。施設を運営していくには、日々本当に様々なアクシデントやトラブルもあります。うまくいかないこともあります。それを誰かのせいにしたり、誰かに頼るばかりでは、先に進みません。そんなリーダーでは、メンバーも信頼しませんし、みんなを右往左往させてしまいます。

 

今の状況で、自分たちの力でできることに目を向けて、それに力を注ぐことだと思います。今のコロナ禍の状況で、特効薬を見つけることは自分たちにはできなくても、私たちの施設の利用者をどう守るかには力を注げます。「コロナのせいで困った」と思って落ち込んでばかりいることは、鯨岡さんの言う「自分ではどうにもならないことを、無意味に悩むこと」です。

 

「やるしかない」と腹をくくる

 

(本書より)

リーダーシップに迷い、余計な動き方をしたり、信頼を勝ち取れないリーダーがいます。

私も、何度となく壁にぶちあたった経験があります。よく「決断」の重要性を言われますが、逆に、言い訳が通用しない状況に追いつめられると、「やるしかない」と腹をくくることが出来るものです。

 

何が起きるかわからない、予測不能な時代です。益々、真のリーダーが求められてきています。

 

【私の感想】

 鯨岡さんは老健の施設長であったとき、東日本大震災で被災して、施設丸ごと県外に避難するという場面を乗り越えています。その経験から語られるからでる凄みというか、たくましさを本書から感じました。自分の軸をもつこと、主体的であること、そういったことが細かな「スキル」といったものなんかより、重要と思います。

 

震災で感じたみんなが感じた先行きの不安は、いま世界中が怯えている新型コロナで、「これから世界はどうなってしまうのか?」という不安があると思います。私たちは、施設の利用者を守り、組織が経営的に「生き残る」ことをやるしかありません。私たちは何が何でも生き残ります。

できることから取り掛かって、そこで得られる経験も大いに自分の「ネタ」にしていこうと思いました。

 

ありがとうございました。