船橋の公営特養「三山園」突然の民営化⇒職員「分限処分」(首切り)の乱暴な方針決定に衝撃と反発広がる

長年公営(船橋、習志野、鎌ケ谷、八千代の四市複合事務組合)で運営され、「民間では入れない入居者も受け入れてもらえる」ことでも評判の高かった船橋市の特別養護老人施設「三山園」を「民営化する」という方針が突然「四市複合事務組合」が言い出したことに反発が広がっています。

入居者(と家族)、職員、市民の意向など全く「聞く耳を持たない」?

通常こうした大きな制度変更を行う場合は、入居者(と家族)や市民が不安にならないよう、職員の処遇・身分保全もしっかり行うよう、時間をかけて行われなければならないものですが、入居者、職員、市民の理解も全く得ないまま強行されようとしています。

「内容も良くわからないまま」2月15日の「四市複合事務組合」議会で「民営化案」を強行可決。反対討論しかなかった(賛成討論はゼロ)のに、採決ではなぜか「賛成多数」。傍聴していた船橋市民も「ヒドすぎる。あきれて物が言えない」

「四市複合事務組合」事務局は2月15日の議会に突然「民営化案」を提案しました。民営化のかかえる問題点について、2名の議員が丁寧な反対討論を行い、民営化賛成の討論はゼロでした。(ただ船橋市の津曲議員から「公設公営は厳しいかも知れないが、職員多数から嘆願書も出ているし、民営化された施設に移らねば分限免職(クビ)というのは乱暴。との発言はありました)

反対の意見しか表明されていないので、当然「民営化案」は否決されるか、と思いきや、何と!「賛成多数」で可決されてしまったのです。

傍聴した船橋市民も「近くに住んでいるから来てみたが、議会というものが、こんなにヒドいものだとは知らなかった。あきれて物が言えない」と憤慨されていました。

民営化選定委員会はたった3回しかやらないし、その内容も「非公開」で密室審理

さらに民営化の移譲先検討委員会はたった3回(ということは、ほぼシャンシャン大会?)で、その審議も「非公開」の密室審理、ということも反対意見の質疑の中で明らかになりました。

夜勤賃金不払いを改めるよう労基署から是正勧告があり、「労基署の指示に従い法律を守るようになったら赤字になったから」というのが民営化の理由!

三山園では、長年の夜勤賃金不払いが問題になっていました。

労基署の指摘でこの労働基準法違反は改められましたが、「労基署の指示に従って賃金を支払うようにしたら赤字になったから」と、今度は「民営化」(低賃金で働かせる民間に委託)方針を打ち出してきました。しかも今働いている職員は「分限免職(クビ)」にする可能性がある、というのですから、ヒドいものです。


船橋版「森友学園」?
前船橋市長が自分の妻が運営する社会福祉法人に市から4億円を出したことも

市が10億円出して施設を改修し、それを手土産に民間に譲渡するのではないか、税金の無駄使いではないか、という疑惑も持たれています。(四市事務組合は「6億円」と言っています。)

以前には前船橋市長のからむ、こんな事件もありました。(「三山園職員組合」のニュースより)

(千葉日報の記事の一部画像)

 

4市運営の特養民営化へ 船橋「三山園」職員は反発

(朝日新聞の記事の一部画像)

15日市議会での反対意見、実に明快です

谷岡議員の反対意見、実に明快です。

(討論1)

主な反対理由は、特別養護老人ホーム三山園の民間移譲、いわゆる民営化を進める予算が入っているからです。

千葉県内でみれば、公設の特別養護老人ホームの割合は全国平均よりもかなり低く、民間移譲よりも公設だからできることを追求するべきであると考えます。

過去の組合議会の会議録によると、四市複合事務組合としては「パーソン・センタード・ケア」の理念を掲げて三山園を運営していこうとしていた時期もありました。一定の経費はかかるとしても、他の民間事業者では受け入れが困難な高齢者を受け入れる施設として公設を守るべきと考えます。

ところが、この間、あり方検討審議会が設置され、 民営化ありきの議論が進められました。そして、昨年11月に管理者は民営化の基本方針を発表しました。移譲先法人選定委員会がたった3回で終わるという答弁も驚きました。プレゼンテーションなど、民間法人の選定過程に利用者や家族、職員が入っていけないというのが実態ではないでしょうか。

船橋市、八千代市、鎌ヶ谷市、習志野市とも、特別養護老人ホームの待機者が数百人単位でいます。4市の市民を優先的に受け入れることが可能である施設を民営化するのは、市民にとって大きな損失です。利用者にとっては、低料金で入所することも可能であり、問題があれば、公開された議会で監視をして、市民や利用者の意思を反映させることもできます。あり方検討審議会で、公営の福祉施設のいくつものメリットを無視する形で議論が進められたのは問題です。

昨年の全員協議会、および本日の定例議会の答弁を聞く限り、民間移譲の方式では、関係市の優先的な受け入れ、緊急的な措置入所、困難事例の入所要請、料金の大幅な引き上げは避けるといった条件を事業者側が守る十分な保証はありませんし、職員の待遇、引き継がれた利用者の状況、サービスの継承がきちんとなされたかをチェックすることも難しいです。

よって、三山園の民間移譲を推進する予算が入った令和6年度当初予算に反対します。

(討論2)

議案第2号「四市複合事務組合特別養護老人ホーム三山園移譲先法人選定委員会設置条例」の制定に反対の討論をします。

特別養護老人ホーム三山園の民間移譲、いわゆる民営化について、議案第1号の討論に加え、第2号の質疑でわかったのは、多くの三山園職員が民営化に反対しているということです。職員の皆さんが訴えるように「職員や利用者にも生活がかかっている」ということを考えなければなりません。利用者や家族についても、正確にどの程度の人が民営化に納得しているのかはっきりしません。嘆願書を提出した43名の職員が納得していないのは確かです。

職員の処遇については、地方自治体の他の施設の民営化の場合、直営で残った施設への異動という形で対処する場合があります。例えば、習志野市の公立保育所民営化の場合がそうです。しかし、特別養護老人ホームの介護職の場合、船橋市、八千代市、鎌ヶ谷市、習志野市のどの市も類似施設をもっていません。よって、異動先がありません。仮に別の職種として異動したとしても、経験のない職種で仕事を続けていけるかどうかは難しいものがあります。

長年、三山園を支えてきた職員を、移譲先法人に再就職しなければ「分限免職」扱いにして切り捨てるのは雇用主として問題があります。

三山園の多くの関係者が納得できない状況で、移譲先法人の選定という次のステップへ進むことは認められません。よって、選定委員会を設置する本議案に反対します。

 

 

 

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