こんばんは。
大好きな安城市の在宅医療に貢献したい!
日だまり訪問看護ステーション
看護師 山田万理です。
10年ほど前、億単位を稼ぐ社長さんを
担当していました。
その方はがん末期にも関わらず
悲壮感がまったくなく
「俺さ、やりたいこと全部やってきたからさ
いつ逝っても悔いがないんだ。
孫がどんな成長するか見れないから
未練は多少あるけどさ。
強いて言えばお金がたくさんあるから
使いきれないのと
自由診療みたいなの合わせたら
治療の選択肢が多いのが悩みかな」
と言いました。
たくさんある選択肢から
メリットデメリット、効果と副作用
選択したことがこれからの人生に
どんな影響を与えるか
一緒に悩みながら
最善最適解を探った日々でした。
その方は私を万理ちゃんと呼んで
可愛がってくださって
ある日のこと
「万理ちゃんさ
仕事熱心なのすごい分かるけどさ
なんか趣味ないの?
看護の仕事が趣味? 生きがい?
ずいぶんと悪趣味だね~。
仕事ができなくなったら
万理ちゃんどうなっちゃうの?」
と言いました。
当時は雇われ管理者で
ノルマもあって
今と同じで年中無休のスタイルだったから
半年以上1日も休まずに働いていました。
ブラックよね・・・
看護の仕事が大好きだから
苦ではなかったけど
体は悲鳴をあげていました。
そして社長さんが仰るように
看護師=アイデンティティとなると
看護師じゃなくなったら
私自身を見失う危険がありました。
起業するきっかけはネガティブだったけど
私の看護観を尊重してくれて
同じ方向を目指して一緒に走ってくれる
優しく頼もしいスタッフに恵まれて
やりたいように看護ができる
今の環境が最高に幸せです。
もちろん休みも取れています。
4年前、娘が韓国ドラマを勧めてくれて
看護の仕事以外に
趣味ができました。
きっと天国で社長さんが
それでいい、もっと人生を楽しめって
言ってくれてるはず。
韓ドラのストーリーに感情を揺さぶられ
食事の場面を見れば
食べてみたい、作ってみようってなるし
景色をみれば聖地巡りしたいって思う。
看護のお仕事一筋だった頃より
視野が広がったというか
引き出しが増えた。
娘は独学で韓国語の読み書き
会話をマスターしました。
留学制度のある私立高校に行きたかった娘に
安城の公立高校に通ってくれるなら
韓国旅行に連れて行ってあげると
約束をしました。
昨年はソウルに行きました。
K-POP繋がりなのか娘には
釜山に友達が2人います。
今回はお友達に会うために
釜山に行ってきました。
私は娘がお友達と
3人で会うんだと思っていたから
数時間ならひとりで時間を潰せると
思っていました。
私は龍宮寺に行きたいと思っていて
そこに私を連れて行ってくれたら
ひとりで過ごせるから
娘はその近くでお友達と遊ぶということで
話がついていたんです。
そしたら3日前になって
2人とそれぞれ会うこと
1人あたり2~3時間過ごすこと
待ち合わせ場所が龍宮寺から遠いから
ひとりで行けれる?
ひとりで行くなら
電車かバスかタクシーどれがいい?
行き方調べて書くわって言うじゃん。
はあ? 話が違うんですけど![]()
しかも違法タクシーが多いから
この文字(ハングル語)が
ナンバープレートに書いてあったら
乗ったら危険とか言うんだわ。
母はハングル語が読めません!
会話だって5つくらいのフレーズしか知らんし。
もういいわ![]()
ホテルでふて寝するか
近くの公園に遊びに行って
ぼーっと過ごすわって
ちょっとケンカになったの。
だってさ資金提供した私に対して
ずいぶんと失礼じゃない?
海雲台のスカイカプセルに乗る
甘川文化村に行く
釜山に留学していた友人の娘さんお勧めの
ナッコプセ、サムギョプサルのお店に行く
これだけは絶対に譲れないと
娘と交渉しました。
直前に韓国すべての空港で
19日からストライキが始まると
不穏なニュースが流れてきて
どうしよ?やめるか?ってなったけど
空港内のスタッフが少ないから
出入国に時間はかかったり
フライトが遅延することはあっても
欠航することはないと聞いたので
出発しました。
セントレアから金海空港に向かって
少しでも入国までの時間を短縮しようと
事前にオンラインで入国申告をしていきました。
※手数料は不要です。
違法なサイトがあるから要注意!
