続・恐竜の祈る惑星15 | sunada3216の書きものブログ

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 オウキは仰向けに倒れ、腹の上にスーパーダイナソーがのしかかって来たのを感じた。
 暴れたが自分と同じくらいの肉食恐竜の、ずっしりとした体重はびくともしない。
 感情の無い目がジロリとオウキを見下ろし、金属の顎をカッと開いた。チタン合金の歯が陽光にギラリと光った。喉笛を狙っているのがわかる。
 これまでか…
 オウキが覚悟を決めた時、スーパーダイナソーが口を開いたまま、凍りついたように動かなくなった。
「?」
 息を荒げながら、肉食恐竜軍の面々が怪訝そうに自分たちの大将の上のそいつを見守った。
 1秒、2秒…動かない。
「この野郎!」
 戦線へ戻ってきたアギシがスーパーダイナソーを蹴倒す。
 一斉に肉食恐竜軍が群がって、金属をまとったティラノサウルスの体を滅多打ちに蹴り、踏みつける。
 スーパーダイナソーは我に返ったように頭をもたげたが、次々に蹴りを入れられ、金属の装具が歪んで動きを封じられ、頭を蹴飛ばされて意識を失った。
「ああっ、ガチャピンが!」
 D群対策本部の全員が悲鳴を上げ、立ち上がったオウキとともに肉食恐竜軍が勝利の雄叫びを高らかに上げるのを、大画面モニター越しに唖然として見つめるのだった。
「くっ、こうなったら核を…」
「おやめなさい!」
 米軍の代表が顔を朱に染めていきり立ったのを、総理が苦々しげにたしなめた。
「日本の国立公園で核兵器なんか使ったら、国際問題になるぞ」
 プライドの高い軍人もさすがに黙り込んだ。
「それよりも、停戦交渉をしよう」
 思いのほか穏やかな総理の声に、会議室の全員が毒気を抜かれたように振り返る。
「失礼を詫びて、彼らをお客様としてもてなそうじゃないか。異星の勇猛なる軍隊の皆さんをな」
 総理は兜を脱いだとでも言いたげな笑みを浮かべて、大画面モニターに拍手を送った。
「肉食恐竜軍、見事な戦いぶりだった」