くちなし | suzu-voice

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わたしの、すべて。




 

ふわり、

 

くちなしの花の香りが風と共に漂ってきた。

 

よく見ると

白いとても可憐なお花が咲いている。

 

ああ、懐かしい。

 

昔、祖母の家にくちなしがあって

ちょうどこの季節になると

たくさんの白い花を咲かせていた。

 

よくそこのお庭で遊んだことを思い出す。

 

そのにおいの記憶は

すぐに私を連れていってくれた

 

周りのものすべてが

新鮮で不思議に満ちあふれ

その中で夢中で遊んだあの頃に。

 

その花びらが

その葉っぱが

その土が

その石が

そのありさんが

 

全部とても大切だった。

 

たくさんのときめき

 

淡いセピア色の優しい思い出。

 

 

 

すぅっと

 

もう一度。

 

思う存分くちなしの香りを吸い込んで

辺りを見まわしてみると

 

単なる背景となっていた

見慣れた景色も

 

何だかいつもと違う輝きで

私の目に飛び込んできた

 

目に入るもの1つ1つが

とても大切に感じられる。

 

 

 

くちなしの香りが思い出させてくれた

私の中に眠っていた記憶のかけら。

 

忘れずに

磨いてゆこう

 

 

日々ときめきを感じられるように。