【前編】2世ボクサーの明暗 | ボクシングライフW

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趣味と言うよりライフワークになっているボクシングについてとりとめもなく感じたままに

2022年4月29日、ゲストにシェーン・モズリーJrを招き、2世ボクサーに焦点を当てた興行が行われた。


感傷的になれる興行だったので2ヶ月遅れでご紹介。

⚫ジャラルド・マクラレンJr VSデメトリアス・アレキサンダー(クルーザー級)

悲劇のミドル級王者  ジェラルド・マクラレンの息子がプロ2戦目のリングに上がる。

私の世代にとってマクラレン・シニアは恐怖を感じさせる世界ミドル級王者だった。初回に見せる破壊力は圧巻。リングで対峙する対戦者は死刑執行を待つかのようだった。

試合は四回戦。
セコンドには父のライバル  ジュリアン・ジャクソンの姿が。これだけで涙が出そう。


体型は父親に似ている。

マクラレンJr、速くもなく、力強くもない。しかし、頻繁にスイッチをするやりにくいスタイル。
長いジャブでアレキサンダーを下がらせてはいる。

特に見せ場の無いまま試合終了。ほとんどクリーンヒットの無い試合だった。

試合はマジョリティでマクラレンJr。

リング禍により目も見えず、耳も聴こえなくなった父親は息子がプロボクサーとしてリングに上がる事にどんな気持ちだろう?
私なら嫌だ。

⚫シャリフ・ラクマンVSレイエス・サンチェス(ミドル級)

レノックス・ルイスをKOしたハシム・ラクマンの息子、シャリフがプロ6戦目のリングに上がる。
身体は小さいが構えはなんとなく父親の面影を感じる。


シャリフは速くはないがジャブを突き続ける。サンチェスは距離を詰めようとするがクリンチになりがち。ここでカウンターを打てれば良いのだがシャリフにそこまでの技術はない。

4ラウンド、バッティングでシャリフは大流血。だがこれで闘志に火が着く。

5ラウンド、シャリフはこれまでのジャブ主体から回転の速い連打で圧倒。

ラストラウンド、左アッパーと右ショートの連打でサンチェスにダメージを与える。後30秒あればKO出来そうだったが時間切れ。

判定はユナニマスでシャリフ。



⚫ハシム・ラクマンJr VSケンジー・モリソン(WBCヘビー級地域タイトル)

メインイベントはこちら。


元WBCヘビー級王者 ラクマンの息子   VS    元WBOヘビー級王者  モリソンの息子。

ケンジー・モリソンは昨年か一昨年か忘れたが、CSで放送されたドキュメンタリー「悲劇の王者 トミー・モリソン」の最後の方にチラリと映っていた。

無敗対決。データでは身長差1インチだがケンジーの方がもっと高く見える。

初回、モリソンが積極的に攻める。1-2を主体に放ち、時には父親に似た大きな左フックを振るう。


ラクマンはサウスポー。ラウンド終盤には左ストレートを3発ヒットさせモリソンをロープに詰める。

2ラウンド、ラクマンはスイッチしながらアウトボクシング。上下の打ち分けが上手い。
モリソンは強引に前に出るが手数が少ない。

3.4ラウンド、ノラリクラリとしたラクマンのアウトボクシングが冴える。モリソンは前に出る度に軽いパンチを貰う悪循環。

5ラウンド、ボクシングの恐さを思い知る。遠くから踏み込んで放つ左ロングアッパー   →  右ストレートでラクマンはダウン。


立ち上がるラクマンに右アッパー、左フックを浴びせてレフェリーストップ。


ラクマンはストップに不満を訴える。私も安全第一はわかるが少し早いと思った。


これが父親の時代、即ち30年前ならホワイトホープとしてもっと話題になっただろう。
だが今のヘビー級は昔と違い、旧ソ連の白人が多く、珍しくなくなったのがケンジーには不運。

所でWBC-USNBCタイトルって何だろう?
調べる気にもならない。

続く。