スタッフ間のコミュニケーション② | 介護経営に役立つ情報 by 吉田りゅうた

介護経営に役立つ情報 by 吉田りゅうた

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前回でも少し触れましたけど、本当に困ったスタッフが多いという相談を受けます。入社当時は真面目に仕事をしていても、時間がたつにつれて変な方向に向かい、仲間の足を引っ張ったり、自分本位の考え方をして利用者様を蔑ろにしたりするそうです。


何故、そんな風になってしまうんでしょうか?


小規模デイサービス(通常規模であっても利用者様20名/日程度で、1店舗で営業の場合も含む)の場合、スタッフと社長の距離感はとても短く、直接意見を言うこともたやすくできます。この環境が、困ったスタッフを育ててしまうのだと考えられます。要するに、経営者を自分と同じスタッフだと思われている。。


私は立場上、経営者の話しか聞きませんので、スタッフの言い分はほとんど耳に入りません。言い分の正当性は別にして、利用者様を蔑ろにしてしまっては、どんな言い分も通りません。

経営者とスタッフの決定的な違いは、ここです。経営者はどんなことがあっても、利用者様やご家族の為を考えています。もし、スタッフの方で経営者と同じ想いがあって、方法でぶつかっているのであれば、論理的に話し合ってみてはいかがでしょうか。

でも、たいていの場合、ケアプランを中心にコミュニケーションを取ればある程度のゴタゴタは解消されるのではないかと思っています(利用者様を見ていないスタッフは論外で、この程度ではちょいと無理かも)。



さて、今日はデイサービスで、最も基本であるケアプランを中心にコミュニケーションを考えてみます。

介護業界に携わっている方は、当たり前だと思っているでしょうけど、このケアプランってすごいんです。ケアプランのPDCAサイクルを回していけば、利用者様のケアは理論上完璧にできるはずなんです。

でも、ケアプランが形骸化している事業所も多くあると思います。介護保険法で運営が義務付けられているため、本来はあってはならないことなんですけど、残念ながらそんな感じを受けます。だって、利用者様の介護度が下がってないでしょ?私は、ケアプランの目的は、利用者様の介護度を下げる、もしくは上げないためにあるものだと思っています。だって、理論上、ケアプランのPDCAサイクルを回せば、そうなるはずですから。


どうしてケアプランのPDCAサイクルが回らないのでしょうか?

それは、ズバリ「成果指標」と「目標値」を設定していないからです。

そもそもプランを立てるときには、必ず目的と目標があります。ケアプランの場合であれば、利用者様のケアをするという目的と、介護度を下げる(上げない)という目標があります。ほとんどのケアプランには、それっぽいことが書いてあるのでしょうが、ちゃんと成果指標と目標値が設定されているでしょうか。


ここで、例を出します。

介護度が割と低いけど、自宅で最近元気がないAさん。ご家族が気にかけて、デイサービスに通ったら楽しめるかもしれないと思い、ご本人を説得してデイサービスの利用となった。ご家族の希望は、レクリエーションをして欲しいとのこと。


ちょっとザックリとした例ですけど。。


この利用者様の、ケアプランには「レクリエーションをする」って書いてもOKです。ご家族も希望されているのですから。でも、これだけでは、不十分です。なぜなら、成果指標と目標値がないからです。


こうしてみてはどうでしょう?

「プラン:レクリエーションをする」+「成果指標:笑顔の数」+「目標値:レクで笑顔が5回」

ここまでしたら、ケアプランは完璧です。


さて、スタッフはこのミッションをこなせるでしょうか?

スタッフのスキルや利用者様の慣れなど、ミッションをこなす要素はたくさんあるでしょうけど、ミッションをこなせなかったときに、どうしたらよいかを話すのが、スタッフ間のコミュニケーションです。


先ほどの例をもう少し使いましょう。

スタッフA: 「レクリエーションをしたら、Aさんは笑顔を5回見せてくれました」

スタッフB: 「どんなレクリエーションをしたの?」

スタッフA: 「レク自体は、いつも通りだけど、隣に座っていたBさんととても馬が合うみたい」「それと、歌を聴くことがとても好きな様子だった」

スタッフB: 「歌のジャンルは?」

スタッフA: 「意外にも、クラッシック!」


こんな感じで、成果指標と目標値を設定していたら、利用者様の様子を知る切り口になって、情報がとり易くなりますし、スタッフ間のコミュニケーションもこれら中心に行えば、スムーズにいくはずです。

スタッフBさんは、スタッフAさんの情報を頼りに、次回のレクでもAさんの笑顔を見るために創意工夫するのだと想像できます。


ほかにも細かいテクニックがあったりしますけど、今日はここまで。。


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