朝日を浴びて、新聞をよんでいる。
その姿が、とっても嬉しい。
あと30分もすれば、デイサービスのお迎えの車が来る。
と、
母が台所に行って、何やらゴソゴソしている。
何をしているの?と声をかけると、
いたずらを見つかった子供のように、
小袋を慌ててポケットに入れようとする。
ポケットより大きな小袋が隠せるはずもなく、
見せて?と私が言うと、
これは、これは、
と、強く握りしめて、見せない!
中身は、お菓子。
砂糖のついたまま毛糸で編んだペットボトルケースに入れている。
何処に持っていくの?
今日は、デイサービスに行く日だよ。
そう言う私に、
お父さんのところに行こうと思って!
という。
もう、心臓が口から出そうな気がした。
ーーー。
お父さんは、死んじゃったんだよ!
と伝えた。
お父さんのところとは、
位牌のある所なのか、
お墓の事なのか、
亡くなった事を忘れたのか、
言葉少ない母の思い違いは、よく分からない。
とにかく、
穏やかに新聞を読んでいた母に安心していた私は、また、冷や水をかけられた気になった。
あー、
とても悲しくなった。