influenzer@influenzer3さんのツイート

5月14日
●世界の状況 →ICU/人工呼吸器の重症者
米国の重症者は16349人で1日で124人減少
イタリアの重症者は893人で1日で59人減少
フランスの重症者は2428人で1日で114人減少
ベルギーの重症者は407人で1日で13人減少
イタリア40日連続、フランス35日連続減少
https://worldometers.info/coronavirus/


5月15日
本日分です。
目次から。
1) COVID-19における重症肺炎はやはり過剰免疫応答か?
2) NatureにBCGワクチン戦略を提唱するコメントが掲載
3) 武漢の感染者の予後はLDH、CRP、リンパ球(%)でほぼ正確に予測できた
4) フランスにおける川崎病のアウトブレイクの報告
5) 古典的な不活化全粒子ワクチンがサルで有効
6) 東京の抗体保有率は最大で0.6%
7) アフリカ全土で感染者が確認された



●COVID-19における重症肺炎はやはり過剰免疫応答か?
→感染研のHPに掲載されている死後組織採取のマニュアルから。
ウイルスは肺内では画像上の病変部からは確実には検出されない。
むしろ画像変化のないところにウイルスが多く存在すると推察されていると。


出典の記載がありませんが、重症肺炎の過剰免疫説を裏付ける記載かと思います。
COVID-19 死亡例における死後組織検体の検査について
(2020年5月12日版)
https://niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2518-lab/9610-covid19-20.html…


----- 検体採取部位:両側上肺野、中肺野、下肺野をランダムに採取。
COVID-19 の肺病変では画像上の変化とウイルス量が相関しないことが多く、画像上の病変部を採取してもウイルスが確実に検出されるとは限らない。
むしろ、肺胞が開いていて画像上も変化が少ないところにウイルスが多く存在することが推察されているので、ランダムに採取する方法が推奨される。 ------



●NatureにBCGワクチン戦略を提唱するコメントが掲載されました
→COVID-19のワクチンはできるとしても時間がかかる。
BCGをそれまでのつなぎに使おうというものです。
Trained immunityの効果は単球のepigeneticな変化によるものだが、持続期間(その細胞の寿命)は不明。


現在、オランダ、オーストラリア、ギリシャでRCTが実施中。
その他、米国含む8か国がBCGワクチン試験を計画されていると記載されています。
BCG-induced trained immunity: can it offer protection against COVID-19?

BCG-induced trained immunity: can it offer protection against COVID-19
Could the BCG vaccine be used to bridge the gap until a specific COVID-19 vaccine is developed? Luke O’Neill and Mihai Netea discuss the science behind this approach.
nature.com


---- ・BCGワクチンは複数の呼吸器疾患の感受性を低下させる。
これは自然免疫機構の長期的増強効果によるものと想定されており、Trained immunitiyと呼ばれている。

・執筆時点で、SARS-CoV-2により264000人以上が死亡し、200万人以上が感染。世界的な経済的シャットダウンを引き起こしている。

・今後数年間は感染が定着し続けることが予想される。
冬季には拡散がより一般的になる可能性もある。

・ワクチンの開発には少なくとも12〜18か月かかると予想される。
BCGワクチンはCOVID-19ワクチンまでにつなぎとなりうる。

・BCGは結核に対する弱毒生ワクチンとして開発されたが、1920年代にヨーロッパで導入された後、BCGワクチンが乳児死亡率を大幅に低下させたことが報告された。
これは結核減少みでは説明できなかった。

・その後、RCTを含む同様の検討が他地域でも行われ、BCG接種が幼児の死亡を最大50&低下させることが判明した。
これは、特に気道感染症や敗血症に対する防御効果によるものに見えた。

・その後、BCGがRSV感染症の頻度を減少させるという研究報告が示され上記の仮説を支持した。

・気道感染症に対する同様の防御効果はインドネシアの高齢者や、日本のツ反陰性の老人に対する臨床試験において確認された。

・南アフリカの青年を対象した検討では、BCGワクチン接種が呼吸器感染症を70%低下させた。

・マウスの検討ではBCGがインフルエンザのウイルス量を低下させたが、その効果はマクロファージ依存性だった。

・最近のマウスの検討で、BCGの経静脈投与は、さまざまな病原体に対する脾細胞および腹腔マクロファージからのサイトカイン産生増加を起こすことが示されている。

・これはBCGワクチンによる骨髄細胞の転写、エピジェネティックと代謝のreprogrammingによるものである。

・BCGワクチンは単球のepigeneticな変化を誘導し各種病原体の初回感染におけるIL-1β、IL-6、TNF-aの産生を増強。
パターン認識受容体を介して、単球の刺激に対する遺伝子応答を変化させる事による




