≪大阪市環境局職員不正現金着服問題≫6人を懲戒免職・21人を停職処分 | RE:SUKI

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考えましょう

12月22日付けで大阪市ホームページに、ある不祥事に関する報告書が掲載されました。大阪市環境局河川事務所の職員による、不正な現金抜き取り問題についてです。同時に「環境局河川事務所不祥事案調査チーム」による、PDFファイルの報告書が公開されていました。

大阪市職員による不祥事ですが、告発者の発言や撮影した映像が発端となり、現在までに6人が懲戒免職、そして21人が停職(1~6カ月)処分されています。そして、当の告発者本人もが懲戒免職処分されるという、簡単には理解しにくい出来事が起こっているようです。

■ 「一定の処分は覚悟していたが、免職とは……。市は内部告発者を守ると言っていたはずなのに」
大阪市環境局の河川事務所(西区)に勤務する職員が、河川の清掃作業で集めたごみから見つかった現金などを長年にわたり着服していたとして、市は22日、懲戒免職6人、停職21人を含む計42人の処分を発表し、懲戒免職の6人には内部告発した職員も含まれていた。 内部告発した職員は読売新聞の取材に、自らへの懲戒免職処分に憤りをあらわにし、処分取り消しを求める訴えを近く起こす考えを明らかにした。 今回の問題で、職員は拾得物の物色の様子などを「証拠映像がなければ訴えてもうやむやにされる」と隠し撮りした映像を、テレビ局に提供。この時点で、市にはすでに告発していたが、「市の調査手法に不信感があった」という。市も本格解明に乗りだし、こうした行為が長年の慣例だった実態を突き止めた。 調査の過程では、この職員の着服も発覚。市は処分に当たり、内部告発を軽減材料とする一方で、同僚への暴言や事務所内の備品の破損などの行為も判断材料にしたといい、平松市長は記者会見で「軽減につながる行為と加重要素の差し引きで、加重が上回るという弁護士の意見に賛成した」と説明した。(2010年12月23日12時05分 読売新聞)


長くなりますが、PDFファイルの概要は以下です。

■9月24日(金)
「河川に漂流しているかばんなどを河川事務所職員が再利用しており、中には現金も拾得物としてあり、職員で分けたりしている」との告発

環境局で調査 ⇒ 事実と認められた

☆告発者の保護へ
「自分が告発したことがわかると職場にいられない。また、身の危険を感じる」
「告発者が公正職務審査委員会での調査を希望していない」

■9月26日(日)・27日(月)所長を含む2名の行政職員に聞き取り調査
・「かばん」や「ゴルフバッグ」を譲り受け、再使用したことがある
・現金は一年ぐらい前に噂程度で聞いたことがある

■10月1日(金)

・告発があったとわからないように工夫
・全員に対して、業務実態について詳しく調査すると環境局業務担当課長から説明

■10月5日(火)~8日(金)
全職員に対し聞き取り調査

■10月15日(金)にかけて
・証言内容の整理
・個々人の調書を作成

■10月20日(水)にかけて
・全職員に共通する事項と特記事項の振り分けを行う
(矛盾点の発生)一人だけが20万円(後の事情聴取で「15万円」と修正)を拾得していたと供述したが、同じ作業船に乗り組みしていた者と供述にくい違いが出る⇒この様な例について更なる調査へ

■11月2日(火)中間公表
同日、告発者がマスコミにリークした映像が放映される

■11月4日(木)
市長が記者会見を行う
・テレビ放映の内容を含め、厳しく事情聴取を行う
・告発者にビデオの提供を強く求め、徹底した調査を行う
・大阪府警察本部と対応を協議する

■11月5日(金)
・大阪府警察本部と協議
・引き続き大阪市において調査を進める

■11月8日(月)
・告発者にDVDの提供を要請 ⇒了承を得て入手
・12月16日(木)にDVDの追加提出あり

■11月9日(火)~16日(火)
・DVDの内容を分析
・河川事務所全職員から放映内容等に関しての聞き取りを行う

■11月18日(木)
「不祥事根絶推進チーム」を投入した「環境局河川事務所不祥事案調査チーム」を設置
(1)事情聴取対象者
① 河川事務所に在籍する行政職員【3名】・技能職員【31名】
② 過去10年間に河川事務所に在籍し、転出した行政職員【8名】・技能職員【1名】
③ 過去10年間に河川事務所に在籍し、退職した技能職員【3名】
④ (財)大阪市環境事業協会に委託していた期間(平成15年度から平成19年度までの間)に在籍していた職員(再雇用職員)【4名】
⑤ 過去10年間に河川事務所に関係する管理監督者を含む行政職員【27名】

