今日から7月ですね。

昨日読み終わった本です。6月は20冊以上読みました。数を競うつもりはないけれど、多読によって研ぎ澄まされる「何か」を感じます。

 

こちらは御子柴シリーズ3作目。このシリーズ、ぱっと見のタイトルが似通っていて見分けるのが辛い。ちなみに次は復讐の協奏曲(コンチェルト)ね。笑 

 

1冊目(贖罪のソナタ)で御子柴の少年院時代

2冊目(追憶のノクターン)で御子柴の贖罪と岬恭平との法廷対決

そして3冊目の今作では、もう一つの贖罪の在り方として、稲見教官を弁護するという話でした。

 

老人施設での虐待の話は読んでいて辛かったです。

本人たちは訴えたところで行き場がない。

人が老いて死ぬのは、なんと大変なことでしょう。現代社会の闇でもあります。

 

そして、若者がホームから転落しそうな老人を助けて命を落とすというのも、辛い。

 

ああ、辛さでいえば、救命胴衣を入手したのに、それを殴って奪われて殺されたお嬢さんとそのご家族。さらに、そこまでしていても「緊急退避」で無罪になった男。

 

無罪を勝ち取ろうとしても、被告人本人がそれを望まない。

つるの恩返しの話が秀逸でした。引用します。

「鶴の羽毛で織り上げた布は大層美しく、都で高く売れた。高く売れて老夫婦が喜ぶものだから鶴は布を織り続け、そしてどんどん疲弊し、哀れな姿に変わっていく。だが、もしその羽毛で織った布が人々から忌み嫌われたとしたらどうだったろう。あまりに生々しい色合いが忌避されて全く売れなかったとしたら? 鶴にできる奉仕が自らの羽毛を毟り取ることしかなかったのなら、それでも鶴は機を織り続けたのだろうか」