救急医療現場の友人医師のはなし | 1年で医学部合格を目指す、医歯薬受験のシグマ

1年で医学部合格を目指す、医歯薬受験のシグマ

医学部受験に30年関わってきた経験から医学部受験のウラ話を紹介していこうと思います。

私の友人には医師が多いが、そのうちの一人の話をしよう。

 医学部生になると、大学病院や系列の病院で、実際の医療現場を見学するのは必須となる。その中で、救急医療の実際に触れ、衝撃が走る学生も多い。卒業して国試を取り、医師になると救急医療に何年か着くことも一般的である。

 その友人は、学生の時に見た救急医療の現場で見たものは、「ある程度覚悟していたこと」として受け入れられた。大学病院に救急で搬送される中には、凄まじい傷病であることなど日常茶飯事であり、そうしたことは先輩や教授たちから聞いていたからだ。例えば、焼身自殺をはかった人などは、全身が焼け爛れて搬送させれてくる。

 ところが、実際に医師になり、救急医療を担当すると、学生の見学とは全く違ったのである。学生の時は視覚による救急医療の壮絶さを知っただけであるが、救急担当医は、それらの治療を請け負う。そして、ここが、重要だが、その患者の背景もである。例えば、目の前の患者が瀕死の重症であり、救命をする使命が医師としてあるのだが、その患者が大量殺人犯である、という場合もあるわけだ。

 その友人は、救急医療のこうした重さに耐え切れず、医師を辞めてしまった。そして、医療と全く関係ない職業に就き、3年以上が過ぎたある日のこと、職場の同僚が勤務中に倒れた。友人は医師の経験を活かし同僚の救命措置をその場で行ったが、同僚は死んでしまった。後で家族の慟哭する姿を見て、自分の未熟さを呪ったそうである。「もし、あのまま医師を続けていたら、同僚を助けられたかもしれない」と切実に感じた友人は再び医学部に戻り、現在は医師として多忙な毎日を送っている。

 友人はこう言っている。
救急医療とは、時に患者の毒を飲み込むことだ。飲んだ分だけ、毒に強くなり、毒が効かなくなってくると思いたい。だから、私は医者を続けるしかない