伊藤雅雪の引退? | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

一昨日、元WBOSフェザー級王者  伊藤雅雪が引退を発表した。


お疲れ様でした。

第2の人生でもご活躍ください………としか言えないが、ボクサーの評価は引退して初めて定まる。伊藤のキャリアを振り替えってみる。


伊藤の特筆すべき点はアマチュアキャリアのないプロ叩き上げである事。

最近ではアマキャリアなしの世界王者は福原辰弥、尾川堅一、そして伊藤くらいではなかろうか?


伊藤は後の日本王者  坂、源、後のOPBF王者仲村に勝っている。ただ、仲村戦の判定は………ゴニョゴニョ。


内藤への日本タイトル挑戦失敗、OPBFタイトル獲得、渡邉とのアジア統一戦を経てクリストファー・ディアスとの王座決定戦に辿り着いた。


ここで見事な敵地でのタイトル獲得。


初防衛戦は大田区総合体育館でトリプル世界戦のメインを務め、指名挑戦者を退けた。ここがキャリアの絶頂期。


以降は省略する。


さて伊藤は否定的な意味でなく、ドライなボクサーだと感じる。堂々と「ワシル・ロマチェンコ返上後の決定戦を狙う」と語っていたのは清々しかった。


30年弱前、カオサイ・ギャラクシーのタイトル返上を待っていた鬼塚陣営は事もあろうか

「カオサイが逃げた」

と発言して王座決定戦に出場。

言ったのは鬼塚ではなくK会長だが………これが疑惑の判定との相乗効果になり相当数のアンチを生んだ。


絶対に言わないと思うが

「偉大なカオサイの後を継げて光栄」

とか言っておけばアンチや批判は少なかったと思う。


田中恒成は鬼塚陣営を反面教師にしたのか、ドニー・ニエテスがWBOライトフライ級タイトル返上を待っている様にしか見えなかった。だが決定戦に関しては黙して語らず。


それとは対象的なのが伊藤だった。

包み隠さず決定戦狙い。


伊藤のボクシングは伴流ジムから横浜光ジムに移籍する際にスタイルが変わった。


伴流時代は右にナチュラルタイミングを持つ意外性のあるKOアーチスト?だったが、移籍後はバランスの取れた(どちらかと言えば)手数型のストレートパンチャーになった。


どちらが良かったのかはわからないが、見ていて面白かったのは移籍前。


さて、これで引退なら伊藤は歴代Sフェザー級王者の中でどう評価されるだろう?


実績と言う点で他の日本のSフェザー級世界王者の中でも沼田、小林、畑山、内山、粟生、三浦より高く評価される事はないだろう。


尾川とは共にアメリカからタイトルを持ち帰った同士。尾川のキャリアはまだ続く事から比較するのはまだ早いかもしれないが初防衛戦をクリアしている分、現時点では伊藤の方が高く評価できるかも。


ここまで書きながら以下は本音。


伊藤は若い。


三代戦の出来は病み上がりとは言えガッカリしたが、吉野戦の出来は悪くなかった。ライト級では少しふっくらした印象があり、Sフェザー級での再起を期待していた。


まだ31歳。尾川や中谷正義より若い。

私は1年後位にリングに帰ってくる予感がする。

かつての畑山や新井田の様に。


今は本気で引退を決意しているのだろう。ボクサーの引退撤回は恥ずべき事ではない。燃え尽きたのなら仕方がない。だが、また伊藤を見る日が来るのでは?


そんな気がしてならない。