いちばん分かりやすい説明としては、チェッカーズのサックス担当者であり、チェッカーズの様々なシングル曲や猿岩石の「白い雲のように」の作曲者であり、ボーカル・藤井フミヤの実弟だ、というところになるだろうか。
そして、この人が1998年に出したアルバムに収録されている「歩こう」という曲がある。作詞は職業作家であり、ジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」(作曲)やクールスの「シンデレラ」(作詞・作曲)、人気芸人ザ・ぼんちの「恋のぼんちシート」(作詞・作曲)など、前衛的な音楽を数々作り上げた近田春夫。作曲はもちろん藤井尚之本人だ。
もう会えないかな
そんなこと思いながら
歩いているよ
歩いていこう
パチンコ攻略マガジンという、パチンコ業界では名の知られた雑誌でひっそりとページを作ったりサイトを作ったり、あとたまに顔を出してくだらないことを書いたりしていた俺も、退職して2年が過ぎたら、この歌のような気持ちになることがあるものだ。
俺が初めて、見たこともない人に応援してもらうという、分不相応な幸せを得たあの時代。入ったばかりの頃はまだまだ出版業界というものは徹夜とかが当たり前にあった時代。何をどうしたら会社や読者さんに褒められる記事を書けるのかまったく分かっておらず、ただ時間だけを無駄に浪費していた俺は、何度となく辞めたいと思っていた。
それでも辞めなかった理由は、単純に年齢や生活のことを考えていたからであったのだけれど、その結果、数年後には色んな読者さんが応援してくれるようになった。
あの頃から、本当に嬉しかったしありがたかったし、諦めなくてよかったと心から思っていたが、今でもその気持ちになんら変わりはない。かわいこちゃんならいざ知らず、ただのおっさんが駄文を書き連ねているだけなのに、誕生日には大好きなお酒をもらったり、出張で読者さんと触れ合えば様々なプレゼントをもらったり、何よりTwitterなどで率直な感想をもらえたり。嬉しくないわけがない。これほどの幸せは、分不相応なのに、としか言えないだろう。
そんな読者さんとも、もう会うことはないのかな、なんて思うと少しだけ悲しくなる。それでも、俺は今ようやく、夢だった「ライター」という職業について、前を向いて歩いている。
夢が叶ったことも、すべて根気強く教えてくれた先輩たちのおかげだ。そして、それを面白い、好きだ、と言ってくれた読者さんたちが俺に自信というものを少しだけ与えてくれたからだ。
業界自体がまったく違うところなので、もう会うことはないかもしれないし、今のところ記名原稿ではないから、俺が書いたものと認識してもらう機会もないかもしれない。
それでも俺は物書きとして生きています。それは本当に、支えてくれた読者さんのおかげです。
今さら、2020年の初投稿ではありますが、今年も俺は俺らしく、いつも通りに。
歩いているよ。
歩いていこう。