昨日(4月3日)は、タイに留学している中国人女子大生を身代金目的で誘拐し、身代金の受け取りが失敗したため学生を殺害し逃亡している中国人男性3人のことを記事にしました。
このように国境を超えた犯罪がタイでも起きているわけですが、今日はもうひとつ、タイ人の個人情報がハッキングされたというニュースをご紹介します。
「9Near」と自称しているハッカー集団(?)が、「タイの政府機関などからタイ国民5,500万人分の個人情報を盗み取った。4月5日までに身代金を支払わなければ、個人情報の売買をしているサイト『ブリーチ・フォーラム』で個人情報を公開する」とのアナウンスを出しました。
※具体的には、姓名、生年月日、国民登録番号、住所、電話番号です。
5,500万人分の個人情報って…タイの人口は7,100万人ほどですから全国民の8割に相当…。
「9Near」は、個人情報を取得している証拠として、著名なタイ人数人の個人情報を公開しました。5,500万人分かはとにかく、どうやらかなりな個人情報を入手していることは間違いなさそうです。
タイ政府は情報漏洩を否定し身代金の支払いもしないと発表していますが、「9Near」が期限として区切った4月5日が近づくにつれ、タイ国内では「いったいどうなるのか」と不安視する声が高まっていました。
すると、かの「9Near」が再び声明を発表。
その内容は、「スポンサー間で対立が生じたため、個人情報を公開する計画をキャンセルする」というものでした。
はて、いったい何が起きたのか。
とりあえず大量の個人情報が公開されずに済んだことは朗報ですが、だからといって安心できるわけではありません。ハッカーたちがいつ何時、政府や企業などに登録されている私たちの個人情報を盗み出してしまうのか、そのリスクがますます高まっているのです。
被害を最小限に抑えるために。
サイバーセキュリティーの専門家は、SNSを利用するスマホと電子決済を主にするスマホを分けることが有効だ、と話しています。数年前であれば、「大げさな…」と感じていたことも、ひょっとしたら今後は必要な対策に位置づけられるかも知れません。
個人情報の電子データ化が進むにつれ、ハッキングの被害を受ける機会が増える…。かといって、個人情報データを特定のサーバー内に閉じ込めておくだけでは、データの電子化がもつ便宜性が損なわれてしまう。さらにこの問題をややこしくしているのは、ハッカー集団が国境を超えてくること。どこかの国のように、国家をあげてハッキングに取り組み、収益を得ているところもあるくらいですから、こうしたサイバー犯罪を取り締まることはまったく至難です。
便利なツールを発明するのは人間。
その便利なツールを悪用し、不正な利益をあげようとするのも人間。
IT技術の発展と共に、人間のもつ倫理観も、技術の発展に伴って進歩していかなければならないようです。私には、人間の倫理観は退歩しているように思えて仕方がないのですが。