■11月26日(金)~12月6日(月)
事実関係の確定に必要な職員及び証言がくい違う者への事情聴取

■12月9日(木)~12月14日(火)
河川事務所全職員に対し本件事案に関わる全容を事情聴取

■12月13日(月)~12月16日(木)
河川事務所の業務に以前関わっていた行政職員、及び(財)大阪市環境事業協会に委託していた期間に在籍していた元行政職員に事情聴取

■12月21日
「環境局不祥事案再発防止委員会」を設置

(調査内容)
Ⅰ.金品の私物化等について
① 拾得した現金を着服あるいは職員同士で分配
② 拾得した有価証券を私物化
③ 拾得した物品を私物化して再使用
④ 身分証明書等と判りながらそのままごみとして処分

Ⅱ.DVDの映像について
提供されたDVDの映像をもとに事実関係を詳しく事情聴取
①「拾い上げたかばんの中から濡れた千円札の束(10万円程度)を出し、一枚ずつ剥してバケツの中で洗っている」事案
② 映像に映っていた職員が「昨年15万円拾得した」と発言
③「今年5,000円を拾得し、1,500円分配された」と職員が発言
④ 第8清河丸に置かれていたタッパーの現金について
⑤「中浜詰所時代は、現金を全員で分配していた」と職員が発言
⑥「100万円あったと聞いた」「最高で30万円あった」と職員が発言

Ⅲ.陸上のごみの収集について
現地確認及び周辺への聞き取り調査及び動機など
河川に隣接する会社のごみ及び河川敷公園内の剪定ごみについて職員への聞き取りだけでなく、収集していた相手方に対しても聞き取り調査をあわせて実施

Ⅳ.証拠隠滅に関する事項について
複数の職員が、船の上で「思ったことポロッと言ったら、エライことになる」「辻褄合わせないとだめ」等と発言した内容の真意、撮影日、発言の動機等
映像にあったかばん・ゴルフボール・クーラーボックスを、10月1日から5日までに処分したかどうか
その他、貯めていた現金等を10月1日から5日までに処分したかどうか

Ⅴ.その他
事情聴取を進める中で得られた新たな証言についても聞き取りを行なった
・ゴルフバッグやゴルフクラブ、貴金属を横流しして利益を得ていたことがあるか
・ 注射器や覚せい剤のような白い粉を引き上げたこと等犯罪的な物の私物化をしたことがあるか
・ 天神祭りや花見の時期に、業務以外の目的で船を使用したことがあるか(公益通報)

Ⅵ.「特定の職員」が、脅迫や威圧的な行動を行っていたという上申書が、提出されたことに関する調査
本件調査の途上、河川事務所職員10名から、平成22年11月22日から25日付けの「上申書」が調査チームに対して提出された。上申書の内容は、「特定の職員」の暴言、威嚇的行動など、具体的な内容を記載してあり、さらに、「かばんが流れていたら強制的にそれを見るように言われた」等を訴えている者もあり、その内容が事実であれば、提供された映像の信憑性にも関わってくるので、上申書内容についての「特定の職員」への事情聴取が必要であると判断した。

(調査結果)
・河川事務所に在籍する技能職員31名のうち、拾得した現金を着服あるいは職員同士で分配したことがあったと証言する職員は27名
・拾得した有価証券を私物化したことがあったと証言する職員は19名
・有価証券を再使用した職員のうち2名について
⇒「乗車券をJR駅構内で換金した」
⇒「ICOCAカードの残金でたばこを購入した」
・所長を含め24名が拾得した物品を私物化して再使用
・身分証明書などを処分した職員は28名
・15~16年前に金品の私物化が行われていた

(告発映像のDVDの内容)
・平成22年6月24日午前中、道頓堀川にて2名で小舟に乗船し作業
・乗船していた2名は撮影者と同僚職員
・千円札で10万円分程度と5千円札1枚を発見
・2名でほぼ均等に分けたとの証言で一致
・同僚職員は1~2日後にビニール袋に入れて捨てたと証言
・撮影者は家族に渡したと証言
・撮影者」は、同日の昼間、分配した現金を別の職員の立会いのもと、現金が発見されたかばんの中に戻し、船の塵芥槽に捨てたと証言⇒証人となる立会いした職員も同じ内容の証言