・このtrained immunityはBCGワクチンがもたらす効果の一部であろうと考えられている。  
BCG接種が恐らくは骨髄中に存在する単球 and/or NK細胞にepigeneticな変化を与えるというものである。

・BCGワクチン接種後何年も訓練された単球のプールを維持するかどうかは不明。
しかしBCG接種を受けた子供がSARS-CoV-2に対する防御能を持ち、感染しないことで高齢者が保護される事はありうる。

・BCGワクチンがCOVID-19に対する防御能を有するかのRCTが必要。
 医療従事者などのハイリスクグループを対象に、現在、オランダ、オーストラリア、ギリシャで試験が実施されている。
 米国、英国、デンマーク、フランス、ウルグアイ、タンザニア、ウガンダ、南アフリカでも行われる予定。 -------


Metal Nurse@METAL_NURSE
ただの看護師です。 失礼します。
イスラエルの研究グループは効果なしと発表していましたが、株によると言う説が強いのでしょうか?
現時点で不明な事があるのは承知で質問させて頂きます。





●中国武漢の感染者の予後はLDH、CRP、リンパ球(%)でほぼ正確に予測できた
→治療薬の種類など治療介入の内容により、今後の予後因子は変わると想定します。
これは、中国武漢での初期の流行における患者データを用いて抽出された予後予測因子です。

An interpretable mortality prediction model for COVID-19 patients

Early and accurate clinical assessment of disease severity in COVID-19 patients is essential for planning the allocation of scarce hospital resources. An explainable machine learning tool trained on...
nature.com

・中国武漢の485人の患者のデータベースから死亡予測因子を特定した。

・machine learning toolsが10日以上前に患者の予後を90%以上の精度で予測するための3つのマーカーを選び出した。  
それはLDH、リンパ球数、高感度CRPである。

・特に比較的高いレベルのLDH単独で、ただちに医療処置を必要とする患者群を区別する事ができるようだった。

・このツールはハイリスクの患者を予測し、医療の優先順位をつけることで死亡率を減少できる可能性がある。 ----

・非常にシンプルなアルゴリズムです。  
LDH>365は死亡率が非常に高い。  
LDH<365でも、CRP>4.12mg/dL,およびリンパ球分画<14.7%を満たすと予後が悪いです。





●フランスにおける川崎病のアウトブレイクの報告
→イタリアに続きフランスからの報告です。
従来よりも13.2倍の頻度で患者が発生し、年齢はやや年長で重症度が高く、多くがSARS-CoV-2に感染しています。

これまでの報告になかった新しい点は、全例で腹部症状があったことと発症率に人種差があるかもしれない点が示唆されている点です。
Outbreak of Kawasaki disease in children during COVID-19 pandemic: a prospective observational study in Paris, France

Outbreak of Kawasaki disease in children during COVID-19 pandemic: a prospective observational...

Background: Acute clinical manifestations of SARS-CoV-2 infection are less frequent and less severe in children than in adults. However, recent observations raised concerns about potential post-viral...

medrxiv.org

----- ・2020年4月27日から5月8日までにフランス、パリの大学病院に入院した川崎病について報告する。

・前向き検討として、すべての子供はSARS-CoV-2のPCR、抗体検査、そして心エコー検査を受けた。

・期間中の川崎病の症例数を2018年1月1日以降の症例数と比較した。

(結果)
・合計17人の川崎病の小児が11日間で入院。
2018-2019年では2週間あたり1.0症例の頻度だった
(Poisson incidence rate ratio: 13.2,95%CI 7.3-24.1)。


・年齢の中央値は7.3歳(3.7-16.6)。
患者の59%はサハラ以南アフリカまたはカリブ諸島出身だった。
 川崎病関連症状は両側眼球結膜充血76%、発疹76%、口唇紅潮、苺舌などの口腔所見71%など。
 腹痛、悪心、嘔吐などの消化器症状は全例で見られ、川崎病関連症状よりも早く時期の病初期だった。


・11例はICU管理を要するショック症状(KDSS)を呈し、12人は心筋炎を起こしていた。10例が人工呼吸器。

・14例(82%)がSARS-CoV-2に最近感染していた事が確実だった
(PCR陽性7/17、IgG陽性14/16)。

・全例で免疫グロブリンの治療を受け、5例はステロイドが投与された。
予後は良好だった。

・入院中に5例(29%)で冠動脈拡張が見られた。 -----



●古典的な不活化全粒子ワクチンが有効だったという報告
→日本の2009年のH1N1pdm09で使用されたワクチンと同じ手法かと。 アジュバントとしてalum(水酸化アルミニウム)を使用しています。

mRNAワクチンなど新技術が先頭を走っていますが、安全性という観点からはこの古典的手法がいいのではとも思います。
Rapid development of an inactivated vaccine for SARS-CoV-2

