昔からの農家が多いこの地域では、民家の敷地内にビニールハウスがあることは珍しくない。
温かいハウスの中は、発芽~苗の育成にも最適だ。
5月になると種苗店でぞくぞくと販売される夏野菜の苗も、おそらくハウス内で作っているのではないだろうか。
なぜなら、やや北国の宮城県では、「春がきた」と思ったら、次の日には10℃ちかく気温が下がって、冬に逆戻りなんてこともあるからだ。
そこでハウスがあると便利なのだが、ここ、コム農園にはハウスがない。ならば、簡易的なミニハウスを手作りしよう。
まずはタネを撒く。今回はキャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどのアブラナ科軍団と、レタス、トマトなどである。
ポット撒きは前に写真付きで載せたので省略して今回はスジ撒きでの苗の作り方をば。
土の表面に、棒などで浅い溝を作る。
そこにタネを撒くのがスジ撒きである。
タネを撒いたら、土を被せて密着させる。
ホウレンソウやカブなど、畑の畝に直接撒いて間引きながら育てるものもあるし、ネギ苗は畑の空いているスペースにスジ撒きしておいて、あとから植え替える。
今回はハウスで苗作りをするので、こういったトロ箱などを利用する。
さて、種まきが終わったらいよいよハウス作りである。
日当たりのよい場所を選んで、大きなサイズのトンネル支柱を等間隔に刺す。
その上からビニールを被せ、マルチストッパーなどで押さえる。
ビニールを上から押さえるように、またトンネル支柱を刺せば完成だ。
両端のビニールはクルクルと巻いてまとめ、石やブロック、木材などで重しをしておき、開け閉めが楽にできるようにしておく。
先週撒いたタネも一緒に入れておいた。
小さいながらもハウス内はとても暖かく、気持ちがいい。
そして、数日後……。
一番に発芽したのはレタスである。小さな小さな双葉が見えるだろうか。やっぱり、ハウスなしでは寒かったのだ。
先週撒いたナス科軍団だが、10日経つのに発芽しない。
しかも被せておいた紙が風でダメになってしまったので、代わりにもみ殻で覆った。
むしろこのほうが、様子を見るのもラクチンでいいかもしれない。
発芽適温の25℃以上を維持するために、ハウス内でさらにビニールを。もちろん、空気は通すように気を付ける。また、発泡スチロールも温度を上げるのに役に立つ。
いつも偉そうな口ぶりでこのブログを書いているが、実は農業3年生だ。とくにナス科をタネからやるのは初めてなので、試行錯誤中である。
去年、高温を必要とするズッキーニをよく知らずに種まきして、なかなか発芽しなかった際に、こうして無事に発芽したので、たぶん大丈夫。
温かくて珍しいその場所は、やっぱり猫も好きなようで……。
彼の名前は「茶々丸」。生後5~6ヶ月かと思わしき頃、まさに骨と皮だけの状態でこの農園にやってきた。
放っておけるわけがない。なぜ、子猫がひとりきりで、あんなに痩せていなくてはならなかったのか。
野良猫に餌付けをする行為には賛否あるだろう。だが今でも寝床と食事を提供している。
茶々丸は、幼少期に壮絶な思いをしたせいか、猫社会の中ではサイコパス的なところがある。だが人間には心を許してくれたのだ。
それに、朝・昼・晩としっかり催促に来る。
ちなみに去勢済みだ。
里親を探していた時期もあったが、どうも信用できないし茶々丸が帰ってきて「ここがいい」と言うので、これでいいと思っている。
今日も読んでいただき、ありがとうございました。