顔だけでない、強面外交。

 

「超国家機関は必要なし」 北方領土の共同経済活動でラブロフ露外相が発言

(産経ニュース 2018.2.12 20:44)

 

【モスクワ=遠藤良介】ロシアのラブロフ外相は11日、国営テレビが放映したインタビューで北方領土問題に触れ、日露両国政府が協議している北方四島での共同経済活動のために「超国家機関を設ける必要は何らない」と述べた。ラブロフ氏は、同活動の促進にはロシア側の制度だけで十分だとも語り、日露間で認識の隔たりが埋まっていない可能性をうかがわせた。

 

 日本は共同経済活動について、双方の法的立場を害さない「特別な制度」を設けて行うことを求めている。ラブロフ氏は、ロシア側が一方的に指定した北方四島の新型経済特区などが「(日本にとって)全く魅力的な特典だ」と発言。同時に、「それが不足なら政府間合意を結ぶ用意もある」と述べた。

 

 ラブロフ氏は、平和条約締結後に色丹、歯舞の2島を引き渡すとした日ソ共同宣言(1956年署名)に触れ、同宣言に基づく形での平和条約締結を望むと発言。その半面、北方領土は「第二次大戦の結果」としてロシア領になったのであり、日本はその「揺るぎなさ」を認めねばならないと主張した。平和条約問題では、日米安保条約が交渉の障害になっているとの見方も示した。

 

 

ロシアは領土の広さはともかく、GDPでは韓国ですら下回り、2016年で世界第16位です。

日本と比較すれば、約1/4。

経済力では太刀打ちできない程の国力でしかないのにこれだけ強面外交が出来るのは、なんといってもあの強大な軍事力を背景にしているからだと言えます。

 

さてラブロフ外相の主張を整理します。

 

1.北方4島での共同経済活動に、(日本が主張する)双方の法的立場を害さない(日ロ政府共同経営の)「特別な制度」は必要ない

2.既にロシアが(国内制度で)実施している新型経済特区が(日本にとって)魅力的な特典であり、(その延長線上なら)政府間合意を結ぶ用意もある

3.日ロ平和条約は、日ソ共同宣言(1956年署名)に基づく形での平和条約締結を望む(=平和条約締結後に色丹、歯舞の2島を引き渡す)

4.北方領土は「第二次大戦の結果」としてロシア領になったのであり、日本はその「揺るぎなさ」を認めねばならない

 

 

交渉の結果の妥協を考慮して、最初は自国の要求を高めに設定するのが外交テクニックであるのは事実ですが、その点ロシアは徹底していますね。

もっともそれだから日本としてはその要求が呑めないからこそ、ソ連の時代から平和条約が締結できないまま大戦終了後70年以上、交渉が平行線のまま、時間だけが経過する事になったのですが…。

 

ラブロフ外相の主張を分かりやすく言い換えると、こういう事です。

 

1.北方領土は第2次世界大戦で日本に勝った結果なのだから、領有権の主張はあきらめろ。(上記では4に相当)

2.ただ平和条約締結するなら、色丹、歯舞の2島なら、友好のために譲ることを考えてもいい。(上記では3に相当)

(それは今後の交渉次第の話で、「譲る」とは明言していない…というのが裏の意味)

3.だからロシアの主権を侵害する「特別な制度」は必要ない。(上記では1に相当)

4.南クリル諸島(北方領土のロシア側の言い方)での日本の経済協力は、ロシアの国内制度の下でさせればいい。(上記では2に相当)

 

この通りに日ロが合意するというのならば、日本側に何のメリットもない事が分かりますね。

 

恐らく2016年のプーチン大統領訪日で話し合われた内容と、そう変わるものではないでしょう。

その当時の交渉について、NHKの解説が今でも見られますが、ここで合意した経済協力は、日本の友好国に対するものではなく、疎遠なご近所さんに対するお付き合い程度のものとしか見られませんでした。

 

ラブロフ外相はもしかするとこれで満足しているのかもしれませんが、逃がした大魚が大きい事に、気づいていないようです。

日本が本気で友好的に経済協力すれば、どれだけ国益に資するか、理解出来ていないようです。

 

友好的な経済協力の結果、世界最貧国の状態だった韓国が『奇跡』を起こし、経済大国の一角を占めるほどになりました。

中国は爆発的に成長し、GDP世界第2位(中国の発表が正しいなら)の大国になりました。

ロシアはそこを見誤っていますね。

 

国家のメンツを曲げるのが難しいのは、分かります。

しかしどう考えても、(エリツィン大統領当時の経済混乱ほどでないにせよ)ロシア経済ががけっぷちに立っている事は、誰の目にも明らかです。

それを救うとすれば、日本からの経済全面協力を引き出すことです。

それが出来れば、ロシアは名実ともに世界の大国として復活できるでしょう。

 

日本からの経済全面協力を引き出すには、どうすればいいか?

国家のメンツを曲げる覚悟をすれば、簡単な事です。

北方4島を、耳をそろえて日本に返還すればいい。

それで相互不可侵条約を締結すれば、日本側からそれ以上の領土要求はなくなりますし、日本はわだかまりがなくなって、全面的な経済協力に向かうでしょう。

その方が両国にとって、はるかに国益にかなうでしょう。

その辺の発想の転換がロシアにできない限り、日本が協力できることはあまりない=ロシアはじり貧のままになると思います。