小笠原清忠著「一流の人はなぜ姿勢が美しいのか」を読みました。

 

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このところ自らの姿勢に意識がいっていて、歩くときや走るときの姿勢が自分史上最高に良くなっていると思います。力み過ぎずに姿勢を保つコツがつかめてきた感じ。

 

気を良くして、更に姿勢について学んでみようと思って本書を購入しました。

 

著者は、礼法や弓馬術からなる小笠原流宗家を継承されている方。小笠原流は、鎌倉時代から伝わり、将軍家や大名家の礼法指導にあたってこられました。礼法の基本を端的に言えば、武士の気高い心の持ちようと、見た目にも美しい身体の使い方、だそうです。

 

 

心正しく、体直く(たいなおく)

 

小笠原流礼法の考え方は「心正しく、体直くす」この一言に尽きます。

「心正しく」とは、「偽らざる心を持ち、常に平常心でいる」こと。「体直くす」は、文字通り「体を真っすぐに保つ」ことです。すべての動作の基本は、正しい姿勢をとることにあります。

 

正しい姿勢は心にも作用します。体に適度な緊張を強いることにより、集中力が高められ、それが持続できるようになります。つまり、疲れにくい体が出来上がるのです。おそらくは幼いころから礼法を学んだ武士が、常に毅然とした態度、行動をとることができたのは、そこに理由があると思われます。

 

「耳は肩に垂れ、顎が浮かず、襟がすかぬよう」

正しくたったときの姿勢を、礼法ではこう指導します。

意識して、耳の線が肩に下りるように頭を据え、顎を軽く引き、首は服の襟との間に隙間ができないようにします。

 

【私の感想】

正しい姿勢が、武士のような常に毅然とした態度を作る、というのは私に響きました。私は大河ドラマや時代小説で、武士のマインドを自分にインストールしようと思っています。それは、私にぶれずに動じない「毅然とした態度」がとれることが仕事に必要だと思うから。それが「礼法」として幼い時から正しい姿勢を教育されてきたことと繋げて説明されて、強く納得できました。

 

それと、立ち姿勢の「首と襟の間に隙間が空かないように」という教え方が意識しやすいと思いました。姿勢治療家・仲野先生から「耳の後ろを上からつられている感じ」と教わりましたが、それに加えて「首と襟に隙間が空かないように」を良く覚えておきます。

 

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昨日の散歩で、特にこれを意識して歩いてみました。いつもより目線が高くなった感じがしました。これを無意識に実践できるまで体に覚えさせようと思います。

 

 

呼吸に動作を合わせる

 

礼法では、ゆっくりと深い呼吸を常とします。礼法のお辞儀で、まず習うのが呼吸です。「礼三息」といいい、呼吸に動作を合わせます。

 

一息 吸う息で上体を傾ける

二息 吐く息の間は傾けたままとどまる

三息 吸う息で上体を起こす

 

礼三息は、習い始めでは自分の呼吸に合わせてお辞儀をするのが精いっぱいですが、だんだん慣れてくると、相手の呼吸に合わせられるようになります。相手の呼吸に合わせることにより、ほんのわずかな時間のあいさつでも気持ちが通じ、心を響き合わせることができるのです。

 

よどみない動きを生む出す根本が呼吸です。弓道の場合も、止むことのない連続した呼吸に合わせて一連の動作を行います。

 

心に不安や怖れ、精神的な疲労があると、呼吸は浅くなり、乱れやすくなります。そのようなときに、ゆっくりとした深い礼法の呼吸を試してみてください。

 

判断を鈍らせず、落ち着いて的確な行動がとれるようになるには、姿勢を正し、意識して正しい呼吸をすることから始めるのが、一番近道だと思います。

 

【私の感想】

礼法のお辞儀、弓道の呼吸をイメージしながら、日頃から深い呼吸を意識してみます。私の長年の習慣であった「ねこ背」により、呼吸が浅くなって、肚が座っていない態度を作っていたと思います。「呼吸に動作を合わせる」というと、かなりゆっくりとした動きになるイメージです。ランニングも呼吸を乱さずに一定の呼吸を続けていけたら、持久力が続くと思います。

 

足は平行に踏む

 

礼法では、歩き方の基本を畳の上で身につけます。畳の上での美しい歩き方は、両足の間の重心位置から、前方に伸ばした一本の線をはさみ、静かに足を踏み出していくイメージです。このとき大切なのは、立つ姿勢と同様に両足を平行に踏んで歩を進めることです。

 

歩くときも呼吸に合わせることが大切です。礼法では「一呼一足一吸一足」、すなわち吐く息で一歩、吸う息で一歩が基本となっています。一定の呼吸、一定の歩幅、途中で息をとめることなく、足を滑らすような感覚のすり足で歩くのが、室内での基本です。

 

こうすることで、歩く姿はゆったりと落ち着きがあり、動きによどみがなく、優雅さを備えたものになっていきます。

 

現代では、体が前後左右に揺れる、骨盤の運動量が大きい歩き方をする人もみかけます。かつて武士は、そういう歩き方は決してしませんでした。武士は腰に刀を帯び、危険に対して即応できる体勢を常としていたからです。

 

意識して、正しい姿勢で足を平行に踏み出すことからはじめましょう。

 

【私の感想】

私の歩きは、右足かかとの外側の靴がすり減っていることから、右足のつま先が外側を向いていることがわかります。それは骨盤をしっかり立てることで足の着き方が変わってくる感じがしてきています。

足をガニ股や内股にせず、平行に出していく。それが無駄のない歩き方だと納得します。

私も歩くとき、正しい姿勢で足を平行に出すことから始めてみます。

 

ありがとうございました。