こんばんは。
大好きな安城市の在宅医療に貢献したい!
日だまり訪問看護ステーション
看護師 山田万理です。
私は空が青とオレンジに染まって
青が深まって一番星が出る
夕暮れの瞬間が好き。
朝と晩は肌寒くて
私の大好きな瞬間が日に日に早まって
秋の深まりを感じる。
私は例年、秋を学びの時期にしている。
講師や命の授業のお手伝いを依頼されて
アウトプットすることもあれば
災害医療について学ぶため
トリアージ訓練の見学や
苦手な分野のセミナーに参加して
インプットすることもある。
久しぶりに
いのちの授業のお手伝いをした。
今までは
子どもながらの発想が可愛くて
子どもなのに大人びた言動に驚いて
子どもたちの感性に感銘を受けて
今日も楽しかったな
という思いで帰路についていた。
前回の振り返りはこちら
今回はどっと疲れた。
ファシリテーター10回目の私が
疲れたんだから
初めての方はなおさらだろう。
もう引き受けられないなと
感じた人もいるかも・・・
事前に今年の6年生は幼いと
担任たちの主観を聞いていた。
先入観を持ってはいけないし
幼いということは
純粋で天真爛漫ということなんだろうと
解釈していた。
ところが違った。
4人グループの1人が欠席して
2人女子、1人男子のグループ構成で
司会と書記が女子、発表者男子と決まっていた。
そもそも司会者が役割を果たさないから
私が誘導するかたちで意見を聞いて
書記が記録してたんだけど
女子2人が仲良し過ぎて
書記の子が書いた文を
「そんな風に書かないで~」と言って
消しゴムの取り合いになってしまった。
男子は真面目に意見を出してくれて
私と男子の2人ディスカッションみたいに
なってしまったから
書記に
「今すごくいいこと言ったから書いてね」
司会者に
「今なんて言ったか聞いてた?
今の意見をどう思った?」と
聞いてみたけど
「なんて言ったっけ~」
キャハハ~な感じ。
唖然とした。
幼いのは思考でも感性でもなく
行動だったのだ。
いのちの授業の目的が
がん、在宅医療について知って
早期発見のための健診が大事だと親に伝える
健康を維持するための行動を継続する
地域のつながりを大切にして自分と
周りの人の健康や生活を気遣うことを知る
だった。
子ども発信でACP(愛称:人生会議)を
親や祖父母世代に啓発することを目指している。
ACP(人生会議)というのは
将来の意思決定能力の低下に備えて
何を大切にして
どこでどのように生きるか
代理判断(代弁者)をする人
今後の治療・ケア
心肺蘇生、延命治療の希望
どこで過ごして誰のそばで逝きたいか
などをあらかじめ話し合うプロセスのこと
平たく言えば生き方会議。
人生をどのように生きるかを考えて
健康上のトラブルやアクシデントが起きた時や
命の危機的状況で自分の意思を尊重した
選択決定がされるために
大切な人とできれば専門職も交えて
話し合っておくことである。
授業中、話し合うテーマが
余命3ヵ月と宣告された父親に
大人になった自分が
何をしてあげられるかを考えるもので
重い内容ではある。
サザエさん一家の30年後をモチーフに
人物や家屋状況が紹介されるが
そもそも3人とも
サザエさんを見たことがなくて
家族関係を知らないし
核家族で育っているから
二世代が同居するイメージも湧かない。
マジメな男子はディスカッション前の
Drの講義を真剣に聞いていたのだろう。
びっしりとメモを取っていて
私が看護師だと知ると
聞きそびれて曖昧になっていた言葉を
ホントはなんていう言葉なの?と
質問をしてきた。
だから意見が子どもらしくもあるけど
真摯というか純粋だった。
発表する順番を決めるときも
我先にと手を挙げて発表してくれた。
授業後にファシリテーターの
振り返りがあるんだけど
私の悩みというか困難さは
平和なものだったと知った。
初めてファシリテーターをしたときに
感動して楽しかったから引き受けた
という2回目の方が
「崖から突き落とされたような
絶望というか
心が折れる体験でした」と言いました。
理由は女子3人グループで最初の意見が
『安楽死させてあげる』
だったから。
ファシリテーターは否定も肯定もせず
受け止めて場を盛り上げる役割があるが
『安楽死』というワードに動揺して
苦しいのを早く楽にしてあげたいってことかな?と
返してから話題転換が大変だったそう。
「ドライブに連れて行ってあげる」
という意見が出て
それはいいね
どこに連れて行ってあげようかと
話を広げようとしたら
「海に連れていって沈めてあげる」
と言ったそうだ。
「溺れて死ぬよりも首絞めた方が
早く楽になるんじゃない?」とも。
話題を変えたのに
結局『安楽死』に戻ってしまうのだ。
私も過去にサイコパスの要素があると
感じた子どもがいた。
「殺しちゃう?
