2月14日

 

日付が変わっても

病室に響くのは エアマットの作動音と

酸素のボコボコいう音と 

酸素の流れるシューって言う音だけ。

 

 

体位交換のためと 麻薬ポンプのチェックで

看護師さんが来られる以外は

親子水入らずの空間だ。

 

 

 

泊まり込み3日目の母が少しでも寝てくれるといいのだが

「ねえ ベッド交代しようか?」とやたら勧めてくる。

いいってば。

たぶん冷たい断り方してたんだろうなと 今になって思う。

 

 

 

 

 

そんな静かな夜に変化が起きたのは早朝5時。

簡易モニターが外され 枕元に本格的なモニターが

運び込まれた。(ドラマとかでよく見るヤツ)

 

すぐに血圧測ったが 32-22。

血圧チェックは必要なしと取り外される。

SpO2が80を切るたびにアラーム音が鳴り響く。

 

もう痰の吸引を行うこともなく

看護師さんがずっと付いていることもなく

母と二人 ベッドの脇についたまま

減っていく数字を眺めている。

 

手をさすったり ツボを押したりすると

一時的に数値がよくなったりするんだけど

5時半ごろにはSpO2も50くらいまで下がり

そこからは ゆるやかに ゆるやかに

波形もなだらかになってゆき ゼロになった。

 

 

 

 

おそらく 家族だけにしてあげようという配慮だろう。

でもアラーム音の消し方を教えておいてほしかった。

そうしたら あの音がトラウマにならなくて済んだのにな。

 

 

 

実は アラーム音以外にも耳に残ってる音がある。

モニターの数字が限りなく小さくなった頃

父の顔を見ることに集中していた。

 

父の表情が一瞬ゆがんで

小さな声を伴った呼吸を ひとつ ふたつ。

 

そして静かな呼吸をひとつ。

これが最後の呼吸だった。

 

 

 

 

その小さな声。

ちょっとだけ苦しそうにも聞こえたその声。

 

 

 

母は気づいたかな?

ワタシの方が顔に近いところにいたからなあ。

どうか聞こえてませんように。

 

 

 

 

 

 

先生が来るまでがんばろうよって声掛けたんだけどなあ。

主治医じゃない 見たこともない先生が来られて

例の型どおりのチェックと 型通りの宣告。

 

6:03  バレンタインデイの夜明け前

とうとうあちらへ行ってしまった。