*雪印* | Read the mind

Read the mind

本を読む。 心を詠む。 似て非なるモノ。
大好きなお花のコトと自然摂理。

家の近くに種苗会社さんがあります。
ずっと行ってみたいと思っていたのですが、
今まで出掛けて行けなかった場所です。

雪印種苗

「雪印」は、私が子供の頃から慣れ親しんだ会社でした。
子供の頃に住んでいた、とても小さな町にも「雪印」の工場があって、
其処に遊びに行くと、いつもタダでアイスクリームを食べさせて貰えました。
この「雪印」には、きっと知り合いの人が働いていたのだと思います。
その工場ではアイスクリームの他に、チーズとバターなども作られていました。
保育園か小学生の時には社会見学の授業で、
ラインと呼ばれる製造過程も見せて貰った事があります。

雪印種苗

その後「雪印」は、大きな社会問題にもなるような、
食中毒事件を起こしてしまい、
会社自体の解体にまで発展してしまいました。
この事件は私の住んでいた小さな町にも衝撃的な事でした。
丁度、私も子供を出産したばかりの事だったので、
少し粉ミルクや牛乳離れに繋がり、
それ以降は「雪印」ブランドの製品からも遠ざかったと思います。

雪印種苗

「雪印」が解体されて「メグミルク」という新たな会社に、
その権利が譲渡されているのは知っていました。
「雪印」の偉い人達は、その後どうなったかは知りません。

アイスホッケーチームも持っていた「雪印」の、
スケートリンクがあった場所なんだと勝手に思っていた其の場所。
其処は実のところ種苗会社さんだったとやっと解ったのは、
ほんの数年前の事で、それ以降 この「雪印種苗」には、
ずっと行ってみたいと思っていたのです。

調べてみたら親会社でもあった「雪印」という会社は無くなりましたが、
この「雪印種苗」さんは完全子会社化していて、
そして、事業内容の殆どは食物では無く、
酪農や園芸に関係してだったので、
今現在も「種苗会社」として機能している事が解りました。
そして、何だか安心しました。
今年は時間があって、
沢山、訪れる事が出来て本当に良かったと思いました。

雪印種苗

種苗会社の庭園の延面積は、ハッキリと解りません。
倉庫だけで約1000坪となっていたので、
庭園は3倍以上あると思われます。
この種苗会社の庭園には薔薇園もあって、
300種1000本の薔薇が植えられていました。
今年は全ての薔薇の開花には間に合いませんでしたが、
ココで沢山の勉強をさせて頂きました。

マルティーヌ・ギョーやオールドローズも、
この薔薇園には沢山あります。

雪印種苗

その他にも沢山の高山植物も見る事が出来ます。
そして、庭園の中には、こんなに大きな朴の木もありました。
今まで小さな葉しか見た事が無く、
お料理で使われているのものは、所々破れていたりもしたので、
キチンと枝に付いているものは初めて見たかもしれません。
とても、綺麗でした。


雪印種苗
(バター工場の建物)

敷地内には、園芸センターもあります。
ここでも沢山の植物を見せて頂きました。
ムラサキという植物を知ったのも、このセンターででした。

ただ、御花の写真を撮っていたら店員さんに注意もされました。
何時もなら「スイマセン」で終わるのだろうけれど、
例えば、お洋服屋さんでお洋服を見て勉強しようとしたら、
ここの裁断はこうで、このドレープは三倍の布を取って等、
大体の事は解るし絵画だったら絵具の塗り方をジックリ時間を掛けて見ると、
何処を修正して何処を削ったのかも解るけれど(油絵)
御花の場合は日に日に変化する其の姿や立姿を止めて置く事は不可能に近く、
デイティールを見ようと思ったら画像に残すしか方法が思いつきませんでした。

雪印種苗

それで、種苗会社さんに電話して画像を撮るのが何故ダメなのか話して、
その次にセンターに行ってみたら、
誰からも注意されませんでした。
何故、植物の画像を撮るのがダメなのか誰も教えてはくれなかったけれど。。。
どちらにしても、今年はこの雪印種苗で沢山の勉強をしました。
そして、庭園は整備されていて本当に美しかった。