12月末までは紙の入国カードが使えます。
18日(旅行前日)の22:30
緊急コールが入った
「夕方食べた物を嘔吐して
少し咳をしています。
誤嚥性肺炎ですか? 救急車呼びますか?」
60代がん末期のご主人を心配する
奥様からでした。
余命は短いと数日、長くても
1週間程と推測される状況です。
緩和ケア病棟にエントリーしていて
自宅看取りもしくは病院で最期を迎える
2つの選択肢があります。
急激な状態変化に奥様が混乱していたので
在宅介護の限界かもしれない
入院のきっかけを
探しているのかもしれないと思いました。
「高熱がある、意識が朦朧としている
内服困難、強い呼吸困難の訴えがあれば
救急搬送したほうが良さそうです。
ただ、熱がなく呼吸状態が安定していると
救急外来を受診しても万が一ですが
帰宅を促されることがあります。
かかりつけの病院に必ず
搬送してもらえるかも分かりません。
1晩様子を見れるなら
明日の訪問診療で在宅医に
緩和ケア病棟に入院できるように
手続きをお願いしますがどうでしょうか」と
助言提案しました。
「熱測ったら36.6℃で
今は咳してなくて寝てます。様子見ます。
お騒がせしてすみません」と言い
訪問しなくてもよいとのことでした。
19日(旅行当日)6:40
再び緊急コール
「声かけに反応が鈍くて
白目をむいています。
血圧が測れません。呼吸もおかしいです。
どうしたらいいですか?」
落ち着くように言葉を選びながら
早いと数時間、今日中に
亡くなるかもしれない状況だと伝えて
救急搬送もしくは
自宅看取りの意思を確認しました。
「じゃあ、呼吸が止まったら
連絡すればいいですね?」と
言いました。
状態観察をしたいので
訪問させて欲しいとお願いして
スタッフの中で1番早起きのスタッフに
向かってもらうことにしました。
ご本人と奥様の病識や価値観の違いから
選択決定をする時に
ケンカになる場面があったり
ご本人に何度か同じ話を繰り返すと
奥様や看護師に対して苛つきを表現して
もしかするとそれは選択決定できない
自分に対してだったのかもしれないけど
意思決定支援に困難感を生じていました。
看護師だけで悩むことではないので
在宅医、ケアマネジャーと情報共有しながら
チームで向き合っていました。
退院した時
「家がいいな。このままずっと最期まで」
と呟いたのを記憶しています。
奥様はその時は
自宅看取りに消極的でした。
ご本人の思いだけでは
自宅看取りは不可能です。
訪問したスタッフから
血圧60台、努力様呼吸だがSpo2:90%
肺音クリア(誤嚥性肺炎の徴候はないということ)
意識レベルはⅡ桁
自宅看取りの意向を再確認して
これから起きる身体変化を伝えたと
報告を受けて
今日の訪問診療に同行するスタッフと
在宅医に状況報告を指示しました。
「困ったらLINEで連絡するので
娘さんと韓国旅行を
楽しむことだけ考えてくださいね」
スタッフの言葉が頼もしくて嬉しくて
日だまりのスタッフは最高だなと思った。
金海空港に着いたら
人で溢れていて大渋滞![]()
ストライキの影響か
入国審査担当が3人しかいなくて
途中から5人になっても全然進まなくて
1時間後にようやく入国出来て
スーツケースを受け取ろうとしたら
同じ便でまとまっているんだろうけど
床に放置されていた![]()
ホテルに荷物を置いてから
スカイカプセル乗り場に行くと
チケットの予約時間に間に合わないから
タクシー移動することにした。
チケットが無効になるかもって
焦っていたから案内されるがままに
タクシーに乗り込んだら
何これ![]()
ラグジュアリー感ハンパないんだが![]()
気づけばLEXUSに
乗ってましたわ。
シートが広いから背中付けたら
足がプランプランしてた。
(身長145㎝のミクロな私)
調べたところ金海空港から
スカイカプセル乗り場の最寄りのミポ駅まで
22000ウォンだったのに
みるみるメーターが上がっていって
最終68000ウォン
これが違法タクシーってやつか?