(DVD内の発言について)
①「昨年15万円拾得した」
・平成21年の7月~10月頃に、道頓堀川において収集したかばんの中から15万円(すべて1万円札)を発見
・同日昼休み中に事務所内で同じ作業グループ計5名で3万円ずつ分配
・うち1名は「覚えていない」と証言⇒残る4名は証言が一致


②「今年5,000円を拾得し、1,500円分配された」
平成22年6月頃に、寝屋川において、他の職員2名との計3名で乗船し、作業していた際に、5,000円を発見して、1名ずつ1,500円を分配された。残りの500円はジュース代にした

③「中浜詰所時代は、現金を全員で分配していた」
平成17年度から平成20年度の4年間、中浜詰所に在籍していた全職員(14名)から、現金を一旦プールした上で分配していたとの証言

④「100万円あったと聞いた」「最高で30万円あった」
そのような事実はなく冗談で言ってしまったと証言

(陸上のごみの収集作業について)
・「撮影者」は他の場所での陸上のごみの収集作業について、それを行っている職員に対して口頭注意しても止めないことから、止めさせるためには映像に残すことが必要であると考え、自らが都島大橋西詰高架下の作業現場を探し、わざと撮影したものであると話している
・撮影された同乗の職員に確認したところ、収集時期や収集回数は「撮影者」の証言と一致しているが、「『撮影者』が怖くて逆らえなかった」と証言
・地元の方は「不法投棄ごみの撤去を行ってもらったので環境衛生面で助かっていた」と証言


(「特定の職員」が、脅迫や威圧的な行動を行っていたという上申書の内容)
・ ある職員を呼び出し、怒鳴りつけ、壁をなぐって脅迫的な暴言を吐く
・ 理不尽な言いがかりをつけている
・ タモ(水面清掃をする為の道具)を運転席に向かって投げつけた
・ ロッカーを叩きながら怒鳴っている
・ 自分のロッカーが何時も蹴られて、扉がきちんと閉まらない
・ 首に手を回されて脅される
・ 自ら率先して拾得物を引き上げている
・ かばんを見るよう強要された。
・ 脅されて、無理やりごみを積まされた
・ いきなり、顔を近づけてきて、『おまえ何か文句あるんか、あるんやったらいつでもやったるぞ』と恫喝された

(業務実態・浮遊物実態の調査)
平成22年11月4日(木)~12月10日(金)までの26日間の調査
・かばん32点(うち財布が入っていたのが5件)・財布44点・ゴルフバッグ19点など合計109点を収集
・上記かばん・財布・ゴルフバックに入った状況で拾得した現金は17件で、合計は12,966円


PDFファイルには今後への対策など、さらに詳しい情報が書かれていますが、気になった点だけをまとめてみました。これだけの情報ではなぜ告発者が処分されなければならなかったのかが分かりませんが、平松市長によると、「軽減につながる行為と加重要素の差し引きで、加重が上回るという弁護士の意見に賛成した」とのことですから、告発者に何か問題があったことが伺えます。まさか撮影の際に「約5万円を受け取った」ことではないかと思いますが。

告発者は、これだけ多くの職員をある意味「敵」に回し情報を公開したのですから、周囲からあらぬ嫌疑をかけられることが予想できます。市の対応がそれを踏まえた上でのものならば良いのですが、それを考慮しない形の一方向の情報だけに頼ったものであるなら、処分取り消しを求めていくと話す告発者は、巻き添えの「犠牲者」になっただけかもしれません。

告発者は報道映像の中で、自らのロッカーに入れておいた衣服を破られている映像をも公開していました。今回の処分に対し、「あまりにむちゃくちゃ。報復としか思えない」と話しているそうです。今後どのような動きに大阪市が出るのか、非常に興味があります。

大阪だけに限らず、全国どこでも似たような事例があることが想像できるわけですが、やって良いことと悪いことの判断ができない「大人」を「公務員」として採用すること自体に問題があるとしか思えない私であったりします。


≪日本国憲法≫
■第15条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

■第99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

国民を助けてくれる公務員さんもたくさんいるのですけど、こういうのは…


■大阪市河川事務所ネコババ「告発者免職、処分理由差し控える(平松)」