それか何もしない方ががんが進行して
早く死ねるから何もしない方がいいか。
早く楽になれるじゃん」
と言った記憶がある。
その時は
「親は子供が犯罪者になることを
絶対に望んでないから
その意見は却下ね。
できることを考えよう」
と私が言って
グループのメンバーが
「そんなの親が可哀そうじゃん。
こわいこと言わんでよ」
と言ったんだった。
私が心の折れたファシリテーターだったら
どうやって対処しただろうか。
グループの一人だけでなく
全員が言い出したら・・・
まずは命の尊さについて
授業をした方が良さそうだ。
核家族化が進んで
親世代でさえ看取りの経験が少ないだろうし
『死』に直接向き合ったことがない
子どもが多いはず。
ゲームでは簡単にリセットされるから
命の重さや尊さが分からないのかも。
子どもたちの価値観を否定するのではなくて
「そういう考え方もあるんだ」と
いったんは受け止めなきゃいけない。
「生まれ変わって
やりたいことすればいいじゃん」
と言った子もいたらしい。
もはや思考がファンタジー。
今と未来、仮想と現実がごちゃごちゃだ。
命は1つしかなくて
傷ついたり病気になると元通りにするには
時間がかかったり戻らないこともある。
体も心も大切なものだから
丁寧に大事にしてあげることが必要で
自分の命も、友達や家族の命も
大切にしなくてはいけない。
自分ひとりで生きているわけじゃなくて
毎日の生活が当たり前でもなくて
食べることや勉強すること、遊ぶことも
命あってこそで
みんなで支え合っているから
自分の命も他の人の命も
同じように大切にしないといけない。
健康管理や他者を思いやることは
命を大事にするために自分にできること。
そういった命の尊さや
人を思いやることを
子ども発信でACPを親世代に啓発する以前に
教えないといけないのかも。
ファシリテーターが命の尊さを
伝えたいと思っても
話し合いの場面では
スキル的にも時間的にも無理がある。
ファシリテーターをやってみて良かった
という方の振り返りは
1人は祖母の看取り経験があって
もう一人はひいばあちゃんを
祖母と母親が協力して介護している子で
意見は優しさ溢れるものだった。
経験が価値観を作る。
二世代三世代で暮らせば
関係性を良好に保つための方法を
自然と学び、家族の絆が強くなるもの。
家族のために自分ができることを
考えられるようになると思う。
生まれた時から核家族で生活して
死に触れたことのない子どもが
机上で死と向き合っても
ゼロからイチが生まれないように
分からないことが分からなくて
意見が出せないのだろう。
振り返りの時に
設定を著作権問題がクリアできるなら
クレヨンしんちゃんにしたらどうかと
提案があった。
核家族で愛犬がいて
祖父母とは距離があって
現代の家族の象徴かもしれない。
私も子供が小さい時にクレヨンしんちゃんの
映画を観に行ったことがあって
幼い妹を守るしんちゃんの正義感が
健気であり頼もしくて泣かされたのだ。
来年の2月に私の息子と娘の母校で
6年生と保護者、先生を対象に
いのちの授業の講師を依頼されている。
当初はグループワークを計画していたけど
保護者にがん闘病中の方が数人いて
子どものこころを守ることを配慮して
全体講義と質疑応答をすることになった。
講義の内容は
がん治療について
健康を維持するための方法
異常を早期発見して
完治を目指した治療を開始するために
健診を受けることを勧める
自分の命を自分で守ることを話す予定だ。
グループワークがしたいと思っていたけど
講義形式になって正直ほっとしている。
来週は6年生の児童を対象に
キャリア教育に関する
授業の講師を依頼されている。
私は小さい頃から看護師になるのが夢で
実現させた幸せ者。
好きを仕事にしているから
毎日が楽しい
先生からは
看護師になった経緯
看護師の仕事の内容
お仕事をするときに心がけていること
などを話してもらって児童に
『夢に向かって努力していきたい』
『仕事をするって素敵なことだ』
と気づいてもらいたいと言われている。
死と対比して
命の尊さや生について教えるよりも
未来ある子供たちには
希望を持って毎日を楽しく過ごしたり
夢を叶える努力ができるのは
命あってこそだから
命を大切にしよう。
こころも体も健康でいることが
命を丁寧に扱って
大事にするということだと伝えたい。
夢は自分一人のチカラだけでは叶わない。
私が夢を実現できたのは
私を支えてくれる人がいてこそ。
だから夢を実現してからも
また夢を見て
叶えるために突っ走れる。
私を大切にしてくれる人を
それ以上に大切にしたいと思うし
恩返しがしたい。
命の営みは
人と人が支え合うから成り立っている。
『お互いさま』『ありがとう』の気持ちが
人との繋がりを強くしていくんだと伝えたい。
今を生きられることと
支えてくれる人に感謝して
毎日を楽しんで欲しいと思う。
大人たちは子どもたちの笑顔と未来が
キラキラと輝くことを願っているってこと
知ってほしい。
キャリア教育の前に
いのちの授業のお手伝いができて良かった。
さて、資料作りにとりかかるとしますか。
次回はケアマネジャーとヘルパー対象に
ACPに関する勉強会を行った時の
振り返りをしようと思う。
それでは今日はこの辺で。
最後までお読み頂き
ありがとうございました。