と思ったら『模範タクシー』と呼ばれる
丁寧なサービス提供、安全運転の
高級タクシーだった。
運転手さんが日本語ペラペラで
(小さい頃から独学で読み書きと
会話を習得したらしい)
詳しい話は韓国語がペラペラな娘としてたけど
私に気を遣ってくれて
日本語で観光案内もしてくれました。
17日から釜山国際映画祭が始まって
芸能人が集まってるのがここだよとか
(日本の映画『国宝』も上映されました)
10月に8万発の花火が上がる時は
ヨットクルーズがお勧めで
穴場で予約が取りやすい
ヨットハーバーはここだとか
100階の展望台がお勧めで
99階にスタバが入ってる
LCTランドマークタワーがこれだよとか
ヨットハーバー近くのお勧めの水族館とか。
流行ってる食べ物やさんとか。
時間を効率的に使うために
行きたいお店の混雑を避ける支店や
行き方を教えてくれたり
今のうちにコインロッカーが
ネット予約できるか
スカイカプセルが
オンライン手続きできるか調べろとか。
実は私が予約したのは
スカイカプセルじゃなくて
列車だったんだけど
運転手さんはスカイカプセルは
途中下車できないし
空調が効いてないから暑いよ
列車がお勧めだと言って
お母さん、間違ってないって
慰めてくれた。
「お母さん、娘さんの韓国語すごく上手。
楽しい旅ができるね」って言うから
娘は上機嫌になりました。
お値段以上の大満足なドライブでした。
さすが模範タクシー。
水平線を眺めて
ぼーっと過ごすのが夢でした。
私の日常はあまりにもせわしないから。
スカイ列車の大きな車窓から見える景色も
途中下車して立ち寄ったカフェでも
海辺を散策しても
ずーっと水平線を眺めることができた。
非日常を満喫した。
展望台の床がスケルトンで
下には海が透けて見えて
高所恐怖症の母娘は
膝をガクブルさせながら
前だけを見て歩きました。
気づけば50分以上散策していた。
ホテルまでスタンダードな
タクシーで移動して
(娘の友達いわくカカオかUberが
アプリで予約できてお勧めらしい)
荷物を置いてから
ロッテモールとDAISOでお買い物三昧。
たくさん歩いてお腹が空いて
夕食はサムギョプサルのマッチャンドルへ。
西面店より南浦洞店が空いてると
運転手さんに教えてもらったから
待つことなく入れました。
お肉は2人で行っても
3人前からしか注文できないけど
ペロリと平らげちゃいました。
ホテルの1階のコンビニで
お菓子と夜食を買って
お部屋でくつろいで1日目は終了。
ホテルはバスタブがなくて
水圧が弱いのが難点だったけど
買い物や観光のアクセスに便利で
立地が抜群でした。
ホテル フォーレ プレミア南浦
娘と2人だから
ダブルベッド1台の部屋で十分だった。
広かった![]()
ソウルの時に泊まった
明洞のホテルはベッド2つで
バスタブがあったけど狭くて
2つのスーツケースが広げれなかったからね。
DAISOに着いた頃
今朝緊急コール対応をした方が
旅立たれたと報告があった。
抗がん剤治療の継続が困難なほど
病状が進行して
Hb4.9という重症貧血の状態で
家で過ごしたいと望んで退院した日
「このまま最期まで家にいたいなぁ」と
彼が呟いたとき
奥様は少し困った顔をして
自宅看取りに消極的でした。
訪問診療の時に
ご本人、奥様、医師、看護師で
これからの過ごし方
最期の迎え方を話し合い
自宅看取りの合意ができたようです。
意識がある時に
海外旅行から娘さんが帰国して
会うことができて
息子さんも在宅ワークに切り替えていて
家族の時間を過ごしながら
暮らし慣れた我が家で
最期を迎えたそうです。
正直言って意思決定支援に
困難感を生じていました。
スタッフ間でたくさん話し合いました。
それでも1か月半の間
苦痛緩和に努め
不安や疑問を解消できるように
話を聴いて丁寧に説明して
これでいいのか?と悩む時には
こんな方法もあると選択肢を増やして
たくさん悩んで考えて出した答えは
最善最適解なんだと信じましょうと
背中を押し
泣きたい気持ちの時は
背中をさすり寄り添いました。
ご本人は野球が好きなわけじゃないけど
大谷翔平さんの大ファンで
そこが私との共通点でゲーム内容より
大谷翔平イズムを語りあって
「あいつすげーよな!」って
盛り上がったものです。
敵チームのファンからヤジを投げられて
ホームラン打ってその人にドヤ顔で
ハイタッチをする大谷翔平さんが
痛快だったねって
涙流して笑ってたのが記憶に新しい。
在宅医に同行する看護師さんと
看取り支援をしたスタッフからも
奥様は達成感を持たれたような
すっきりとした表情で
日だまり訪問看護に
感謝されていたと聞きました。
ご本人と奥様にとって
望むカタチを実現できたように思います。
実は旅行初日の9/19は
日だまり訪問看護にとって
もう1つ重要なミッションがありました。
『在宅療養の限界を迎えた方の
受診に同行して
入院させてもらうように交渉すること』
受診同行するのは年に2~3回程度。
文書で一方的に情報提供するだけでは
不十分な時や
医師の見解を伺って
意思決定したいときとか
認知症や複雑な病状で
ご本人と介護者が表現できないことを
代弁するときとかです。
めったにないことなので
いつもは管理者の私が同行しています。
詳しくは後日に記事にしようと思いますが
私が韓国に行くために
スタッフに重要なミッションを
託すことになりました。
相当なプレッシャーだったと思います。
スタッフには事前に
「もし入院という流れにならなくても
力量不足だと自分を責めないでね。
入院させてもらえなかったら
訪問看護の回数を増やすとか
ケア内容を見直すとか
みんなで考えればいいからさ」と
伝えていました。
旅立ちの知らせの少し前
『無事に入院させてもらえました。
整形外科の先生が優しくて感謝です。
VIP待遇でした』と
報告がありました。
グッジョブ![]()
私が不在でも
力を合わせて乗り切るスタッフが
誇らしくありがたい。
日だまり訪問看護ステーション
すごいじゃん!(親バカ体質の私)
スタッフに支えられて
韓国旅行という娘との約束を
守ることができて幸せです。
2日目のことは後日
記録に残したいと思います。
それでは今日はこの辺で。
最後までお読み頂き
ありがとうございました。













