患者の病状が良くならない理由を挙げたらほんとうにきりがないのだが、医者側の問題として、診断の間違いがある。中には病気で無い者を病気にしてしまっている。病気で無い者に薬を飲ませたところで、良くなるはずが絶対にないのに。

診断が間違う理由、数え上げたらきりがないが、ひとつ目は、精神科診断の手続きルールを無視しているか、そもそも診断の手続き自体を知らないこと。まともな研修を受けてないとそうなる。正しい診断手続きに沿って診断をすすめれば、そうそう空振りすることはないが、ルールを無視すれば空振りだらけになる。

もうひとつ最近とみに増えたのが早々と診断告知したがる医者。そんなことをしても良いことは何もないのに、とにかく病名を早々に告知したがる医者が増えまくっている。精神科医療の重鎮、西園先生も、診断告知が早すぎると警告している。診断告知を急ぐことで、治療関係を確立する作業が疎かになる。これがいちばん不味い。精神科に限らず、治療の第一歩は医師患者間の治療関係を確立することだが、こんな基本的なことは臨床教育の最初に教わるもので医者になってからではない。そしてこれも精神科に限らないのだが、最初しばらくは「とにかく患者の話を聞く。聴き入ることが大事で、何も言わない」のが正しい。しかもそれは「数か月」と西園先生は教科書の中で述べている。従って、少なくとも最初数か月は確定的な診断名の告知は無いということだ。