自分の嘘や偽りを暴露され、どん底であろうこの時期に、どんな生活を送っていたかは定かではない。多分自分の記憶の奥底に追いやってしまったのだろう。さほど学校を休む事無く行ったいたが、当然のごとく、嫌がらせはされた。占いだと言って水性ペンだと嘘をつかれ、油性ペンで手に内側を真っ黒に塗られ、洗っても取れない事を訴えると、はぁ?みたいな返しをされた。涙ながらに取れないマジックをこすり取っていた事だけは覚えている。

2年になると、私の噂は広がっていたが、そこには以前からイジメにあっている子が居た。私の場合は自業自得だし、私の噂を信用しない子は私に話掛けてくれたので、友達はクラスにいたのだが、彼女の場合は、彼女自身に何の落ち度も無かった。ただ笑い方が気持ち悪いとか、声が低いとか、細い子だったので外見での男女問わず難癖をつける生徒がほとんどだった。最初は自分だけでもクラスに身を置く事は大変なのに、イジメの救済をしてる場合では無いと思っていたが、彼女は休み時間良く小説を書いていた。私も、架空の自分像を描いていたと言う事は小説の主人公と同じような物だと思い、彼女が書く小説に興味を持ち始めた。だか、私は自分の身を守らなければならない為、容易に彼女に接触する事は出来なかった。そう書けば、あたかも正当な事のようだが、ようは自分も一緒にイジメられる事を避けただけなのだ。一言でいうと偽善者だ。周りには気づかれない様に彼女にメモを渡して、自分が物語に興味を持っている事を伝えた。そうすると、彼女から驚く様なメモが返ってきた。

私と関わると貴方もそういう眼でみられ、イジメられるから、学校での話掛けはしない方が良い。
学校ではメモを渡す程度にし、放課後にお互いの家で会うと言うなら、友達になってもいい。

見透かされたと思った。それより、なんて出来た子なんだろうと思った。自分が逆の立場だったら、堂々と学校で話も出来ないのは友達とは言えない!と付き返してしまいそうだ。
彼女の提案に乗ってしまったら私は偽善者だと彼女に言っている様なものだ。だが、

そんな事は気にしない。言いたい奴には言わせておけば良い!

そんなヒーローみたいな事は言えなかった。
ただ、その返事にごめんと綴った。そんな私に彼女は、その方が自分にとっても楽なんだ!と続け、でも、自分に興味を持ってくれた事は嬉しかったと返事がきた。恋愛みたいな友達が出来たのだ。

彼女は本当に喜んでいたかどうかは分からない。
ただ、何て強い人なんだと思った時、何故もっと彼女から色んな事を学ばなかったのか、後悔している。卒業してから30年、彼女からSNSにもしかして、貴方は、あの時の?という連絡が入り、会いたいというメールと共に、病気なんだ!という告白を受けた。難病に指定されている彼女と逢いたいとは思っているが、病気を告白され、なおかつ30年ぶりの再会に、

あの時私酷い友達だった?なんて聞けない。
彼女の中で、私は今でも仲が良かった友達なのだ。私は偽善者なのに。彼女にどんな顔で会えば良いのだろうか?どうせなら、私の事を友達の振りをしているただの同級生と思ってくれていたら。どちらにしろ、会える時に会う事は、私にとって大切な事だ。