プリズム

本の裏書より~

 

ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。

彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。

ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。

「僕は、実際には存在しない男なんです」。

 

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プリズムと言えば、光を通せば、赤橙黄緑青藍紫の七色(可視光線)に別れる。この小説は、多重人格者の一つの人格と恋をしてしまう女性の物語です。決して、実ることのない恋の行方に、彼女のいろいろな心情の揺れを見事に表現している。

百田さんの日頃の言動からすれば、ちょっと意外な感じがします。

 

でも、僕が一番印象に残った言葉は、P12に書かれているものだけど、聡子と生徒の修一の間で交わさられるやり取りの中の一節です。

 

聡子が修一に聞く”将来は何になりたいの?”

 

修一が答える。

”大人はどうしていつも子供にそんなことを訊くのかなあ”

 

聡子が訊く。”修一君はどう思うの?”

 

修一が云う。

”大人は、なりたいものに、自分がなれなかったからじゃないかな”

”先生は、どう思う?”

 

ここで、聡子が少し考えるのだ。

【大人には未来がない。でも子供には未来がある。子供を見ると、大人は無意識にそれを思い出すのかも知れないね。なりたいものになれなかったことを無意識に思い出しているのかもしれない】