脂肪を燃やせ!断糖の目的は再起動 | 鈴木内科クリニック院長ブログ

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~食事で健康になれるはず~

脂肪を燃やせ!故障の原因やパフォーマンスが上がらないのはエネルギー源として脂肪をうまく使えていないからだ。そう提唱したのは心拍数を目安にすることで持久力を向上させるマフェトン理論で有名なフィル マフェトン(医師ではなく、カイロプラクター)です。以前にも書きましたが、彼が食事においては糖質制限を大前提としていることはあまり知られていないというか無視されてきました。日々のトレーニングとして長時間にわたる高強度運動に取り組んでいるアスリートたちは、高炭水化物食品をとらなければならないというのは常識であった1980年代(いまだに続いているのかな)、彼の考えは完全に異端であったからでしょう。それで心拍数トレーニングの方だけが紹介されることがおおくなってしまったようです。しかし時代は変わり、医師であり、スポーツ科学の権威であり、自らもウルトラランナーでもあり、かつてカーボローデングの提唱者であったティム ノークス博士はマフェトンが正しかったことや自分の誤りを認め、バンティングダイエット(MEC食に近い)というローカーボ食を現在は推奨しています。

 マフェトンの推奨する食事の割合は炭水化物:脂肪:たんぱく質=4:3:3となっており、これでは穏やかな糖質制限といえるぐらいなのですが、省かれてしまう大切なことは、彼が治療の最初に2週間の完全糖質断ちを行わせることと、そして徐々に糖質をとらせながら、個人において最適な量の糖質量を見つけさせることです。糖質4割はとれということでは決してありません。
 2週間の断糖が、質的変化をもたらすこと、そしてそのあとであれば低糖質が問題にならないこと、許容できる糖質レベルが個人によってかなり異なることなどをすでにマフェトンは知っていたのです。

 これらのことが紹介されているのがNATURAL BORN HEROESです。作者は多くの裸足ランナーたちが誕生するきっかけとなったBORN TO RUN のクリストファー・マクドゥーガル。クレタ島を舞台にした英国特殊部隊の話の中に、その英雄的活動を可能にした源動力として人間本来の自然な動き(ナチュラルムーブメント、筋肉より筋膜)と人間本来の食事としてでてきます。

 

 以下はこの本からの一部抜粋です。

 

 スチューが今のやり方を劇的に変えない限り、きっともっとひどい故障をすることになる。わかりました。僕の問題点は何ですか
ランニングのテクニック?土踏まずのアーチが弱いこと?…
砂糖だ。
砂……本当に?
甘いものや炭酸飲料だけじゃない。とフィルは説明した。パスタ、エナジーバー、パンケーキ、米、シリアル、(略)スチューがランナーの理想食だと聞いていた、精製された炭水化物すべてだ。

 「トレーニングのポイントはどれだけ早く足を動かせるようになるかじゃない」とフィルは言った。「ポイントは身体がエネルギーを得るやり方を変えることなんだ。もっと脂肪を多く燃やし、糖を減らした方が良い」。このころのスチューの体は「糖を燃やし、脂肪を蓄えるモンスター」だった。

 簡単なことだ、とフィルは語りだした。脂肪を燃料として使うにはふたつのことだけやればいい。糖を減らし、心拍数を下げることだ。

 脂肪に頼ることを身体に教えれば、炭水化物の燃焼は減って、炭水化物を無性に欲しがることもなくなる。ただし、ここでごまかしはきかない。身体は脂肪が大好きだ。我々の器官はその宝物を燃やすよりもそのままためこんでおきたいため、ほかに燃やせるものがあると感づいたら、そちらを先に使い、残りをさらなる脂肪に変える。糖を燃やすサイクルから解放されるためには、スチューは糖への依存を即座にきっぱりやめるしかなかった。一日中いくらでも食べ続けていいが、それは肉、魚、アボガド、野菜、ナッツ類に限られる。豆はだめ、果物もだめ、穀物類もだめ、大豆もだめ、ワインも、ビールもだめ、サワークリームや本物のチーズといった全脂乳製品ならいい、低脂肪牛乳はなしだ。

 ひとたび腹を再起動すれば、われわれが依存するようになった偽物ではなく、ずっと狩猟し採集してきた食料を欲しがるようになる。デンプンのサイクルから脱出し、体が自然な代謝に戻ったら、我慢できない空腹や午後の低血糖や真夜中の間食から解放されるのだ。たった一つの大雑把なルールを守りさえすれば、14日しかかからない。高血糖の食べ物は口にしないこと。
 2週間後には血糖値点からいってまっさらな状態になっていて、砂糖による急上昇からさらなる急上昇へとつづく悪循環は断たれているはずだ。そしてテストが終わったっら、精製炭水化物をすこしづつ食事に戻していって、どうなるか様子を見る。パン一切れ食べて、もし変化がなければ大丈夫。でも膨満感があったり、けだるくなったり、眠くなったりしたら体が効果的に代謝するにはデンプンが多すぎたということだ。

 断糖の目的は再起動