「パパ‥イル?」
「…居ないわよ。会社よ。」
電話の向こうの片言の日本語‥東南アジア系の女性の声だった。
多分、飲食街で働いているのだろう。
おそらく、田中の浮気相手だ。
片言の優しい口調の女性‥あの女好きのクソヤロウがぁ…。
時枝は女性には、怒りを感じない。
何故なら、家族を支えるために、日本に来て稼いだお金を仕送りしている子が多いのを知っているから…。
彼女達は、家族おもいで純粋な子が多いのだ。
むしろ、その子達を調子良く騙して、弄ぶようなクズでゲスヤロウに腹が立つだけだ。
田中が弄ばれているんだったら気にしない。
ザまあみろって言って唾はいてやるわよ。
所詮、男なんて女が産み落としたこの世の汚物なのだから。
さて…クソヤロウが帰ってきたら、どうしてやろうかなぁ…。
時枝の残酷で楽しい妄想が始まったのだった。
これは、正反対の二人の物語である。