Rapid development of an inactivated vaccine for SARS-CoV-2

The COVID-19 pandemic caused by SARS-CoV-2 has brought about an unprecedented crisis, taking a heavy toll on human health, lives as well as the global economy. There are no SARS-CoV-2-specific...

biorxiv.org

---- ・ウイルスは中国4施設、イタリア4施設、スイス、イギリス、スペインのそれぞれ1施設から合計11株が収集された。

・その中から1株(CN3)をワクチン株として選び、他の10株をchallenge test株とした。

・CN3株はVero細胞でP1からP10まで10回継代培養され、それぞれをストックした。

・遺伝子の安定性を確認するためP1、P3、P5、 P10の遺伝子配列を検討したところ、P1→P10の間にspike protein以外の部位で2か所の変異が見つかっただけだった。

・培養したウイルスを β-propiolactoneで不活化し、ウイルス粒子を精製した。




・不活化SARS-CoV-2ワクチン(PiCoVacc)は、マウス、ラット、非ヒト霊長類でSARS-CoV-2特異的な中和抗体を誘導する。

・誘導された中和抗体は代表的SARS-CoV-2の10株に対し強力な中和活性を示した。

・マカクサルに3μg、6μgの2つの異なる用量で投与すると、その後のSARS-CoV-2のチャレンジ試験でそれぞれ部分的あるいは完全な防御効果を示した。

・ADE現象は見られなかった。 -----

・マカクサルにプラセボ(緑)アジュバントのみ(灰)、ワクチン3μg(青)、6μg(橙)を投与。  
3週後にウイルスに感染させ、咽頭スワブ、肛門スワブ、肺各部位のウイルス量を検討。  
6μg投与ではほぼ完全にウイルス増殖を抑制。





5月15日
●世界の状況 →ICU/人工呼吸器の重症者
米国の重症者は16240人で1日で109人減少
イタリアの重症者は855人で1日で38人減少
フランスの重症者は2299人で1日で129人減少
ベルギーの重症者は380人で1日で27人減少
イタリア41日連続、フランス36日連続減少
https://worldometers.info/coronavirus/

→韓国のナイトクラブのクラスターは133人となっています。
まだ2000人が追跡できていないと。
韓国 ナイトクラブの集団感染133人に 「第2波」の懸念広がる

韓国 ナイトクラブの集団感染133人に 「第2波」の懸念広がる | NHKニュース
【NHK】韓国ソウルの繁華街にあるナイトクラブで発生した新型コロナウイルスの集団感染で、これまでに感染が確認された人は133人とな…
nhk.or.jp


→全然追えてませんでしたが、アフリカ全土で感染者が確認されたようです。
アフリカは全54か国。
サハラ以南アフリカでは感染対策に必要な水すら十分ないと。
アフリカ全土で新型コロナウイルス感染確認

アフリカ全土で新型コロナウイルス感染確認 | NHKニュース
【NHK】新型コロナウイルスの感染が世界で広がるなか、アフリカでは南部のレソトで1人の感染者が出て、これでアフリカ54か国すべてで…
nhk.or.jp


→トランプ大統領の過激発言です。
今の流れを見ていると、中国との関係性で世界が二分されそうです。
トランプ氏、中国との断交示唆 習氏と対話望まず

トランプ氏、中国との断交示唆 習氏と対話望まず
【5月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は14日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への中国の対応を批判する姿勢を一段と強め、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席との対話はもはや望んでいないとし、中国との国交断絶の可能性にも言及した。
afpbb.com


→WHOのブリアン感染リスク管理部責任者が驚いています。
「危機発生以前の事前対策が一部の国で講じられていなかったことに驚いた」と。
私も別の意味で本当に驚きましたwww
「準備不足に驚き」 WHO、各国の感染症対策で アジアは一定の評価

「準備不足に驚き」 WHO、各国の感染症対策で アジアは一定の評価
【5月14日 AFP】世界保健機関(WHO)の感染リスク管理部責任者シルビー・ブリアン(Sylvie Briand)氏がAFPの取材に応じ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)について、一部の国では危機発生以前に事前対策を講じられていなかったことに驚いたと話した。
afpbb.com