【金運の兆しか】

　先日の午後、散歩に出かけたことのことである。土手に木槿の花が咲いていた。それが純白なのである。木槿は我が家にもあるのだが、アントシニアン豊富な紫系である。白が清々しいなあ、などと感心しながら歩いていると、足下の視界に何か動くものを感知した。視線を落とすとなんと蛇である。土手から川の方へ横断するためににょろにょろしているところだった。毒のない縞蛇、それも1メートルもない幼蛇だが、凍りついてしまった。

　あっちも突然の人間の足に驚いたのか、にょろにょろの速度を目一杯上げたようで、あっという間に草叢の中に姿を隠していった。秋には注意である。人家近くをうろつくのは、冬眠を前に食欲旺盛な熊だけではない。蛇もまた出没するのである。

【東電ＨＤからのお便り】

　さて、東電から請求書類が送られてきた。昨年末に、フクイチ賠償に関して敗訴が決定し、追加賠償を義務づけられた。4月から請求受付を始めるときいていた。Web請求も可能なようなのだが、特に何もしないでいても東電の方から書類を送ってくるらしいと放置していた。こちらから働きかけない限り請求書類が送られてこないのかとの懸念がなかったわけではない。しかし、時効はないので焦る必要はない。案の定、手続き開始から半年も経ってようやく送ってきたというわけである。

【ほぼ最下位ランクの補償】

　住んでいるところは「自主的避難等対象区域」に分類されている。まあ、たいして汚染していないから賠償は最低ランクね、という地域である。福島から須賀川までが該当する。白河はちょっと扱いが異るようだが、福島県で「中通り」と呼ばれている地域がほぼ該当する。

　賠償金額は20万円である。12万円は払い済だから今回は8万円だけ追加するね、とのことである。よーするに、前に12万にケチってないことにするはずだったが、裁判所に叱られたのであと8万円を足すね、シブシブということなのである。これこそが東電である。その体質である。

【警戒しながら署名する】

　レターパックで送られてきた書類は、解説書と、「委任書」、「賠償金請求書」である。前回データが印刷済のところがあるので、記入量はわずかである。マイナカードなどの本人確認書類を添えて提出する。

　ただ、「賠償金請求書」は正確には「賠償金請求書兼合意書」である。何に合意することになるのか不安になる。あのチッソ同様、後で新事実が判明しても一切追加賠償は要求しない、などと合意させられるのかもしれない、と身構えた。だが文面を読むと、文書の金額での請求に合意する、というだけのことらしい。

　「委任書」にも当然に、請求権を何者かに委任してしまうことになるのかと身構える。だがこれも、世帯単位の請求となるため、家族の代表が手続きをし、その銀行口座に振り込むことに同意するためのもののようだ。代表者とは世帯主である私めであり、その口座に二人分16万円が振り込まれることになる。家人に署名を求めており、振り込みはバレバレなのでへそくりにはできない。

【賠償格差】

　というわけで、さっさと記入して同封のレターパックで投函した。さて、振り込みはいつになるのだろう。そしてその金は、いろんな決済に紛れ、日常のなかで何となく費やされていくことになるのだろう。あ、賠償金って雑所得になるのだろうか。20万以下だけど、申告の必要があるのだろうか。国税庁サイトを見ると、「非課税になるもの」に分類されている。えっ、てえことは帰還困難区域の人達への巨額の賠償金もまるまる非課税ということになる。道理で羽振りが良いはずである。ため息が出てしまう。

災難の代償