雪印種苗
雪印種苗

庭園の端には、昔々使用していたバター工場の建物も保存されています。
この工場は、よく考えた設計になっているそうで、
雪が屋根に停滞しないような作りになっています。
モデルはデンマークの家。
元々は雪印乳業の漸進を作った人の私邸だったそうです。

コレも調べてみたらビックリしたのですが、
雪印乳業、企業の一番最初は乳牛20頭から始まったのだそうです。

雪印種苗
(格子柄の窓はキレイです)

今年は下半期からNEWSにもなりましたが、
国内のバター不足の話題が上がりました。
国内の離農は加速する一方で約1万9000戸が10年の間に離農されたそうです。
牛乳の生産率は1年間で100万トン低下。
これがバター不足の原因だそうですが、
年末のクリスマスケーキ用のバターは政府が確保していて、
今年は1年の間に2度も輸入措置が取られました。
元々、牛乳・バター・チーズは自給自足出来ていた国だったのに、
このNEWSは、とても悲しいお話でした。

雪印もそうですが、この土地が開拓期の頃には、
酪農にも沢山の夢がありました。
家族での朝晩の搾乳も牧草狩も、
沢山仕事をして搾乳量が増えたり子牛が生まれたら、
収入も少しは増え、家族にも幸せが齎されるといった、
とても単純な構図だけれど酪農家の人達にも解りやすいシステムがあって、
皆、働くことに生きがいを感じていました。

それが、近年では生産率が上がっても消費量は一定なので、
搾乳しても買い手が居なく、親牛の目の前で廃乳したり、
そのうちに牧草地を売らなければ生活もままならなくなり、
挙句、借金しないと農場の経営も立ち行かなくなって、
離農して行く酪農家達。
バター不足が起こっても自給自足の考えも無く、
輸入で賄おうとする政府。
NEWSでは、このように輸入にばかり頼るなら、
来年もそれ以降もバター不足は解消されないだろうという予測でした。

CL・アンジェラ

日本は元々、自給自足で食糧を作り出せる農業大国だった。
水産業も工業も自分達で生活する術も持ち合わせる国。
時代が変わって行く上で他国との共存も考えるのは、
極当たり前の事かもしれないけれど、
自国の足元がグラついているのに改善策も出さずに、
一時凌ぎの策しか出さないような、そんな政治家にこの国を委ねていて、
本当に安全なんだろうか?
今年は、そんな事もこの雪印種苗の庭園で考えてしまいました。

雪印種苗の事は沢山調べてみたけれど、
雪印乳業の後継会社になったメグミルクは、
私が住んでいた小さな町の工場を閉鎖する事も無く、
そのまま新しい会社の工場として機能しているそうです。
アイスクリームは、もう作られていないようでしたが、
今は主にチーズ工場として稼動しています。
この情報は、一つの嬉しい出来事でした。
悪いNEWSばかりだと心が病んでしまいますが、
こういう良いお話が溢れかえるような、
そんな良き日を、心待ちにしている国民もいます。
来年、少し乳牛の頭数を増やしたり、
搾乳量が増えて一人一人にキチンとバターが行き渡る、
通常な流通が行われると良いなっと思います。



「雪印種苗」に行ってみて、自分の住んでいる近くに、
こんなに生きている自然と一緒に居られる事は、
とても嬉しい事なのだと実感しました。
来年は、雪が溶けたら又庭園に通います。
ここに行くと遮るものが何も無い空と、
喧騒から離れた静けさが待っていてくれます。
春には何が咲いているんだろう?
ここで読書するのも素敵だなっと思います。
「雪印種苗」さん、私の勉強の大きな糧になって下さって、
有難う御座いました。
来年は、ベランダいっぱいになる位にお花の苗を購入させて頂きます!


雪印種苗株式会社