一夜城ヨロイヅカファーム（小田原）
２００４年、フェラン・アドリアという天才料理人のことを知り、
「エルブリ」の写真集をヒントに、ある企画書を書いたら番組が生まれた。
それが、「魂のワンスプーン」だった。
番組には、フェラン氏も出演してくれ、あまりに感動して、
スプーンにサインしてもらった(笑)
半年で終わった深夜番組なのに、僕の周りには、
この番組のことを覚えている人は意外に多く、いまだに僕の中の、
“昔取ったキネヅカ”というか、
ま、恥ずかしながら、“過去のご自慢”なのである(笑)
で、そんな「エルブリ」が先日、映画になった。
「EL Bulli ～エル・ブリの秘密、世界一予約の取れないレストラン 」である。
先日、試写会があり、観に行ったのだが、エルブリの厨房をのぞき見る視点の映像は、実に衝撃的。
ハイレベルな料理に興味ある人にとっては、たまらないと思う。
そんな今日この頃。
僕が尊敬する天才パティシエ、鎧塚俊彦さんが、
先日、また１つ新たな夢を実現し、そのレセプションに行ってきた。
思えば２００４年、恵比寿にToshi Yoroizukaをオープンして間もない頃は、
日曜の午後でも、まだお店に行列はなく、思いつきで店に遊びに行って、
カウンターで、トシさんとしゃべりながら、スイーツを楽しめた。
カウンターで食べるケーキが異常に美味しくて、
そして、トシさんが語る夢やコンセプトが素晴らしくて…
以来、番組に出てもらったり、プライベートで遊んだり、
親しくさせてもらっている。
その後の大活躍はご存知の通り、
天下取りのプロセスを近くで見れて、嬉しい限り(笑)
で、トシさんは当時から言っていた。
「いつか農園をもってスタッフと畑を耕して、
そこで出来た果物からスイーツを作ってみたい」と。
自分でも「夢物語ですけどね」なんて言いながら、嬉しそうに語っていた。
聞いてた僕も、「いつか叶ったら楽しそう、いつなんだろな」
と思っていたのだが、さすがトシさん、あっという間に実現してしまった。
それが、「一夜城ヨロイヅカファーム 」である。
場所は、小田原の早川。
新幹線で品川から３０分。
小田原駅からタクシーで１５分ほど。
海と高速を眼下に見ながら、
山を登って行く。
辺りは早川みかんの農園。
窓をあけると柑橘のいい香り…
秀吉の北条攻めで有名な「石垣山一夜城歴史公園」の目の前、
相模湾を一望する高台の上に、それはあった。
まさにトシさんの天守閣のように、それは輝いて見えた。
コスモスの花が、畑一杯に咲き誇っている。
畑と海を見ながら、腕利きシェフのフレンチと、
トシさんが、畑を耕すところから育てた果実を使った
スイーツをデザートにいただけるという、
まさに夢の農園レストランだ。
この日は、レセプションにつき、
立食で、いろんなワインとスイーツをいただいた。
０６年「嗚呼！花の料理人」の頃から親しくしている、
料理人仲間も多数集まり、なんだか同窓会のようだった。
シェフたちが、「あの番組以来、ホント世代とジャンルを越えて、
みんな仲良くなりましたよね。今テレビ出てる人、
みんなあの時の料理人仲間ですもんね」って語りあっているのを
耳にすると、関わった僕も、なんだか嬉しいね。
落合シェフが、突然、厨房に入り、パスタを作るぞ！ってなって、
それを菰田さんたちで手伝い始めるチームワーク…素晴らしい。
トシさんの傍らには、甲斐甲斐しく動く妻、なお美さんがいる。
着物姿でいろんな人に挨拶している姿は、
なんだか梨園の妻のよう(笑)
（今、キーボードをリエンと打ったら離縁と出たけど関係ない・笑)
早く通常営業で座って食べてみたい。
ヒノキの間伐材の板の上に、ミカンのピューレと生クリームが入ったケーキを乗せて、
木の香りも楽しめる「一夜城ロール」も楽しみだ。
思うに、人に夢を語ることって、大人になるにつれ、減って行く。
実現しなかったら、こっぱずかしいから、口を閉ざしてしまう。
でも、トシさんのように、少年のように夢を語り続けると、
語ることによって、それを応援する人が現れ、そこに向かって道が
出来て行くのだなと、改めて思った。（なんかマジメだね、今日のブログ）
「自分達で精魂こめて作った素材から本当においしいお菓子を作りたい」
これは、著・鎧塚俊彦の新刊「職人力 ！」（朝日新聞出版）に出ている一文である。
その２１５Pを見て、なんだかホッとした。
このご夫婦の出会いのきっかけになれて、良かったと。
「ヨロイヅカファーム」にて料理人の皆さんと
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