NHK連続テレビ小説「だんだん」で吉田栄作が演じている“お父ちゃん”田島忠は、いつもの「ヒロインの父」像とはちょっと違う。劇中に「松江のトム・クルーズ」という表現が出てくる通り、格好良くて、まだ恋ができそうな“現役感”があり、ときめいている視聴者も多いようだ。吉田が語る「父・忠」とは-。 (宮崎美紀子)

 吉田栄作、三十九歳。この年で、実年齢二十二歳の三倉茉奈・佳奈が演じるヒロイン・めぐみ、のぞみの親である。

 「最初に父親役をと言われた時は『え~、マナカナちゃんって、いくつだったっけ?』と聞いたんですが、二人の十八歳から物語が始まり、忠の若き日の子どもだというので、まあ、計算は間違ってないのかな」

 忠は、世界を目指せるボクサーだったが挫折。生後間もないのぞみを真喜子(石田ひかり)に託し、松江でシジミ漁師をしながら、再婚した嘉子(鈴木砂羽)、めぐみ、長男・健太郎(木咲直人)と新しい家族を築いた。

 「忠の背中が子どもたちの道しるべになるようなお父さんでありたい」と話す吉田。そんな父・忠の見せ場が、十二月一日からの「第十週」。道に迷う娘たちのためにボクシングのリングに立つ。

 「かつて自分が人生を懸けて追った夢を、『わしがおまえたちのころは、こんなことしてたんだよ』と子どもたちに体で見せたい」と忠の心を“代弁”。三十八歳でのボクサー復帰はやや荒唐無稽(むけい)だが、本人は「ものすごく感銘を受ける」という。

 「もともと僕は映画の『ロッキー』が大好きでね。男が体を張って何かを表現するということは、すごく分かります」

 彼が忠について語る時のキーワードは「十字架」だ。人を傷つけ夢をあきらめた十字架、破たんした結婚と娘の一人を置き去りにした十字架。「十字架が重くて仕方ない十数年だったと思うんです」

     ◇

 ボクシングに関してはリングに立つことで区切りを付けるが、もう一つの十字架はまだ降ろせていない。再会した忠と真喜子、そして嘉子の微妙な三角関係を描く“大人パート”が、本筋とは別に盛り上がっている。真喜子との関係について、彼はこう話す。

 「忠は嘉子の夫として、過去を封印しても生きていける。でも、相手(真喜子)の思いを感じてしまい、では自分の思いはどうなんだと思った時、どこかで積み残した問題に踏み込まなければいけない」。とはいえ、「京都とは縁を切る」と宣言したのは忠自身なのに、最近、真喜子に接近しすぎでは?

 「今一番つらいのは、そこを突っ込まれることです」と苦笑して、こう続けた。「嘉子だけを愛してくださいとか、いい男だと思っていたのに残念、とか言われる。お気持ちは分かりますが、台本に書いてあるんです。いいんです。僕がつらい思いをすれば、ドラマは成功してプロデューサーは喜ぶんですから」

 物語の転換点となる第十週。今後の見どころは-。

 「やっぱり、めぐみとのぞみが双子デュオとして、どう世に出ていくのかが一番の見どころ。“大人パート”としては、忠のもう一つ置き去りにしてきたことですね。京都に思いを残してきたと思うんですよ。そのへんのモショモショ?ですね。大変なことになると思いますよ」


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